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第216話 紡いでいくチャンス

佳境に入ります!

いつもの冒険者生活を送る中、【アテナズスピリッツ】のギルドマスターであるカルヴァリオさんからBランクの昇格を懸けたクエストに挑む事を進言された。

Bランクパーティー【ウォールクライシス】のリーダー格であるリカルドさん達から監督される形で森林型のダンジョン攻略に挑む事となり、俺達は奥まで進み、ダンジョンのボスモンスターである“レッドブルーバイコーン”と交戦するも、苦戦を強いられていた。


「はぁ……はぁ……」

(3種類の魔法に凄まじい脚力、加えてさっきの破壊光線みたいな一撃……。マジで強い)

「キュルルルルル」

(“レッドブルーバイコーン”の野生の個体が発見されたケースは何回か聞いた事あるけど、ダンジョンのボスモンスターとして現れたら、こんなにも厄介とは……)

(無闇矢鱈に攻撃を仕掛けるならばともかく、頭の良い立ち回り……。厳しいな……)


俺とセリカ、クルスは“レッドブルーバイコーン”の強さや厄介さを改めて認めながら、苦戦を強いられている事も再び受け入れていた。

後衛にいるミレイユとエレーナも同様だ。

それぞれの表情は深刻だが、諦めていない。


「キュァア!」

「くっ!」

(突進からの魔法攻撃。本当に面倒だな。モレラさんから教わった先読みのテクニックがなければ、今頃ヤバい事になってる)


クルスは“レッドブルーバイコーン”の突進から魔法攻撃のコンビネーションに何とか対応しているものの、余裕は全くない。

俺やセリカも隙があれば攻めてはいるが、有効打を与えられていない状況が続いており、ジリ貧になっていく。


(脚を斬り裂いて機動力を落とす……)

「キィイイ!」

「うっ!」

(このタイミングで……)


セリカは脚を斬り裂いて優位に進めようとするも、“レッドブルーバイコーン”は小回りも利いている上に脚で蹴り上げや踏み付けもしてくるため、中々その隙を与えてくれない。

今まで相対した巨躯を持つモンスターよりもデカさやタフさこそ劣るものの、それ以上の機動力や攻撃手段に百戦錬磨の強者のような知性を前に、相当な苦戦を強いられている。

加えてダンジョンのボスモンスター特有の魔力を鑑みれば、それに拍車を掛ける。

無闇に襲うモンスターの大群以上に厳しい状況だった。


「キュァアアアアアア!」

「うおっ!」

「くっ!」

「危な!」

「「うぅう!」」


“レッドブルーバイコーン”は素早く動き回りながら、【炎魔法】や【水魔法】、【氷魔法】による魔法攻撃を乱射し、俺達を攻撃してきた。

ダンジョンの魔力を吸収している事を考慮しても、その勢いは凄まじかった。

そんな時だった。


「キュァアアアアアア!」

「ぐっ!」

(これは……。【氷魔法LV.2】『メガブリザード』?ヤベ!)

「みるみる凍って……」


“レッドブルーバイコーン”はミレイユがよく使う【氷魔法LV.2】『メガブリザード』を放ち、広範囲でばら撒かれた吹雪は辺り一面を氷漬けにした。

ミレイユは【炎魔法】でエレーナを守り、セリカやクルスは少し受けてしまうも、俺は片脚を凍らされてしまい、地面と釘付けにされてしまった。


「キュォオオオオオオ!」

(あれは……)

「「トーマさん!」」

(ヤベぇ!【炎魔法】で解凍しても……。間に合うか?)


俺の目の前にいる“レッドブルーバイコーン”は先ほど見せた強烈な破壊光線を放とうとする態勢を取っており、俺に向けられている。

最初に見せた時よりも、一連の動きが速くなっており、このままでは直撃が確実だ。

そんな俺を他所に、“レッドブルーバイコーン”は発射する準備を整え、チャージを終えて放たんばかりの状況になった。

正に危機一髪って考えが過り、光線が放たれようとしたその時だった。


「【炎魔法LV.1】『ファイヤーボール』!」

「!?」


そこに飛んで来たのは【炎魔法LV.1】『ファイヤーボール』であり、放ったのはミレイユだった。

直撃した時に生じる煙による目晦ましならともかく、ダンジョンの魔力を受けた“レッドブルーバイコーン”に有効打になるとは思えなかったが、見るべきなのは飛ばした先だ。


(“レッドブルーバイコーン”の頭に飛んでいない)


そう、飛んで行った先は“レッドブルーバイコーン”が【炎魔法】と【氷魔法】を収束させている光球の方だった。

すると……。


ドゴォオオオオーーン!

「キュォオオ!?」

「!?」

(何だ?【炎魔法LV.1】『ファイヤーボール』一発で何が……?)


その火球が直撃すると、“レッドブルーバイコーン”の目の前で決して小さくない破裂音と爆風が発生した。

それだけでなく、その身体には少なからずだが傷を負っている。


「トーマさん!セリカ!クルス!一気に攻めて!」

「ミレイユ?」

「【付与魔法LV.2】&【回復魔法LV.2】『オーバーヒール・ブレイク』!」

「キュォオオ!?」


ミレイユは声を張り上げて俺達に攻めるように促し、エレーナは【付与魔法LV.2】&【回復魔法LV.2】『オーバーヒール・ブレイク』を“レッドブルーバイコーン”の右前脚に向かって杖を振りかざす。

すると、その箇所が光り出し……。


「キュア?」

「脚の方はほとんど傷付いていなくてよかったです」

「キュォアアアアア!?」


エレーナがそう呟くと、“レッドブルーバイコーン”の右前脚がボコボコと音を立てながら、ボロボロと崩れかけていった。

辛うじて立ちはしているものの、明らかに覚束ないようだった。


「ハァア!」

「オォオ!」

「キュァアアア?」


瞬間、飛び込んで来たのは、剣を両手に握りながら近接するセリカと、一振りのロングナイフを握って懐に飛び込まんとするクルスだった。


「フッ!」

「ギャァア!」

「ここだ!」

「キュォオオ!?」


クルスは懐から投げナイフを抜き、“レッドブルーバイコーン”も左眼球に突き刺して視界を奪い、その左脚の膝裏にロングナイフで突き刺す。

すると“レッドブルーバイコーン”は痛みで叫び声を発した。


(ここで首筋を裂く!)

「キョォアアア!」


それから流れるようにクルスは背中に回り込みながら、腰からカランビットナイフを取り出し、その首を搔っ切った。

外皮が硬いせいで切断はできなかったが、斬られた箇所からしとどに血が流れており、明確なダメージを与える事ができた。


「クルス!退いて!」

「あぁ!」

「キュァア!?」


セリカの一声でクルスが即座に飛び跳ねるように“レッドブルーバイコーン”の身体から離れていった。

そこにセリカは凄まじいスピードで突っ込んでいく。

その手に力強く握られている剣には、燦然と輝いた翡翠色に現れた高密度の魔力を纏っており、身体もそれに包まれている。

放たれたその斬撃は……。


「【剣戟LV.3】&【風魔法LV.3】『ディストームブレード』!」

「ギュァアアアア!」


それはセリカが心から尊敬している同じ『軽戦士』であるウィーネスさんが得意としている技である【剣戟LV.3】&【風魔法LV.3】『ディストームブレード』だった。

セリカが放った袈裟切りは“レッドブルーバイコーン”の胴体を強烈に切り裂いた。

咄嗟に身体を捩ったのか、致命傷にはなっていないが、バッサリと斬られている。


「キュォアアアアア!」


窮鼠猫を嚙むような気迫と咆哮を見せる“レッドブルーバイコーン”は驚異的な粘りや抵抗を見せようとしていた。

だが……。


「エレーナ。ミレイユ。クルス。セリカ……。ありがとうな……。こっちも準備が整ったぜ!」


俺は凍らされた片脚の解凍が終わって動ける状態になっていた。

そして、集中力を高め、気合いを入れた。


(これで仕留める!)


俺は剣に形を変えた“ヴァラミティーム”を構え、“レッドブルーバイコーン”を見据える。


“レッドブルーバイコーン”との戦いは……。そして、Bランクの昇格を懸けたクエストはクライマックスへと向かっていく。

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