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第214話 神秘さと厄介さと凶悪さと……

神秘的だけど強力なボスモンスターとやり合います!

いつもの冒険者生活を送る中、【アテナズスピリッツ】のギルドマスターであるカルヴァリオさんからBランクの昇格を懸けたクエストに挑む事を進言された。

Bランクパーティー【ウォールクライシス】のリーダー格であるリカルドさん達から監督される形で森林型のダンジョン攻略に挑む事となり、俺達は奥まで進み、ダンジョンのボスモンスターである“レッドブルーバイコーン”と相対している。


(見た目は神々しさも感じるけど、とんでもないプレッシャーだ……)


“レッドブルーバイコーン”はレア度Aのモンスターであり、俺達が今挑んでいるダンジョンのボスモンスターだ。

額から生えている二つの角の内、一本は炎のように燃えるような赤い輝きを放ち、もう一本は澄み渡った清流のような蒼い輝きを放っており、形も大木の枝が生えているような形で独特な剣のようだった。

加えて、鋭い眼光から放たれる殺気と強力なモンスター特有のオーラも纏っている事から、ダンジョンのボスモンスターである事もあってか、その迫力は強力で異様だった。

次の瞬間。


「来ます!」

「キュアアアアア!」

(何!?)


“レッドブルーバイコーン”は叫びと共に【炎魔法LV.1】『ファイヤーボール』を勢いよく放ってきた。

だが、それだけではなかった。

【水魔法LV.1】『アクアボール』も同時に放ってきたのだ。

二種類の魔法を同時に放って来るなんて、かつてやり合った事がある“フライングタイガー”でも出来なかった芸当に驚愕した。


「【氷魔法LV.2】『アイスウォール』!」

「ミレイユ!」


同時にミレイユの【氷魔法LV.2】『アイスウォール』で防ぐ事には成功したが、ダンジョンの魔力を吸収している恩恵なのか、氷の壁が半壊状態になっている。

迂闊に喰らったらただじゃ済まないのは明白だ。


「援護は任せて下さい!」

「分かった!セリカ!クルス!」

「「ハイ!」」

「【支援魔法LV.2】『ビルドアップ』!」


だが、いちいち怯んでいる暇はない。

俺は正面から、セリカは右から、クルスは左から突っ込んで行き、エレーナは全体的な身体能力を向上させる【支援魔法LV.2】『ビルドアップ』をトーマさん達に掛ける。

スピードで攪乱させ、隙を突いて削る作戦に打って出た。


「キィアアアア!」

「フン!」

「ハァア!」

「ヤァア!」

「キィ?」


“レッドブルーバイコーン”は俺に向かって【炎魔法LV.1】『ファイヤーボール』と【水魔法LV.1】『アクアボール』を同時に撃ってきたが、それを躱し、セリカとクルスは左右から斬りかかる。

斬撃は身体にヒットしたが、外皮や筋肉も意外と堅いのか、決定打にはなっていない。

その上……。


「!?」

「キィァアアアアア!」

(僕の方に来た!しかも速い!)

「クッ!」

「クルス!」

「大丈夫です!掠り傷です!」

(角による突進もあるの?それにあのスピード……)

「【風魔法LV.2】『ウインドジャベリン』!」

「キュアアアアア!」

(アイツ……【氷魔法】も使えるのかよ?)


攻撃されて怒ったのか、“レッドブルーバイコーン”はクルスに向かって角を突き出して突進してきた。

クルスは頬を軽く掠め、セリカは【風魔法LV.2】『ウインドジャベリン』で援護するも、“レッドブルーバイコーン”はミレイユと同じ【氷魔法LV.2】『アイスウォール』で氷の壁を生成してそれを防いだ。

しかも、ダンジョンの魔力を受けているだけにかなり頑丈だった。

加えて身体能力も相当なスペックをしているため、それが攻略を難しくしている。


(魔法を使えば距離を取ってまた中遠距離攻撃。近づいて来たら角による突進。モンスターの癖にかなり頭良いじゃねぇか……)


【水魔法】を操り、槍術と知性に優れた“フィッシャーナイト”。

飛行能力を備えて【風魔法】と【岩石魔法】を駆使して暴れ回る“フライングタイガー”。

凄まじい体躯と馬鹿げた頑強さを誇った“ミスリルメガリザード”や“メガオーク”。

強大なパワーと驚異的な再生能力を持つ“デッドガーゴイル”。

俺達はこれまで様々なモンスターを相手にしてきた。

だが、3種類の魔法を操り、高い身体能力と知能を持った“レッドブルーバイコーン”のようなモンスターを相手にするのは初めてだった。

ダンジョンのボスモンスターであるから、その脅威さが際立って来る。

見守るリカルドさん達の目も厳しくなっている。

実際、俺達は“レッドブルーバイコーン”を相手に上手く立ち回れているが、膠着状態が続いており、手傷や疲労も目立ち始めてきた。

俺は“ヴァラミティーム”を使って【剣戟】スキルや【武術】スキルによる攻め、セリカは機動力と剣術によるヒットアンドアウェイ、クルスは炸裂弾や煙幕を交えた戦法で徐々に削っている。

ミレイユも魔法による援護射撃とエレーナを守る事に全力を注いでいる。

だが、相手も傷を負ってはいるが、まだまだ凄みがある。


「くっ……」

(ダンジョンの魔力を受けているとは言え、本当に強い……)

(【炎魔法】、【水魔法】、【氷魔法】の3種類が使えるなんて……。下手な『魔術師』より遥かに厄介じゃない……)

(加えてあの身体能力と知性……。……ん?それって……?)

(これ……言うなれば……)


俺とセリカは心の中で“レッドブルーバイコーン”の強さと恐ろしさを肌で感じている中、クルスはある事に気付いた。

後衛で消耗しながらも構えているエレーナも同様のようだ。

特に、ミレイユ本人も既に悟ったように深刻な表情となっている。

そして俺とセリカも勘付いた。

強大な身体能力と魔力を持ったミレイユを相手にしているようだと……。


(まるで……私がトーマさん達とやり合ってるみたいじゃない……)


ミレイユも自分で自分を皮肉るように心の中で呟いた。

使ってくる魔法の属性が自分と同じだから、そう思うのは当然だ。

これまでの戦いから見るに、“レッドブルーバイコーン”は【炎魔法】の発展形である【爆撃魔法】を使ってくる素振りはないため、爆発による殲滅がないのは察している。

だが、それ以外はミレイユと同じ魔法を使用しており、ダンジョンの魔力を吸収しているのもあって、威力や身体能力も高められているから相当に難儀だ。

体力的にも精神的にも疲労が見え隠れしているその時だった。


「クルルルルル!」

「「「「「!?」」」」」

(“レッドブルーバイコーン“が【炎魔法】と【氷魔法】を同時に発動させるのか……って……ん?)


俺は“レッドブルーバイコーン”の生えているそれぞれの角から【炎魔法】と【氷魔法】を放とうとしている。

だが、二つ同時に放とうとするではなく、目の前でバチバチと音を立てながら、高密度に練り上げられた魔力を纏った光の玉が形成されていく。

彩りのある光のお陰で神秘的に見えるが、どう見ても強力な魔法なのはすぐに分かった。


(あの魔法って……まさか……?)


俺達の中でその危険性を肌で、いや、本能的にそれを感じ取っていたのはミレイユだった。

そして俺達は目の当たりにする。


“レッドブルーバイコーン”による【炎魔法】と【氷魔法】を複合させた攻撃の威力を……。

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