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第213話 密林のボスモンスター

ダンジョンのボスモンスターが現れます。

イメージすると、神々しいです。

いつもの冒険者生活を送る中、【アテナズスピリッツ】のギルドマスターであるカルヴァリオさんからBランクの昇格を懸けたクエストに挑む事を進言された。

セリカ達とも話し合った末、受ける事を決めた俺達はノイトレオに赴き、Bランクパーティー【ウォールクライシス】のリーダー格であるリカルドさん達から監督される形で森林型のダンジョン攻略に挑む事となり、頭脳を要求される状況に直面していた。


(みんなと一緒に考えて答えを出して、それを間違いなく実行できるベストな手段があるとすれば……)


俺は石板の前に立ち、“ヴァラミティーム”をかざした。

俺は集中力を高め、魔力を練り上げていく。

その時、足元から赤色、青色、緑色、黄色の魔力の残滓が滲んでいき、俺の身体を包んでいった。


(トーマの周りに4色の魔力のオーラが?まさか……?)


見守っているウォードさんが目を見開き、驚いているようだ。

そして次の瞬間、“ヴァラミティーム”が先端に魔石が付いたロッドのような形状に姿を変えた。


「【土炎風水(どえんふうすい)魔法LV.1】『エレメンタルショット』!」


4色の弾丸が石板に向かって飛んでいき、寸分の狂いもなく当てる事に成功した。

すると……。


ゴゴゴゴゴゴゴッ

「な、何だ?」

「トーマさん!前!」

「!?」

(石板の向こうに、一本道がある)


セリカに促されて石板を見やると、地鳴りと共に4つ付いていた魔石は赤、青、緑、黄色とそれぞれに輝き、真っ二つに分かれた。

その先には薄暗いながらも、一本の道があった。

どうやら奥へとつながっているようだ。


「これって……?」

「あぁ。正解って事だ」

「おぉ……おぉ……」


俺がリカルドさんに確認したところ、どうやらこれが正しいって事らしい。

それを他所に、ウォードさんは俯いたままで身体をガタガタと振るわしており、その様相は感情的とも好奇心の高鳴りとも取れるようだった。


「トーマ!今のは一体何なんだ?4色の魔力のオーラが見えたぞ!まさかとは思うが、【土炎風水どえんふうすい魔法】か?本当に習得しているとは、一体……」

「あ、あの……」

(やっぱり『魔術師』から見れば、貴重なのか?)


【ウォールクライシス】の中でもクールでクレバーと思われたウォードさんは俺が見せた【土炎風水(どえんふうすい)魔法】を見て、かなり興奮している姿をまざまざと現している。

『魔術師』のギフトを持っている者でも、【炎魔法】・【水魔法】・【風魔法】・【土魔法】の4属性を会得しているケースはかなり少ない事は何度も聞かされてきた。

それはAランクパーティー【ノーブルウィング】のリーダー格であり、『魔術師』として他国にも勇名を轟かせるウルミナさんでさえまだ成し得ていない。

実際にそんなレアケースを見せられたら、何の気持ちも起こさないでいられる方が無理な話ってもんだ。


「落ち着け、ウォード。気持ちは分からなくもないが、今はその時じゃねぇだろ?」

「はっ!これは失礼。この目で【土炎風水(どえんふうすい)魔法】を見るのは初めてなもので……」

「いえ、大丈夫です……」


興奮気味になっていたウォードさんをリカルドさんが窘めた。

開かれた石板の方に改めて視線をやると、奥へと続く道があり、中の空間もさっきまでいた場所よりも薄暗い密林を思わせる。


「ここから先が……」

「あぁ。ダンジョンのボスモンスターが待ち構えている。始まる前にも言ったが、命の危険を感じたら援護してやる。代わりに、Bランクの昇格は絶望的だと思え」

「分かりました。皆、行こう!」

「「「「ハイ!」」」」


リカルドさんから再び釘を刺されたものの、俺達は気合を入れ直し、奥へと進んでいった。

入っていくと、うっそうと生い茂った雑木林が囲う道があり、陰気さが更に増しているような雰囲気を感じさせる。

周囲を警戒しながら歩く事数分……。


「お?随分と広い場所に出られたな……」

「陰気さはそのままですけど、さっきよりも少し明るい気がしますね。天井もえらく高い」

(“デッドガーゴイル”の時は石像のような姿をしてから現れたのに対し、今回は……?)


「ん?」

「クルス?」

「前方からモンスターの気配ですね。僕達が入って来たのをきっかけに目を覚まし、敵だと思ってこちらに近付いて来たってところかと思われます」

「よし!戦闘準備!」


セリカとクルスは俺と共に前衛に立ち、ミレイユとエレーナは後衛に立った。

警戒心を高めながら構えて数刻が経った。


「来ます!これは……?」

「「「「ッ!」」」」


クルスが叫ぶと、俺達も即座に臨戦態勢へと入った。

次の瞬間。


「キュルルルル……」

(あれは……?)


カツッ、カツッと音を立てながら俺達の前に現れたのは……。


「キュァアアアア!」

「「うっ!」」

「甲高い叫び声だ!」

「輝くような2色の角、あれは“クリスタルバイコーン”です!」


セリカが言うには、目の前にいるトナカイのような風貌をしているモンスターは“レッドブルーバイコーン”と言い、このダンジョンのボスモンスターらしい。

高さは3メートル弱あるものの、一本はルビーのように、もう一本はサファイアのように輝いている角が生えており、それぞれが立派な芸術品と言っても過言ではないくらいに美しい。

正直、モンスター相手に見た目で思わず感心したのは“ミスリルメガリザード”以来だな。

だが、それとこれとは話は別であり、俺達は“レッドブルーバイコーン”と向き合う。


「マジかよ?“レッドブルーバイコーン”がダンジョンのボスモンスターとはな……」


見ているウォードさんは思わず息を呑んだ。


「どうする、リカルド?」

「どうするも何も、見守るスタンスは貫く。流れ弾とかは防ぐなり躱すなりで対処して、トーマ達に命の危険が迫ってくれば助けるスタンスでいろ」

「分かった」

「了解!」


ブラゴスさんの問いにリカルドさんが答えると、レミーさんとアリエスさんもこれに了承した。


(にしても、Bランクパーティーでも対処が厄介な“レッドブルーバイコーン”がダンジョンのボスとして出てくるとはな……。こりゃ、結果次第だな……)


“レッドブルーバイコーン”と相対する俺達を見つめるリカルドさんの目は一気に険しくなった。

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