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第206話 受けるかどうか

Bランクへ上がる事のメリットと求められるモノが明かされます。

いつもの冒険者生活を送る中、【アテナズスピリッツ】のギルドマスターであるカルヴァリオさんからBランクの昇格を懸けたクエストに挑む事を進言された。


Bランク昇格を懸けたクエストに関する話を聞いた俺達が帰宅すると、リビングに集まった。

しばらくの沈黙が続いた後……。


「そう言えば、Bランクになったら、どんな恩恵やメリットがあるんだろう?」

「あー。それはですね……」


そこで俺はBランク冒険者になるとどうなるのかを呟くと、セリカが説明を始めた。


「まず、大きなメリットとしては2つありますね。一つは馬車による交通費が無料もしくは格安になると言う事ですね。Bランクになれば、活動できる範囲がCランクよりも大きく広がりますので、その手助けの意味も含まれています。二つ目はいくらかですけど、ギルドから支援金をいただけます」

「え?お金くれるの?」

「上等な武具やアイテムを買いやすくするためであり、こちらも強力なモンスターの討伐や凶悪事件の解決に役立てるための措置ですね。他にも、様々な特典が付きまして……」


聞いているだけでも、Bランクになった時の恩恵やメリットは大きかった。

金銭面の援助だけでも嬉しいのに、発言力や信頼感が高まる等、冒険者から見ればありがたい内容だった。

ある種の権力も持てる事を知った時は心なしか、胸が躍りかけた。


「でも……その分、責任も伴う事にはなりますね」

「やっぱりか……」

「なれるかどうかもそうですけど、なりたいかどうかも考えさせられますね」


責任に関係する話が出た時、空気が若干淀んでしまった。

以前にも話にあったが、ランクアップすると様々なメリットを受けられるが、それに比例して責任も大きくなる。

ロマンよりも堅実さを求める冒険者は低ランクのままでいることを望む人も一定数いる。

Bランクパーティーになった後も正当な理由もなしにほとんど活動しない期間が長ければ、強制的にCランクに落とされてしまい、メリットも無しになってしまう。

せっかくギルドが金銭面の援助をしてくれているのに怠け続け、それだけを貪ろうとする相手に払ってやるお金なんてないと断じたくなるのは当然だ。

改めて受けるかどうかで悩んでいる時だった。


「私は……なりたいですね……」

「セリカ?」


最初に口を開いたのはセリカだった。


「活動範囲が広がるってのもそうですけど、Bランクになれば、死んだ兄と同じ景色を見られると思うかもしれないと思っているんですよ。もっと言えば、ウィーネスさんやケイン達さんも……」

(そう言えば、セリカの亡き兄であるトーゴさんもBランクだったっけ?)

「躊躇う気持ちがないと言えば嘘にはなります。だけど、自分の可能性や未来をもっと広げたい想いはやはり抑えられません。だから、私は受けたいと思っています!」

「セリカ……」

「私も……」


そう言い切るセリカの表情は決意に満ちていると同時に輝いても見えた。

続いてミレイユが立ち上がる。


「ウルミナさん。ニコラスさん。リエナさん。サーシャさんらと同じ場所に立ちたいって想いがここ最近……。Bランクへ上がる機会を貰った事でその気持ちが高まってきているのに気付きました……。その人達に私も近づきたいです!」

「ミレイユ……」


それからエレーナも立ち上がり、クルスは俺の近くまで寄って来る。


「言いたい事はセリカさんやミレイユさんに持ってかれたような気もしますが、わたくしも狭い世界で閉じ籠ったままで生きていたいと思っていません。Bランクに駆け上がる機会は、神様が与えた一つのチャンスだと捉えています。わたくしとしては、受けたいと言うのが本音です」

「最終的な決定をトーマさんに委ねるにしても、多数決で決めるにしても、僕は今より上のステージに行きたいとも思っていますし、もっと広い世界を見てみたいです。トーマさん達と出会わなければ、さっきみたいな事を伝えたいなんて……。考えてもみませんでしたから……」

「エレーナ……。クルス……」


セリカやミレイユ、エレーナやクルスの決意を聞いて、俺はその場で考えた。

Cランク昇格を懸けたクエストに挑む時と今回とでは勝手が違うのはもう分かり切っていた。

BランクとCランクでは活動範囲や受けられる恩恵、信用付けをさせるブランド力や発言力が違う。

同時に、求められるモノが大きくなる事も……。

俺はセリカ達の意見を聞いて思案した。

そして……。


「皆の言葉を聞いて決心が付いた!今回のBランク昇格を懸けたクエストを受ける!」

「「「「オォオーーーー!」」」」

「皆、出発まで準備に取り掛かるぞ!」


こうして俺達はBランク昇格を懸けたクエストを受ける事を決めた。

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