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何でも屋として生きていくアラサーの異世界ライフ ~サブカルチャー大好きな高卒アラサーが異世界に召喚されて現実世界で得た知識と経験をフル活用したら多方面で無双しかけている件~  作者: カワチャン
第三章 大事件の遭遇と偉大な人物達との邂逅

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SS 19話 【マーカス視点】再スタート

ケイン達の仲間になったマーカス目線のお話です!

ティリルの住宅街の中に一軒の小屋があった。


若干の年季を感じさせるが、定期的に補修されているのが分かる。

二階建てのレンガ造りの家であり、4~5人は住めそうな大きさだった。

その一つの部屋に朝日が差し込んだ。


「う~ん。朝か……」


俺の名前はマーカス・クレヴァン。

冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】に所属し、Bランクパーティー【ディープストライク】の一員である冒険者だ。

太陽の光で目が覚めた俺は身体を起こし、にべもなく着替えていく。

いつもの冒険者ルックではなく、灰色のTシャツに黒い緩めのジャージとカジュアルさ重視の格好だ。

続いて部屋を出た時だった。


「おう、マーカス。早いな」

「ケインさん。朝練に行かれる感じですか?」

「そうだ。よかったらお前も来るか?」

「はい。ご一緒させていただきます!」


パーティーのリーダー格であるケインさんと出くわし、一緒に近くの公園のような場所で自主トレに励んだ。


「90……91……92……」

「フン!フン!フン!フン!」


ケインさんは木剣で素振りをし、俺は腕立て伏せをしている。

前後に動きながら振り上げて振り下ろすを繰り返しているが、太刀筋は本当に鋭く、足取りもかなり滑らかのが見て分かる。

冒険者になってからずっと鍛錬をしてきていると言っているだけはあるな。


「よし!マーカス。お前確か、剣は振るえるんだっけな?」

「はい、できます」

「じゃあ、やってみるか!」


その後はケインさんと木剣で打ち込み稽古を行った。

『重戦士』の俺は盾の裏側に仕込んでいる太めのマチェーテで剣を振るうときもあり、ケインさんには及ばないが、【剣戟】スキルも持っている。

いざ撃ち合うと、ケインさんは剣技、身体捌き、脚捌きまで見事に洗練されている。

対人戦でも相当強いのはすぐに分かった。

それからしばらくして……。


「はぁ……。流石はケインさんですね」

「マーカスこそ、筋が良いじゃないか!」

「ど、どうも……」

「いたいた。お~い!ケイン!マーカス!」

「「!?」」


二人で一休みしている中、一人の女性の声が俺達の下に届いた。


「やっぱりここで鍛錬してたか!マーカスも一緒なんだね」

「「フィリナ(さん)!」」


彼女は同じパーティーメンバーの『武闘家』であるフィリナさんだ。

鮮やかな赤いロングヘアーをポニーテールに纏めた明朗快活な人であり、パーティーのサブリーダーにしてムードメーカーのような役割を担っている。

こう言ってはあれだが、かつていたパーティーの女性冒険者2名にはないタイプの人だった。


「もしかして、ケインと一緒にやってた感じ!?」

「はい。個別にトレーニングした後、撃ち稽古をしていました」

「そう。もうすぐ朝ご飯ができそうだから呼んで来た」

「悪いな。じゃあ、戻るか!」

「ハイ!」


俺はケインさんとフィリナさんに連れられ、彼等が拠点にしている家へ戻っていった。


「「「只今~!」」」

「「お帰りなさい!」」


リビングとキッチンを兼ねたような部屋には、食欲をそそるような美味しい匂いが漂っていた。

そこには料理を作っている『僧侶』のエルニさんと配膳している『魔術師』のニコラスさんがいる。

テーブルに目を向けると、焼き立てのベーコンエッグに彩り豊かなサラダ、美味しそうなおかず数点が揃っている。

エルニさんの手作りだ。

それから全員が席に着いて……。


「「「「「いただきます!」」」」」

「美味しいです!エルニさん!」

「喜んでもらえて良かったです!」

「このサンドイッチの組み合わせいいじゃん!」

「うん、美味しい!」

「焼き加減も絶妙!」


俺は皆で朝食をいただいたが、美味しかった。

俺が【ディープストライク】に移籍してから数日で分かった事が何点かある。

ケインさんはリーダーシップと思慮深さを併せ持っている人。

フィリナさんは溌剌としつつも皆の事をしっかりと見てくれている人。

ニコラスさんは謙虚で飾らない性分をしている人。

エルニさんは穏やかでいながらも自分の芯を持っている人。

前にいたパーティーのメンバー達であったジゲラ、イミニ、アコナにはなかったような人柄をしている人達ばかりだった。

もちろん、パーティーを組んだばかりや数年経った後まではそれと大差ない感じだったけど、最近の状況と比べれば、どこか新鮮味を感じた。


「よし!今日はお休みだから、必要な物資調達をしていこう!」


朝食を終えると、俺達は街へ出ていった。

先日にモンスター討伐のクエストをこなして相応の報酬をもらったため、休日を利用して必要となるアイテムや日用品の買い出しに行く事になった。


「こうやって見ると、ティリルって辺境に位置しつつも様々な物資が届いて、色んなお店が揃っているんですね……」

「あぁ。辺境なんて聞いたら何もないなんてイメージを持ちやすいだろうけど、ティリルは武具に食材に洋服まで、本当に何でも揃っているからな」

「冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】がティリルにあるのを踏まえても、冒険者に向いた物が揃っている店もそれなりにあるのよ」


かつては気鋭の商会で知られたヴェヌトイル商会が直系で運営している武具屋やアイテムショップが多くあったウェシロスでは考えられなかっただけに、一種のカルチャーショック染みた気分も感じた。

俺達はケインさん達がよく利用している武具屋『ロマンガドーン』に入っていった。


「ここがティリルで一番大きな武具屋さんでしょうか?」

「あぁ。俺達が今使っている武具やアイテムの大半はここで取り扱っている」

「アタシ達以外の【アテナズスピリッツ】に所属している冒険者も御用達だから、見知った相手と知り合う事も珍しくないわよ」

「確かにそうですね」


今日はクエストがない日なので、皆で買い出しに赴いた。

買うのは主に外傷や魔力回復のポーション及び武具の修繕に役立つ“リペアフルード”であり、新しい武具が入っているかもチェックしている。

俺は『重戦士』だから剣はもちろんだが、鎧や盾を始めとする防具がどうにも気になってしまう。


「ここの武具屋も上質なのが揃ってますね」

「だろ?」

「アタシが使っている手甲もここで買ったのよ!」

「このミスリル製の鎧も逸品って分かります!後、このローブとかも……」

「どれどれ?」

(流石は商会の親戚だった人。やはり武具には興味関心をそそられやすい質だな……)


新たに拠点とする事になったティリルは辺境だと感じさせないくらい、冒険者に向いた武具屋やアイテムショップを始め、ごはん屋さんや洋服屋さん等のお店も充実している。

ウェシロスも良い街だったけど、ティリルも負けていなかった。


「良い街だろ?ティリルって」

「はい。ウェシロスより少し小さい気はしますけど、物資にも恵まれた良い所だと思っていますよ」

「スケールは負けてる感じね?」

「う、それは……。ですけど、この街の人々達は暖かいってのは本当です!」

「あ、話逸らされた!」

「「ハハハハハハハ」」


自分で言うのもなんだけど、ケインさん達のパーティーに来てからリラックスできる機会が増えて、心に余裕ができるようになって、笑える場面も増えたと思っている。

ジゲラ達といた約一年、心から笑えた事があまり無かっただけにだ……。

それから帰路に着いた。


「次はどんなクエストを受ける予定でしょうか?」

「ティリルからほど近い林へ採取系のクエストを受けようと思っている。野生のモンスターも結構いるらしいから、帰ったら対策を立てよう」

「そのためにも今日は必要なアイテムを買ったんだから!」

「武具のメンテナンスも怠らないようにしましょう!」

「今日は早めに休んで心身共に充実させて臨みたいですね!」


【ディープストライク】に所属して思ったが、ケインさん達は実力だけでなく、人格面でも尊敬できるところや学ぶところが沢山ある。

何かを感じてこのパーティーに入る決断をしたけど、選んで良かったと今では心から思っている。

だからこそ、これからは皆と共に冒険できる事が楽しみで仕方がない。

歩いていると、酒場が目に付いた。


「あの……。ちょっとよろしいでしょうか?」

「ん?」

「今日はクエストに挑むための景気づけに、あのお酒を買ってみませんか?」

「何だよ急に……。けど、悪くねぇな。5本買っていこう!」

「いいね!てかマーカス!面白い提案するじゃない!買おう買おう!」

「あはは……」


ケインさん達の総意で、ちょっと良いワインを買って飲む事になり、次のクエストに挑むための気力を充実させていった。


これからは【アテナズスピリッツ】のBランクパーティー【ディープストライク】のマーカス・クレヴァンとして、ドンドン活躍してみせようと改めて決心が付いたのだった。

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