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第202話 マーカスの決意

マーカスが正式に加入しました!

俺達はウェシロスで起きた事件を解決してすぐに王都ファランテスにあるビュレガンセ冒険者ギルド連盟本部を訪れた後、拠点にしている街であるティリルに戻っていた。

しばらくの休養を満喫している中、冒険者ギルド【ティア―オブテティス】に所属していたマーカスさんが【アテナズスピリッツ】に移籍する事になった。


冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】には多くの冒険者が集まっている。

カルヴァリオさんが今いるメンバーだけでもいいから集めて欲しいと職員達に呼び掛けたからだ。


「何だろう?話って?」

「さぁ?」

「誰かがランクアップとかかな?」

「いや、違うだろ」

「その内始まるって」


冒険者達は今か今かとその瞬間を待っている様子だ。

その中にはBランクパーティー【ディープストライク】のケインさん達や【デュアルボンド】を率いるイアンさんとイオンさん達もいる。

そんな時だった。


「皆!待たせたね。集まってくれてありがとう」

「カルヴァリオさんだ」

「トーマ達もいるぞ!」

「ウィーネスさん達もいる!」

「てか、先のウェシロスで起きた事件に関わっていたんじゃ?」

「何が発表されるんだ?」


ギルドの飲食スペースに俺達が現れ、カルヴァリオさんが仕切っていく。

俺達とウィーネスさん達が側に立って構えている。


「今回皆に集まってもらったのは、ある人物を我がギルドに迎えようと思っている事を伝えたかったからだ。その人物の顔を見れば、良い気分をする者もいれば、悪い気分にさせてしまう者がいるだろう」


周囲の冒険者達は静まり返った後……。


「その人物を紹介したい。入って来て欲しい!」

(!?……。彼は……)

「あれ?あいつ、見覚えあるぞ」

「何だっけ?確か……」

「新聞で見たぞ、あの男」

「あぁ。思い出したぞ……」

「ヴェヌトイル商会の会長だったゲルグオの親戚とか言ってた……」


カルヴァリオさんに促される形で、一人の人物が奥から出てくる。

その人物が徐々に顔を見せるにつれ、ケインさんら冒険者達の顔色が徐々に変わっていく。


「皆様。私はマーカス・クレヴァンと申します。ご存じの方がいるとは思いますが、最近までは【ティア―オブテティス】に所属していた冒険者です。そして先日、この【アテナズスピリッツ】へと移籍しました。今後は一から出直す思いで再起をしようと思っております!」


壇上に立ちあがったのはマーカスさんであり、自己紹介を兼ねた表明もしている。

見守るケインさん達の表情も自ずと引き締まっている。


「ウェシロスで起きた事件もこのティリルに届いている事を存じ上げていると言う事は、私の素性についても周知されている事を踏まえて申し上げます。ヴェヌトイル商会の会長だったゲルグオは、私と親戚関係にあり、育ての親でもありました。そして、自分自身も知らないうちに加担させられていました。これは……永劫消えない事実でございます」


そう言ったマーカスさんの表情は少し険しくもあった。

だが、希望を抱いているようにも見えた。


「ですが、消せない過去だからこそ、今と真剣に向き合い、本当の意味で弱き者のために寄り添えるような冒険者になりたいと心の底から願っています。真の意味でそれを叶えるためにこの【アテナズスピリッツ】に移籍し、一人の冒険者として邁進していく所存です。これからはどうか……。どうか、よろしくお願い申し上げます!」

「「「「「……」」」」」


言いたい事を言い終えたマーカスさんは深々とお辞儀をした。

俺達がそれを見届けて数秒後……。


「「「「「「オォオーーーー!」」」」」」

「よく言った!」

「俺達は歓迎するぜ!」

「家の事は忘れろ!」

「ヴェヌトイル商会が何だってんだ!」

「これからよろしくな!」

「今日は歓迎会だ!」

「……」


冒険者の皆から送られたのは歓迎の意思と言葉だった。

暖かな気持ちに触れたマーカスさんの表情は明るかった。

見ている俺達もホッとしている。


「これからは冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】の冒険者だ。よろしくな。マーカス」

「ハイ!よろしくお願いします!」


改めて迎え入れる姿勢を見せたカルヴァリオさんから差し出された手を、マーカスさんは握り交わした。

それからすぐにマーカスさんが【アテナズスピリッツ】の冒険者として活動するための手続きを済ませ、それから今後についての相談をする事になった。

パーティーの加入については後日、Bランクパーティー【ディープストライク】のケインさん達や【デュアルボンド】を率いるイアンさんとイオンさん達とも話し合いやクエストに同行した際、戦闘における立ち回りや相性を加味していくとの事だ。

何にしても、皆が暖かく迎え入れてくれて本当に良かった。本当に……。

それから夕方に差し掛かり……。


「「「「「「「乾杯~~!」」」」」」」

「これからよろしくな!マーカス!」

「俺達は家柄とかあんまり気にしねえ質だから安心しろ!」

「今日の主役なんだから飲め飲め!」

「ありがとうございます」


マーカスさんの歓迎会が開かれた。

陽気な笑い声と元気にさせてくれるような暖かな空気がギルドの中を包んでいき、マーカスさんの表情にも自然と笑顔が零れている。


「良かったですね。マーカスさん、受け入れてもらえて……」

「そうだな」

「よく考えてみたら、マーカスさん自体が良い人だからね!【ティア―オブテティス】のイミニさんとアコナさんはともかく、ジゲラは論外でしたけど!」

「一方で【ヴァルキリアス】のミリアさん達は本当に人格者でしたね!」

「僕も思いましたけど、才色兼備の集団って感じでした!」

「確かにな!」


その日は冒険者の笑顔と活気で溢れていた。

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