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何でも屋として生きていくアラサーの異世界ライフ ~サブカルチャー大好きな高卒アラサーが異世界に召喚されて現実世界で得た知識と経験をフル活用したら多方面で無双しかけている件~  作者: カワチャン
第三章 大事件の遭遇と偉大な人物達との邂逅

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第199話 【セリカ視点】憧れの人達との一時

「う~ん、このクッキーとケーキ美味しい!」

「紅茶の種類もこんなにあるとは……」

「流石は名物のケーキセットですね」

「それも美味しそう!セリカ、シェアしましょう!」

「やりましょう!こちらも美味しいですよ!」


私達はオシャレな雰囲気がする喫茶店にいる。

そこにはミレイユとエレーナに加え、Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさんやリエナさんもいる。

そう、女子会だ。

トーマさんとクルスはアイテム等の買い出しに出向いていて別行動中だ。

それから美味しいお茶やお菓子を楽しみながら近況の報告をし合った。


「いや~、こうして皆で集まるのって結構久々じゃない?」

「そうですね。ベカトルブのダンジョン攻略から帰って来て以来ですよね」


あの時はウィーネスさん達と同じBランクパーティー【ディープストライク】のフィリナさんとエルニさんも交えてだった。

今回の面子は先のウェシロスで発生した事件に関わった者で集まっている。


「でも、こうしてセリカ達の顔を見ると、ホッとするわ」

「私達もです」

「そうね……。あの時の事件は予想を大きく超えてシビアな内容だったから」


つい最近まで私達は同じギルドの仲間であるCランクパーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達の捜索に動いていた。

当初は探し出すだけだったけど、ウェシロスを拠点にしていた気鋭の商会だったヴェヌトイル商会やクジャール伯爵家と言う貴族が裏で恐ろしい悪事や不正行為に手を染めていた事やギンゼルさん達がそれに巻き込まれていた。

加えて、ビュレガンセ王国騎士団西方支部も賄賂を受け取っては不正を揉み消す等と癒着していた事実まで明らかになった。

思い返してみても、ゾッとしそうになる自分がいる。


「そう言えば、ギンゼルさん達はもう大丈夫なのでしょうか?ウィーネスさん達、付き添う形で戻ってきたと思うんですけど……」

「あぁ。彼等ね……」


私がギンゼルさん達について質問をすると、ウィーネスさんは説明してくれた。

ただ、少々バツの悪いような表情をしている。

結論から言えば、回復傾向にあるが、冒険者として再起するかは現時点で不明との事だ。

クジャール伯爵家の当主だったポドルゾの手によってギンゼルさん達は誘拐され、他に誘拐された冒険者達と一緒に麻薬による中毒状態にさせられ、その場でデスゲームをやらされてしまい、酷いダメージを負った。

加えて、ポドルゾの従者だった『テイマー』のマラリナが操ったモンスターによって左腕を食い千切られ、隻眼になってしまった。

他のメンバーもヴェヌトイル商会が裏で危険な魔道具を作るための生贄と言う形で魔力を吸い取られ続けた事で、魔力欠乏症と言う病に侵されてしまっていた。

事件の解決後には全員がウェシロスにある治療院で身体を治療してもらい、歩けるくらいに回復するまでウィーネスさん達が残り、付き添いでティリルに帰って来たって訳だ。


「そうですか……」

「ギンゼルさん達にとっては壮絶な経験を味わってしまったのだからね……」

「でも、ギンゼルさんの体内で検出された薬物の成分は完全に消えているから、体調は良くなっているんですよね?」

「身体の方は回復傾向にあるのは確かよ。もう少し時間を置けば完治するって『治癒師』の先生も言っていた。ただ、本当に問題なのは……」

「心の方……でしょうか……」

「そういう事」


現在もギンゼルさん達は療養の意味で冒険者活動を休止している。

全員、身体は治っているけど、精神面についてはまだ不安が残っている事も聞かされた。

あれだけの事があったら無理もないし、自分達だったらそうはならないと言い切る自信もない。

それほどまでに壮絶な経験だと言うのは、話を聞いているだけで分かってしまった。


「「……」」

「立ち直れますかね……?ギンゼルさん達……」

「こればっかりは本人達の気持ち次第ね。アタシ達もしばらくはお見舞いに行って様子を見ていくつもりよ」

「私達としてはもう一度頑張って欲しいって言うのが本音よ。彼らがCランクへ上がるまでに努力を重ねてきた事は知っているからね」


エレーナの心配の言葉に対し、ウィーネスさんとリエナさんはそう言葉を並べた。


「でも、ギンゼル達が再起しようがしまいが、アタシ達はその決断を尊重するよ。無理強いなんて、野暮ったらありゃしないしね!」

「それも……そうですよね……」


ウィーネスさんは割り切ったような様子でそう言った後、私は手に持っている紅茶を口に付けて一口飲んだ。


「お待たせしました。フルーツタルトでございます」

「ありがとうございます」

「ギンゼル達の事は追々考えるとして、せっかくの女子会よ!切り替えていこ!」

「はい」

「カラフルに彩られていて美味しそうです」


そこへ少し前に注文しておいたフルーツタルトを店員さんがテーブルに運んで来た。

様々な種類の果物が彩りよく切り分けて盛り付けられており、一種の芸術品のように見えなくもない。

タルト生地の上に乗っている赤いリンゴに青いゼリー、緑色のメロンに黄色いバナナが目に入った時だった。


「どうしたのセリカ?彩の良さに見惚れてた?」

「え?あ、その……それもあるんだけど……」

「?」


タルトを凝視していると、ミレイユに声を掛けられた私は少しだけビックリした。

華やかに見えるのは本当だが、もう一つ思い起こした事もあった。


「トーマさんの魔法についてちょっと連想してた」

「トーマさんの?もしかして、この間の……」

「ん?どうかした?」

「実はですね……」


フルーツタルトを見てトーマさんの魔法を連想しちゃうとか、何やってんだろう?

そこにウィーネスさんが食い付いてきて、私は打ち明けた。


「ほぉ~。トーマが【土炎風水(どえんふうすい)魔法】と言う凄い魔法を……」

「そうよね~。ってさわりだけは以前に私が教えたでしょ!」

「あ、確かに……」


感心している様子のウィーネスさんと乗りツッコミを入れるリエナさん。

仲良いなって改めて思う。


「それで【土炎風水(どえんふうすい)魔法】について理解を深めるために、Aランクパーティー【ノーブルウィング】のウルミナさんに相談を求めたって事ね」

(ウルミナさんから魔法について教わるなんて羨ましい……)

「はい」

「相当レアな魔法ですけど、中々にコントロールが難しいらしくって……」


私は以前、トーマさんが会得した【土炎風水(どえんふうすい)魔法】について分からない事を解決するため、ウルミナさんの下を訪れた旨を話し、続けてミレイユが補足した。

リエナさんはウルミナさんに魔法について教えてもらった事実に少なからず嫉妬している様子だった。


「あれからトーマさんもコントロールできるようになろうと修行するようになっているのですが、どうにも……」

「そもそもの話、『魔術師』とて、それを会得している人は世界中を探しても会えるかどうかの確率よ。私だって【水魔法】と【土魔法】にそれぞれの発展系の【氷魔法】と【岩石魔法】しかまだ使えないし」

「でも、素晴らしい才能がありますよ!“メガオーク”との戦いだってリエナさんがいなかったら今頃……」

「あら、そう?」


ミレイユはリエナさんの事を褒めており、感謝の念も含まれているようだった。

解決した後で聞いた話だが、リエナさんは魔法による援護だけでなく、魔力が空になる寸前まで、トーマさんやバダックさん達を守りながら戦っていた事を知った。

Bランク冒険者だからとかではなく、リエナさんはそれに相応しい実力を備えていると、私は勝手ながらに思っている。


「にしてもトーマって……。色んな意味で凄い奴になってきたって感じがするわね~」

「ウィーネスさん?」

「と、言いますと……?」


するとウィーネスさんがトーマさんの事を褒めて認めるような言葉を発し、私とエレーナは問い掛けた。


「トーマが【アテナズスピリッツ】に来て、セリカがパーティーを組んだって聞いた時、アタシこんなに凄い事をやるって思わなかったのよ。それからミレイユ、クルス、エレーナって仲間になって、凄い事を成し遂げていって……。その中心にいるのが、トーマなのよね。とんでもないユニークスキルに目覚めて、苦難を乗り越えていって……。想像している以上のスピードで成長してるって感じてならないわ……」

「特に……。あの“ゴーレム”の改造を施された“メガオーク”との戦いがそれの一つだって私は思う。本当に……奇跡って呼んでもいいくらいだったわ……。バダックもトーマの事を褒めてたわよ」

「「「……」」」


そう言っているウィーネスさんとリエナさんの表情を見ていて分かった。

本気でトーマさんの実力を認めているって……。


「モレラもクルスの事を随分気に入ってた様子だったわよ!真面目で飲み込み早くて、ただの『シーフ』で収まらないくらいのポテンシャルを秘めてるって!」

「そうなんですね……」


ウィーネスさんと同じメンバーの『アーチャー』であるモレラさんもクルスを褒めているようだ。


「と言うか、ウチのギルドでこんなに勢いのあるCランクパーティーって、セリカ達【トラストフォース】くらいだよ!」

「え?」

「そうね。あなた達がいなかったら、ギンゼル達も見つけられなかったかもしれなかったし、こうして無事に戻って来れた保証も無かった。その事は誇っていいわ」

「ウィーネスさん……」

「リエナさん……」


飾りっ気のない賛辞を聞いた私達の胸は熱くなった。

こんなにも認めてくれているんだなって……。


「ちょっとちょっと!しんみりしないの!……じゃなくて、させちゃった感じかな?せっかくのフルーツタルトが冷めちゃうよ!」

「切り分けてあげるから」

「え?あ、どうも……」


空気を変えるためにウィーネスさんとリエナさんは気を配ってくれた。

それから私達は美味しいスイーツを堪能した後、様々なお店を巡っては買い物をして楽しい日を過ごした。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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