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何でも屋として生きていくアラサーの異世界ライフ ~サブカルチャー大好きな高卒アラサーが異世界に召喚されて現実世界で得た知識と経験をフル活用したら多方面で無双しかけている件~  作者: カワチャン
第三章 大事件の遭遇と偉大な人物達との邂逅

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第193話 ソードオブハートの可能性

初めて得たユニークスキルについてのお話も含めてます!

俺達はウェシロスで起きた事件を解決してすぐに王都ファランテスにあるビュレガンセ冒険者ギルド連盟本部を訪れた後、拠点にしている街であるティリルに戻っていた。

そんな中、Aランクパーティー【ノーブルウィング】のリーダー格であるウルミナさん達の下を訪れている。


(先ほどよりも勢いは強い!どうなる?)


俺はユニークスキル【ソードオブハート】を発動させ、新たに手に入れた魔道具“ヴァラミティーム”を使用した上で、【土炎風水(どえんふうすい)魔法LV.1】『エレメンタルショット』をウルミナさんの【岩石魔法LV.3】『ロックランパード』で作られた岩壁に向かって放った。

そして、4色の弾丸がぶつかる。


ドォオオーーーーン!

「ぐぅっ!」

「うぅ!」

(何て威力だ!)


着弾した箇所を中心に爆発が起こり、近くで見ていたセリカ達にも爆風が襲う。

【ソードオブハート】によるパワーアップか、“ヴァラミティーム”の効果か、あるいはその両方による恩恵を加味しても、少なくとも最初に撃った時とは比べ物にならない威力だ。

少しして煙が晴れて……。


「うわ~」

「こ、これは……」

「比べ物にならない一撃とはこの事だな」

「【ソードオブハート】を使っていれば尚更ね……」

「「……」」


セリカ達は岩壁の方に目をやると、開いた口が塞がらないような表情になっており、ウルミナさんとルエミさんは感心したような顔つきに変わっている。

俺も改めてその方角に視線を戻すと……。


「マジか……?」


何と大きく分厚い岩壁の半分近くが抉れてボロボロになっている。

最初に撃った時は着弾した箇所を中心にソフトボールくらいの大きさのくぼみができており、そこからヒビが広がっているような状態だった。

しかし、【ソードオブハート】を発動し、“ヴァラミティーム”を握って撃った二発目は、比べるのも失礼なほどの威力だった。

それから数刻した後、セリカ達が駆け寄る。


「トーマさん!凄いです!」

「【ソードオブハート】を使ったようですけど、大丈夫ですか?」

「あ、あぁ。10秒も使っていないからそれほど疲労は溜まってないぞ。それに、あの威力は……」

「今、【回復魔法】かけますね」

「だ、大丈夫だって」

「一応やっておきましょうよ!」


セリカ達からは力を褒める賞賛と疲労が重なっているかもしれない心配の声を掛けられたが、本当に何の問題もない。

むしろ、想像以上に強烈な一撃を出せている自分に驚いて、自分で呆然としてしまう気持ちの方が強いくらいだ。


「見せてもらったわ」

「ウルミナさん!」


そこにウルミナさんとルエミさんが歩み寄って来る。


「最初に放った一発目よりも、【ソードオブハート】を発動している時の方が意識を集中させてコントロールできているのが私にも見て取れたし、あのボロボロになった岩壁がその証拠よ。ただの力任せではあのようにはならないわよ」

「そ、そうですか……」

「ベカトルブ近辺で発見されたダンジョンの攻略から鍛錬やクエストを重ね、死線を超えてきたのでしょうね。最近で言えば、あの“メガオーク”との戦いとか」


結果を見たウルミナさんとルエミさんは俺の成長を喜んでいる。

Aランク冒険者である二人から賞賛されたら、嬉しさが込み上げてくる。


「私から一つ質問があるんだけど、トーマのユニークスキル【ソードオブハート】を使用した時、どんな感覚になるのか教えて欲しいの。できるだけ、具体的にね」

「は、はい……」


ウルミナさんの質問に若干の疑念が過ったものの、俺は【ソードオブハート】を使用した場面を思い出しながら頭の中で纏め、言葉にして説明した。

ウルミナさんなら何か分かるかもしれないと思ったのもあるけど……。


「ふむ……。【ソードオブハート】を使用している時は身体能力の強化や魔力の増幅をもたらして、加えてトーマ自身もビックリするくらいに頭が冴え渡るような感覚になるって事なのね。また、もう一つのユニークスキル【ソードオブシンクロ】はそれをパーティーメンバーにも与えられると……」

「はい、そうです。何て言いますか、スゥッと集中力が上がっていって、目に見える視野、いや、目の前の世界が果て無く広がっていきそうな感覚になりますね。もっと言えば、()()()()()()()()()その力が増すのではとも思ってます。ただ、過剰に使用すると凄い疲労感に襲われて、精神力も摩耗されてしまうのが大きな弱点なんですよ」

「そう。一言で片づけるとすれば、自分の身体や精神力を削るのと引き換えのパワーアップってところかしらね。特に精神力の消耗については、集中力や視野の広さの向上を半ば強引に引き出した事による副作用だと捉えられるわ」

「言われてみると、そうかもしれませんね……」


俺が思い当たる節を掘り起こしまくって頭の中で整理した後に説明すると、ウルミナさんは得心がいくように話を纏めてくれた。

【ソードオブハート】をガンガン使ってた後の疲労感や精神力が擦り減ってしまう理由も納得できる。

酷い時には身体に受けたダメージもあって、五日間も意識を失ってしまった事もあったくらいだったから。


「私からも言わせて欲しいけど、トーマの【ソードオブハート】って、ただの自己強化系スキルじゃないと思っているの」

「どういう意味でしょうか?」


そう言い切るウルミナさんの表情には真剣さも宿っているようだった。


「さっきも言ったように、【ソードオブハート】を発動している間、身体能力が向上する事に加え、魔力も底上げされるって言うのは明らかだけど、必死……と言うよりも感情の昂りや何かを守りたい強い想いが反映されているのではとも考えているのよ。想いの強さに比例してパワーアップするスキルなんて、少なくとも私は聞いた事が無いわ」

「確かにユニークスキルの類って、使用している本人の戦闘スタイルや性分、立場に則ったスキルが大半と言うのは聞いた事がありますね……」

「えぇ。私も興味本位で様々な文献や資料、情報を基に調べてみたけど、セリカの言う通りだと思っている。だからこそ……トーマのユニークスキルは一際に異端と言っても不思議じゃないモノだと思ってる」

「!?」


ハッキリと断言するウルミナさんを見て、俺はただ、その場で立ち尽くすしかなかった。

異端とは、言ってみれば普通、もとい常識とかけ離れた概念と捉えられても可笑しくないと思われてもいいような表現だ。


(俺が……異端?それって、つまり……)

「あっ。ごめんなさい。勘違いしないで欲しいんだけど、悪い意味で不思議って意味じゃないの!異端と言っても、それは常識や正統からは少なからず逸れているって意味なの!どうかマイナスな意味で受け止めないでね!」

「は、はい……」


得も知れない気持ちを抱きかけた時、ウルミナさんは語弊を招いてしまって申し訳ないように取り繕った。

一時は混乱しかけたけど、すぐに落ち着きを取り戻した。


「おほん。話を戻すけど、トーマが持っている【ソードオブハート】は数あるユニークスキルの中でも、シンプルでいながらも特異かつ、異色って事なの。それはね、よくあるタイプの自己強化系スキルでいつつも、本人の心の持ちようや信念によっていくらでも、それこそ、断じ切る保証はないけど、際限もない力を発揮できる可能性を秘めた力って事なの。それ程までに貴重なスキルって意味よ」

「!?」

「だからね……その……」



「トーマが【ソードオブハート】を使いこなせれば、将来的にはどんな相手よりも強く凄い男になれるって意味なのよ。それこそ、歴史に名を馳せた英雄や勇者を超えかねない程に、無限の可能性を秘めた……ね……」

「え?」

(いや、男と言うより……存在とでも言った方がよかったかな……?)


そう言ったウルミナさんの表情は本気で思いながら、まんざらでもない様子だった。

俺は嬉しくも思いつつ、一種の複雑さを感じている。

俺にそんな力が……と……。


「ただ、体力や精神力の消耗が激しいのがデメリットなんですよね。そこは日々の鍛錬で鍛えていくしかないのでしょうか?」

「無論、それは大事よ。でもね、トーマの努力やセンス次第にはなるけど、体外に放出される魔力のオーラを身体や武器に帯びる系統の技やスキルをコントロールするには、本人の想像力が大きいと分析しているの」

「俺の……想像力……?」

「今までは体内の魔力を全身に、感情の昂りのような気持ちで効果を高めていたと思うけど、今後は身体の一部に流す事も意識して鍛錬をしてみるといいわ。当然、さっき私が言った類の事はセリカ達にも当てはまるからね」

「はい……」


今までは切り札で使ってきた【ソードオブハート】だったが、ウルミナさんの分析や考察のお陰で、その輪郭や本質を掴めてきたような気がした。

【土炎風水魔法】について相談するために来たものの、初めて得たユニークスキルについての理解も深まり、更に成長するきっかけを得られたと思う。


「ウルミナさん。ご相談いただき、本当にありがとうございます。お陰で、何かを掴めたような気がします!」

「そう言ってもらえると私も嬉しいわ。私にとっても面白いモノが見れたしね」


俺がウルミナさんにお礼を言うと、彼女は柔らかい笑顔を見せた。

相談に行って本当に良かったと改めて思うくらい、有意義な時間だった。


「ウルミナさん!」

「あら、ラルフ。鍛錬のために近くの岩場まで行ってたはずじゃ……?」

「物凄い爆発音を聞きまして……ってトーマ達?」

「ラルフさん、ご無沙汰しております」


飛んで来るように現れたのは、【ノーブルウィング】のメンバーの一人であり、『シーフ』のラルフさんだ。

先ほどの俺が放った一撃の爆発による音を聞いて駆け付けてきたらしい。

敵襲かと思ったらしいけど、そんな事はないとウルミナさんが宥め、事の経緯を話した。


「そう言う事か……。それにしても、あの時のダンジョン攻略で見つけた魔道具が正式にトーマが授かるとはな……」

「はい。使いこなして見せます!」

「頑張れよ!」


ラルフさんからもエールを送られ、もっと嬉しい気持ちになった。

俺達はウルミナさん達にお礼をして去った。


「益々成長しそうですね。彼等……」

「えぇ。特にトーマはあの魔道具もあって、更に強くなるわ」


見送っているラルフさんとルエミさんの表情は穏やかに微笑んでいた。

ウルミナさんも微笑ましい表情をしている。


「トーマ達……いつか私達と同じ場所まで来るわよ」

「それなら、私達もこのままではいられなくなっちゃうわね」

「そうですね。明日ジーナさんやランディーを鍛錬に誘ってみましょうかね!」

「只今~」

「帰りましたよ~」

「ジーナ、ランディー。お帰りなさい!」


そこに【ノーブルウィング】のメンバーであるジーナさんとランディーさんが買い出しから帰って来た。

ウルミナさん達は自分の邸宅に戻っていく。


帰路に着く俺は楽しみとワクワクの気持ちで満たされていた。

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