第188話 王都観光
王都を観光します!
俺達は王都ファランテスにあるビュレガンセ冒険者ギルド連盟本部へと向かう事になり、その代表であるゼラカール・フォートレイン総帥と邂逅するのだった。
要件を済ませた俺達はファランテスにいる。
「凄いな。王都は……」
「とても賑やかですね~」
「ティリルと比べるのも失礼な気はしますけど、とても栄えてます!」
「お店がいっぱいです!」
「お金持ちの方も散見されますね」
俺達は王都ファランテスにある城下町へとやってきた。
ビュレガンセ冒険者ギルド連盟本部のトップであるゼラカール総帥との話し合いを終えて、観光する事を勧められた。
宿を一泊分取って荷物を置いた後、町へと来ている。
衣食住に必要な物資が揃っているお店から冒険に向いた武具屋やアイテムショップ、料理を売る露店も充実しており、多くの人々が賑わって活気に満ち溢れている。
一般の民衆を中心に冒険者らしき人物や貴族や商人らしき人物もチラホラと見受けられ、中には観光目的で異国よりやって来た旅行者もいる。
どこから寄ろうか迷うくらいだ。
「まずは、いろいろと見て回ろうか!」
「「「「ハイ!」」」」
俺達はとりあえず、様々な種類のお店を巡る事にしてみた。
流石は王都なだけあって、店の種類も豊富でいて、衣食住に関連する商品や冒険者向けのアイテムの品揃えは本当に充実している。
唐揚げや串焼き等を売っている露店もいくつかあり、食べ歩きもしてみた。
その中で……。
「「「ん~~!美味しい!」」」
「ここのクレープ屋さん行ってみたかったのよね~!」
「ティリルでも新聞で何度も紹介されているお店なだけあるわ~!」
「評判に違わぬ美味しさですね!」
(めっちゃイキイキしてるな。女子達)
俺達はクレープを売っている露店に立ち寄り、5人分購入した。
ミレイユによると、王都ファランテスにしか売っていないクレープ屋との事であり、かなり評判が高くて有名店らしい。
実際に食べてみると、クレープ生地に包まれたクリームと果物に特製のソースが織りなすハーモニーが口の中に広がり、素材同士がよく調和されたような味わいをしっかり感じられてとても美味しかった。
セリカとミレイユ、エレーナの女子達はスイーツの話で盛り上がっている。
普段は冒険者の彼女達も、今では普通の女の子に見えるが、それもまたいい。
しばらくして散策を再開すると、俺は一つ思い付いた事があった。
「なぁ、ちょっと分かれて散策してみないか?皆で見つけた物とかシェアすればさ、また何かの機会で王都に寄った時、行きたいお店とかピックアップできればと思うんだ」
「それは良いですね!」
「私は賛成です!」
「わたくしもです!」
「僕も!」
「よし!決まりだな!」
満場一致で決定した。
俺はクルスと2人で、後はセリカら女子3人と男女綺麗に分かれた。
暗くなったら宿で合流する事にして、俺達は別行動を取り始めた。
「うわ~。凄い品揃えだ!」
「流石は王都の武具屋さんですね!」
俺とクルスはメインストリート脇にある武具屋に入ってみた。
ティリルにあって御用達の武具屋である『ロマンガドーン』と比べても、建物の大きさも広さも倍以上あり、多種多様な武具が揃っている。
剣や槍、防具と言ったオーソドックスな物は当然、特殊な形状をした武器も置いてある。
中にはビュレガンセで売っていると思えない異色さ、異国情緒を感じさせる武器もあった。
俺はゼラカール総帥から“ヴァラミティーム”を授かったので新しい武器はそれほど欲してはいないものの、種類の多さから夢中で見て回った。
「ミスリル製の剣がこんなに売ってる。『ロマンガドーン』でもここまで無いのに……」
「随分と変わった形をしていますね。このナイフ……と言うより何だろう?」
「どれどれ?」
「僕が普段使っているロングナイフと比べれば、こちらは少し厚みがありますね。ミスリル製なだけに重量感はそれほど感じないような……」
「本当だ」
クルスが目に付けたロングナイフを試しに俺も握ってみると、見た目に反して軽々と振るいやすい。
王都の武具屋は扱うレパートリーも広いため、珍しいタイプの武器や防具を目にする機会も珍しく無さそうだ。
「何だ?欲しいのか?」
「え?いえ、ちょっと珍しい形をしていると思っただけで、欲しいとは思ってません」
「そうか?」
クルスはキッパリと断った。
お金についてだが、先のウェシロスで起きた事件の解決に貢献した俺達は現在、懐がホックホクなのだ。
と言うのも、事件の首謀者である悪徳貴族だったクジャール伯爵家やヴェヌトイル商会の会長らを一斉に検挙したため、彼等の資産を差し押さえの末に金へと代わる事になり、その金額の一部を解決に動いた冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】や【ティア―オブテティス】を含め、被害者が所属する冒険者ギルドに報奨金や謝礼金と言う形で支払われた。
特に解決に大いに貢献した者達への特別報酬として、俺達は結構な金額を貰う事になったため、懐はかなり潤っている。
それでも、無駄遣いしないようには心掛けているが、戦力アップのために一段階以上強い武具を揃える機会があるなら、活かしたいとも思っているのが本音だ。
「それにしても、ファランテスの武具屋やアイテムショップって、取り扱う種類もそうだが、強くて効果がありそうな物も多くあるよな」
「そうですね。国の中心都市でありますから、他の街と比べても上質な武具やアイテムが出回る事も珍しい話ではないとは聞いていますが、まざまざと実感させられますね……」
「流石は王都ってか……はははは……」
滞在する時間は今日と明日の午前中だけであるものの、俺はビュレガンセの王都であるファランテスの凄さを実感しつつあった。
やはりどんな国でも首都は全てが詰まっていると思わせるには充分だった。
俺達は気持ちを切り替えて、ウィンドウショッピングのように店を回っては空いた小腹を埋めるように露店で食べ歩いた。
「国の中心都市は何から何まで凄いんだな」
「僕も初めて訪れてよく理解できましたよ」
「やっぱりか!それで思ったけど……」
俺はクルスとファランテスで巡った城下町について語り合っていた時だった。
「キャッ」
「あ、ごめんなさい」
「大丈夫です。失礼しました」
王都に住んでいるであろう一人の女性とぶつかったが、そそくさと去られてしまった。
カジュアルなパーカーに付いているフードを被っていたせいで顔は見えなかったが、女性であるのだけは声や一瞬ぶつかった時の感触で分かった。
加えて、素顔が見える事を随分と恐れているような仕草だった。
「……」
「クルス。どうかしたのか?」
「いえ、何も。トーマさん。気付けば日が沈みかけている頃なので、一旦宿屋に戻りませんか?セリカ達と合流して、夕飯についても相談してみようかと……」
「それもそうだな……」
(今ぶつかった人……)
クルスは先ほどぶつかった女性が最後に通った路地裏をしばらく見つめていた。
それから俺はクルスに促される形で、一泊する予定の宿屋へ戻る事にした。
セリカ達と合流した後、俺達は近場の飲食店で美味しい料理やお酒を堪能した。
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