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何でも屋として生きていくアラサーの異世界ライフ ~サブカルチャー大好きな高卒アラサーが異世界に召喚されて現実世界で得た知識と経験をフル活用したら多方面で無双しかけている件~  作者: カワチャン
第三章 大事件の遭遇と偉大な人物達との邂逅

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第179話 事件のその後【前編】

事件のその後についてが明かされます。

その前編です。

俺達は同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされ、Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさん達と共に捜索や調査に当たる事となった。

数々の障害や困難に遭遇した俺達だったが、事件は終息へと向かっていった。


「ミリアさん達が、助けてくれたと……?」

「はい。間に合って何よりでした」


俺達の目の前にいるのは、ウェシロスを拠点にしている冒険者ギルド【ティア―オブテティス】に所属するAランクパーティー【ヴァルキリアス】のリーダー格であるミリア・メーティスさんだ。

最近までは遠征のために他国へと赴いていたのだが、帰ってきて早々に事件を知り、自分が所属する冒険者ギルドのメンバーも被害を受けている事を把握すると協力してくれた。

話によると、ミリアさんを筆頭に【ティア―オブテティス】に所属する冒険者達はビュレガンセ王国騎士団西方支部で不正を働いた騎士やヴェヌトイル商会の関係者達の監視、緊急時にはウェシロスに住んでいる民衆の避難まで行ってくれた。

何より、“ゴーレム”の改造手術を施された“メガオーク”を倒した際に起きた大爆発から俺達を守ってくれた。

それから迅速に俺達の介抱や傷の手当までしてくれたお陰で全員が生きて戻って来れたと言う訳だ。


「本当にありがとうございます!ミリアさん達がいなければ、どうなっていた事か……」

「いえいえ。むしろ、お礼を言うのは私達の方ですよ。冒険者達が行方不明になってしまった事件だけでなく、騎士団の不正を暴く一助も担っていただけたのですから……」


俺は命を救ってくれたお礼をミリアさんにすると、彼女は謙虚に対応してくれた。

そこでバダックさんが口を開いた。


「そう言えば、騎士団やクジャール伯爵家とかについてはどうなったのでしょうか?」

「それらについてはですね……」


ミリアさんはバダックさんからの質問に答えてくれた。

“メガオーク”の討伐が終わった翌日、騎士団の副隊長であるエルヴォスさんと彼の右腕であるシモーヌさんを中心に捜査が入った。

今回は西方支部の騎士団が不正を働いたと言う情報もあったため、王都ファランテスにある本部の騎士団が協力と言う意味で何名かが派遣される事になった。

クジャール伯爵家の当主であるポドルゾと繋がり、不正に手を染めていた隊長のノージンを筆頭に、彼に加担していた騎士は漏れなく解任され、王都へ移送された。

加えて、前隊長だったザガールさんはノージンが部下をけしかけて毒を盛らせ、苦しみ弱ったところを事故に見せかけて殺害したと言う事実も判明した。

隊長の椅子に座りたいがために殺人行為を働く事そのものは重罪であり、不正を働いた騎士の中でも特に厳しい罰を受けるのは明白だ。

ヴェヌトイル商会の関係者達も取り調べを受け、不正や腐敗の証拠がこれでもかってくらいに出てきた事で、監査の結果、ポドルゾの派閥貴族やその関係者は重要参考人としてこちらも王都へと移送されるとの事だ。

処罰は人それぞれにはなるだろうが、少なくとも、爵位を持つ貴族は失爵で領地や資産も没収される羽目になるそうだ。


「ポドルゾもそうですけど、ヴェヌトイル商会の会長であるゲルグオはその後、どうなったんですかね?」

「それがエルヴォスさんによりますと……」


俺はポドルゾやゲルグオの動向が気掛かりになった。

“メガオーク”との戦いですっかり忘れていたのだ。

エルヴォスさん曰く、何とクジャール伯爵家の地下の一室でポドルゾがいたらしく、そこにはゲルグオやその息子であるギゼオロも同様だった。

発見された時には3名共、何者かによって拘束されていたようで、発見されるまで大分弱っていた様子だったとの事だ。

当然、この事件における首謀者であるため、王都へと移送されてしまい、こちらは収監が確実だろうとミリアさんは言っていた。

ゲルグオの実子であるギゼオロのギフトは『調香師』であり、【アテナズスピリッツ】に所属し、冒険者が行方不明になる事件の被害者であるギンゼルさんやその他数名が薬物で操られた大きな要素である違法薬物を作っていたのはそのギゼオロであると判明した。

捕えられた冒険者達が薬物で狂乱化し、デスゲームをやらせるように指示したのはポドルゾであり、ゲルグオがギゼオロに指示して作らせ、金で買収していた事も明かされた。

ポドルゾだけでなく、彼の派閥貴族も面白半分で観戦しており、賭け事までしていた事も分かったのだから、悪趣味ったらありゃしない。


「それじゃあ、行方不明になった冒険者達は……」

「現在は王国の本部の騎士団や西方支部の騎士団が一丸となって行方不明の冒険者達を捜索中ですよ。あっ、ウチのギルドと【アテナズスピリッツ】の冒険者の皆様はもう見つかっていますよ」

「本当ですか?」

「他のギルドで見つかっていない方々もいますが、8割ほどは完了しています」


何とギンゼルさんが率いるCランクパーティー【ゴーファイターズ】のメンバーは見つかっており、生存している事が判明した。

ギンゼルさん達のメンバーはウェシロス近辺に隠されたアジトに捕らえられ、監禁されていただけでなく、魔力を吸い出す魔道具に拘束されてしまった事で、魔力欠乏症と言う病に襲われてしまっていた。

魔力欠乏症とは、名前の通り魔力が空になってしまった事で、それを補うために身体の筋力や体力が徐々に低下してしまう病だ。

魔力回復ポーションと生理食塩水を混ぜた点滴を打ち、適度な休息を取れば自然回復するものの、それをやらずに長期間放置してしまうと、最悪死に至ってしまう。

『魔術師』や『僧侶』のギフト持ちがメインでその被害を受けており、中には未だに意識が戻らない冒険者もいるらしい。


「その、ギンゼルさんと言う方のパーティーメンバーや我々のギルドのメンバーはしばらく絶対安静ですが、適した休息を取ってリハビリを頑張れば、現役復帰も可能だって『治癒師』の先生も仰っていましたよ!」

「それはよかったです……」

「後、ヴェヌトイル商会が裏で開発している違法の魔道具やアイテムの製造をしている場所も、検挙に乗り出しています。悪事が明るみに出て商会が解体するのは時間の問題ですよ」


どうやら【アテナズスピリッツ】や【ティア―オブテティス】に所属する冒険者達は回復傾向にあると知り、胸を撫で下ろした。

俺達が行方不明になったギンゼルさん達の調査に乗り出している中、ヴェヌトイル商会が持っている場所や建物等、怪しい要素がいくつもあった。

それらはヴェヌトイル商会が密かに行っていた違法取引を行うための魔道具やアイテムを製造する場所や取引場所の隠れ蓑であり、裏で汚い金を得るための足掛かりだった。

それを商会が発足されて数年から始め、短くない年月に渡って現在まで続けていた。

聞けば聞くほど、ヴェヌトイル商会がクジャール伯爵家を始めとする悪徳貴族とどれだけズブズブな関係にあったのか、危険な商売をしていたのかが分かってくる。

もっと言えば、ノージンが隊長をしている時の西方支部の騎士団の腐敗具合いも……。


「ヴェヌトイル商会が急成長を遂げたのも、裏でやっていたビジネスで得た汚い金をふんだんに使った事も大きかったって訳ですか」

(急激な拡大には裏があると思っていたけど、やっぱりか……)


クルスが呟き、俺も今までどうしてヴェヌトイル商会が現在まで早い段階で気鋭の商会として有名になった理由も納得がいった。

だが、今回の事件に関わるまで、その闇の深さや恐ろしさを知る由もなかった。

俺達が以前に携わったイントミス周辺で起きた闇ギルドの件とは程度も質も、同等以上の根深さもあったのだから。

それほどまでに、今回の冒険者達が行方不明になった事件は界隈に衝撃的な影響力を及ぼしかねないニュースとなるのは間違いなかった。


「ミリアさん。僕から一点お伺いしたい事がございます」

「何でしょうか?」


そこでクルスがミリアさんに一つの質問を投げかけた。


「ジゲラさん達【スターレック】の面々は今後どうなるのでしょうか?」


俺は強い緊張を一瞬だけ走らせた。

【スターレック】はミリアさんがいる【ティア―オブテティス】に所属するBランクパーティーであり、ジゲラさんがそのリーダーを務めている。

それに対してミリアさんが答える。



「【スターレック】のリーダー格であるジゲラは……。冒険者に復帰するのは困難を極めるでしょう。他のメンバーについても今後はどうなることか……」

「え?」


そう言っているミリアさんの顔には少なからぬ悲しさが滲んでいる。


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