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第177話 逆転劇!

決着が着きます!

俺達は同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされ、Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさん達と共に捜索や調査に当たる事となった。

事件に関わっている『テイマー』であるマラリナが引き起こした事件は混迷を極めていった。“ゴーレム”の改造を施された“メガオーク”との戦いは佳境に差し掛かった。


(何だ?この感覚……?)


“メガオーク”を前に、既に限界寸前の俺は不意に奇妙な感覚に襲われた。

暖かさと冷たさ、涼しさと力強さが入り混じったような気持ちであったが、不思議と不快感は覚えない。

むしろ、清らかな大自然の中に放り込まれたような、安らぎさえ覚えそうな感覚だった。

その時だった。


「ガァアアア!」

「「トーマさん!」」

「トーマ!」

(クソ!魔力が……)

「……」


“メガオーク”は腕に付けられた大砲を再び俺に向けて発射態勢に入った。

ミレイユとエレーナ、バダックさんが叫ぶ。

そして、魔力を収束した砲撃は無慈悲に俺へ向かって放たれた。

まさに当たる寸前……。


(【ソードオブハート】!)


俺は本能的に自分が持っているユニークスキル【ソードオブハート】を発動させていた。

一時的に身体能力やスキルの効果を高める能力があり、その上昇値は俺のメンタルや気持ちに左右されると言うモノだった。

余り長い時間しようしてしまうと体力や精神力をかなり削る欠点はあるものの、このスキルのお陰で俺は何度も窮地を脱してきた。

実際、“ゴーレム”の改造を施された“メガオーク”が放った砲撃を俺は躱しており、凄まじいスピードで動いている。

だが、以前とは違う事がある。


「身に纏う魔力が……いつもと違う……」

「え?」


最初に変化に気付いたのはミレイユであり、エレーナは思わず聞き返す。

そう言えば、エレーナはミレイユと比べて俺が【ソードオブハート】を使っている場面を余り見ていないからな。

そうして、二人の目に映っているのは……。


「何だろう?纏う魔力に彩りがあるような……」

「言われて見れば、そうですね……」

(いや、彩りって言うか……)

「【炎魔法LV.1】『ファイアーボール』!」

「【風魔法LV.1】『ウインドスライサー』!」

「【水魔法LV.1】『アクアショット』!」

「【土魔法LV.1】『アースロープ』!」

(あれ?【水魔法LV.1】や【土魔法LV.1】が使える。てか、何だろう?この感覚……?)


ミレイユの言う通り、【ソードオブハート】を使う時は魔力の鎧のようなモノに包まれたようになる俺だったが、赤と青、緑と茶色が入り混じったような彩りも帯びている。

その上、ただひたすらに大きく放出と言うよりも、自分の身体の一部のように馴染んでいるようにも見える。

力が漲るように、俺は動き回りながら攻撃を加え続けていき、“メガオーク”の身体にも少しずつ、確実にダメージを刻み始めていく。

その状況の中で、ミレイユとリエナさんが驚きを隠せない表情をしていた。


(トーマさん……。LV.1の段階とは言え、【水魔法】や【土魔法】をいつの間に……?)

(基本の四元素の魔法が使える『魔術師』なんて、世界中を見渡しても極稀なはずなのに……。これもトーマが持つギフトの力なの?いや、それとも……)

(何だろう?いつもの【ソードオブハート】よりも、身体が軽く感じる。まるで、羽が生えたようだ……)


俺のギフトは『何でも屋』。

それぞれの人間が与えられたギフト特有のスキルを習得できる可能性を持っている。

セリカやミレイユ、クルスやエレーナと共に過ごし、戦い、生き続けた。

先達の冒険者達の背中を見てきた。

その過程で様々なスキルを会得し、磨き続けてきた。

初めて得られたユニークスキル【ソードオブハート】はただの強化魔法ではない。

俺自身の気持ち、想い、信念が形になって反映され、力に変わる。

“ゴーレム”の改造を施された“メガオーク”を前に【ソードオブハート】を発動した俺は、これまで感じた事のない何かを抱きながら戦っていた。


「グゴォオオオオオオ!」

「【剣戟LV.2】&【風魔法LV.1】『ソニックブーム』!」

「ガァアアア!」

(圧倒している……。さっきまでの苦戦が嘘だったかのように……)


俺は“メガオーク”に【剣戟LV.2】&【風魔法LV.1】『ソニックブーム』を放った。

【ソードオブハート】も発動させているため、その威力は先ほどとは比べ物にならず、“メガオーク”の身体は後ろに吹き飛ばされた。

近くにいるバダックさんは希望と驚嘆が入り混じったような表情をしながら見守っている。


「ふぅううう……」

(魔力が集中している……)


“メガオーク”が態勢を崩している間、俺は眼を閉じ、握っている剣を前にかざす。

続いて俺は集中力を高め、魔力を練り上げていく。

鮮やかな赤色と青色、緑色と黄色が入り混じったような魔力が全身を包み、俺の感覚も鋭い刃のように研ぎ澄まされていく。


「グルゥウウ……」

「……」

「ガァアアア!」


そんな中、“メガオーク”は態勢を立て直し、俺に視線をやる。

すると俺を見るなり、本能的に拳を振り下ろしてくる。

そして……。


「ウォオオオ!」

「ガァアアア!」


俺は“メガオーク”に向かって突進していく。

その攻撃を際で外し切り、上空へと高く飛んだ。

【ソードオブハート】を発動させた状態で、限界まで練り上げた4色に彩られ魔力と剣を振りかざしながら……。



「【剣戟LV.2】&【土炎風水(どえんふうすい)魔法LV.1】『エレメンタルセイバー』!」

「グギャアアアアア!」


俺は【土魔法】・【炎魔法】・【風魔法】・【水魔法】、魔法の四元素が込められた剣を“メガオーク”へと振り下ろした。

その身体は綺麗な切り口を残しながら、頭から地面まで見事に両断された。

“メガオーク”は光の粒子へと変わっていきながら、“ゴーレム”の改造手術を施す際に使用されていたボロボロとなった鎧や装備を残し、消滅していった。


同時にそれは、俺達の勝利を告げるのだった。


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