表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

194/368

第174話 【クルス視点】伸び代

久しぶりにクルス目線の話です!

僕達は同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされ、Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさん達と共に捜索や調査に当たる事となった。

僕達はウェシロスにある王国騎士団西方支部の副隊長であるエルヴォスさんと協力し、不正や癒着に手を染めている関係者の監査に乗り出していく中、事件に関わっている『テイマー』であるマラリナが引き起こした事件の解決へと動いている。


僕は雑木林の原っぱにて、マラリナが操る“フィッシャーナイト”と向き合っている。

次の瞬間……。


「ガァアアア!」

「シュッ!」

「ガァア!」

「ハッ!」


“フィッシャーナイト”が距離を詰め、僕に槍の一突きを当てようとしたが、見事に躱す。

続いて【水魔法LV.1】『アクアスライサー』による水の刃を放つが、これも回避してみせた。

操られているのを考慮しても、“フィッシャーナイト”はモンスターの中でも高い知能を持っており、魔法も使えるため、『魔法が使える戦士のようなモンスター』と評する者も意外と多い。

事実、トーマさん達と共にやり合った時もその通りだったのだから。

初めてやり合った時は気を張り詰めずにはいられなかった相手だった。

けど……。


「ギィイイイ!」

(分かってきた。分かってきたぞ!)



マラリナによる強化を施された“フィッシャーナイト”の槍捌きや魔法を交えた戦い方に脅威を覚えていないと言えば嘘にはなる。

だけど、それほど恐怖は抱いていない。

むしろ、まだ余裕があると思っているくらいだった。


(やっとモノにできるようになった気がしましたよ。モレラさん)


僕はモレラさんに修行を付けてくれた時を思い出している。



□■□■□■□■□■□■□■□■□


回想・ベカトルブに出発する数日前———————


「クルス。今から教える事は戦闘において生き残るのに役立つ事だ。どうか覚えて欲しい」

「はい!」


僕は【ブリリアントロード】の中でも、モレラさんから特に教えを受けていた。

『シーフ』のギフトを授かった僕と『アーチャー』のギフトを授かったモレラさんだが、意外な共通点がある事を知った。


「クルス。『魔術師』にはない『アーチャー』の強みは何か分かるかな?2つ以上挙げてごらん」

「『アーチャー』の強み……ですか?まず一つ目に言えるのは、感知系のスキルに関してならば『シーフ』に次いで高いと言う事でしょうか?」

「一つ目はまずそれが正解だね」


モレラさんからの質問に対し、僕はまず一つ答える事ができた。

続いて二つ目の答えについて考えた。


「【気配遮断】のスキルが使えると言う事でしょうか?」

「正解だ!よくできました」


僕が正解を言うと、モレラさんは応えられた生徒を称える先生のように喜んでくれた。

更にモレラさんの話は続いた。


「【気配感知】や【魔力感知】を始めとする感知系のスキルを上手く活かせるかどうかが『アーチャー』や『シーフ』のギフトを授かった者の実力の見せ所なんだ。一重に感知系のスキルは人やモンスターを探すためだけのスキルではないと俺は思っている。いや、俺と同じくらいかそれ以上のキャリアを持った冒険者の大半が思っているだろう……」

「そのために【気配感知】や【魔力感知】を磨き、鍛錬を重ねていけば、目の前の相手の動きだって分かるようにもなる。自分の不利な距離で戦う羽目になっても、窮地を脱する事ができる武器ともなれる」


モレラさんの説明を聞いて、僕はこの人が何を言いたいかが少しずつ理解し始めていった。


「【気配感知】や【魔力感知】等の感知系のスキルは捜索だけでなく、戦闘にも応用できる。と言う意味でしょうか?」

「その通りだ。君は賢いね」


僕が思った答えを口にすると、モレラさんは正解だと教えてくれた。


「それを言えば、『剣士』や『軽戦士』を始めとする近接戦が主になるギフト持ちにも可能ですよね?」

「一理あるが、【気配遮断】スキルを会得できるギフト持ちは隠密行動を可能にできるのが強みなんだ。同時に【気配感知】や【魔力感知】をいかに組み合わせられるかどうかで近接戦を本来得手としないギフト持ちでも、正面切っての戦闘のクオリティも上げていける。今からそれを教えていく」

「ハイ!」


そうして僕はモレラさん指導の下で戦闘の心得を教えてくれた。

読んで字のごとく、【気配感知】スキルは生物の気配、【魔力感知】スキルは生物の魔力をキャッチする感知系のスキルだ。

『シーフ』や『アーチャー』はその二つが伸びやすいのも特徴だ。

模擬戦のように動き回り、気付いた事をフィードバックし合いながら取り入れて行動に移す事を反復していった。

加えて相手の身体の動き、目線、距離の開け具合い等、目に見える要素はよく見て観察していく事も心掛けていった。

ある時……。


「フンッ!」

「「「「「ギャァアア?」」」」」


修行の合間を縫って、モレラさんが所属するパーティー【ブリリアントロード】の皆様とアライアンスを結び、コロニー殲滅のクエストに行った事がある。

そこでモレラさんから教わった事を思い出しながら、戦闘にも取り入れられるように努めていった。


「フン!ハッ!」

「「「「ギャァアアア!」」」」


煙玉や炸裂弾に【気配遮断】スキルを用いた立ち回るだけでなく、正面切っての戦闘でも、【気配感知】や【魔力感知】等の感知系スキルを活かして撃ち合えるようになった。

気付けば、“ゴブリンナイト”数体ならば正面からやり合っても勝てるようになり始めていった。

修行を付けてくれたモレラさんには感謝しかなかった。

そして、こうも思わせてくれた。


(僕はまだまだ強くなれる……と……)



回想終了———————


□■□■□■□■□■□■□■□■□


「シャァアアア!」

「シュッ!ハッ!」

「ガァア?」


僕は“フィッシャーナイト”による練度の高い槍捌きと【水魔法】を自然と捌けるようになっていった。

動体視力だけでなく、【気配感知】や【魔力感知】スキルを交える事で、“フィッシャーナイト”の動きや魔法を放つ瞬間まで手に取るように分かった。


「ここ!」

「ギャァア!」


僕は“フィッシャーナイト”が【水魔法】を撃つ時に一瞬だけ脚が止まる事を見抜き、その前に一瞬で近付き、カウンターの深手を負わせる事ができた。

今までは投げナイフや煙幕、炸裂弾等を用いた搦め手を使ってどうにか接近戦をこなしていた僕が、一人で“フィッシャーナイト”と互角以上にやり合えているのに驚かずにはいられない自分がいる。


「ギィイイイ!」

「フッ!シッ!」


“フィッシャーナイト”が連続で打ち込んでからの渾身の突きを紙一重で躱し、僕は懐へと飛び込み……。


「【剣戟LV.2】『暗空十字』!」

「ギャァアアア!」


僕は最近会得できた【剣戟】スキルで“フィッシャーナイト”の首を両断した。

そして、魔石と操っていた魔道具を残し、その身体は光の粒子となって消えていった。


「ふぅ……。上手くできたな……」

「クルス!」


僕が少し安堵していると、モレラさんが駆けつけて来た。

様子を見るに、大したダメージは負っていない様子でホッとした。


「モレラさん!ここから近いのは……」

「ウィーネスやセリカの方だな。俺達も加勢に行こう!」

「ハイ!」


“フィッシャーナイト”に追いかけられる形で雑木林の奥へ入ってしまったので、急ピッチでセリカとウィーネスさんが甲冑の騎士と戦っている場所へと走って行った。


最後までお読みいただきありがとうございます。


評価はページの下にある【☆☆☆☆☆】をタップして頂ければ幸いです。


『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、コメントやレビューを頂ければ幸いです。


面白いエピソードを投稿できるように頑張っていきます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ