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第169話 怪しきテイマーの囁き

怪しいテイマーの名前が分かります!

そして、事件はとんでもない方向へと動きます!

俺達は同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされ、Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさん達と共に捜索や調査に当たる事となった。

俺達はウェシロスにある王国騎士団西方支部の副隊長であるエルヴォスさんと協力関係を結び、不正の元凶である隊長のノージンらを制圧する事に成功した。

そして、エルヴォスさん主導の下、不正や癒着に手を染めているクジャール伯爵家の緊急監査が行われた。


ビュレガンセ王国騎士団西方支部—————


「さっさと歩け!」

「大人しくしろ!」

「うぅ……」

「何でこんな事に……」


ビュレガンセ王国騎士団西方支部には、エルヴォスさんの部下であり、右腕的存在であるシモーヌさんが中心になって、不正に関わった騎士に加え、職員や業者達を連行している。

エルヴォスさんに賛同している良心を持った騎士達によって、ヴェヌトイル商会の不正や黒い取引のある証拠をあぶり出した。

【ティア―オブテティス】の冒険者達も協力してくれたお陰で、不正に関わったヴェヌトイル商会の人物達を逃がす事なく、スムーズに進んだ。


「シモーヌさん、我々が不正を働いた騎士達を見張っておきますのでご安心下さい!」

「ウェシロスに戻って早々にご協力感謝します!ミリア殿!」

「いえ、騎士団の不正や腐敗は私達にとっても見過ごせない事ですので……」


シモーヌさんがお礼をしている相手はミリア・メーティスと言う女性であり、冒険者ギルド【ティア―オブテティス】に所属するAランクパーティー【ヴァルキリアス】のリーダー格に当たる人物だ。

腰まで届く長さの輝くような金髪に翡翠色の瞳をした美しい顔立ちをしており、背丈も女性にしては高めである。

装備も急所を守る事と動きやすさに焦点を置いた軽鎧に身を包んでおり、腰には一目で一級品と分かるくらいに立派な長剣を携えている。

ギフトはセリカやウィーネスさんと同じ『軽戦士』であり、その実力や名声はビュレガンセ国内だけに留まらず、他国にも轟かせているほどだ。


「後は、クジャール伯爵家やその派閥貴族の監査と取り締まりですね」

「王都にある本隊の騎士団にも応援要請をしておいたので、直に……」

「それは心強いです!あ、心強いで思い出したのですが、【ティア―オブテティス】以外の冒険者ギルドも協力しているとも存じておりまして、その方々も今はクジャール伯爵家に?」

「あぁ、今頃エルヴォス副隊長と共に監査に乗り出しているはずだ」


シモーヌさんはそう言い切ると、成功を信じるように空を見上げており、ミリアさんも同様だった。


一方、クジャール伯爵家の屋敷——————


「はぁ、はぁ……」

「あ!クボラさん、クボラさん!良かった、見つかって」

「どうした?そんなに息を切らせて。何があった?」

「それがですね……」


一人の騎士らしき人物がクボラと言う人物に縋るような様相で報告に来ていた。

くすんだ茶髪の短髪にシャキッとした人相の中に、どこか人生を諦めているような雰囲気を醸し出しているクボラはその応対に踏み切った。

そして部下の報告を聞いたクボラは……。


「エルヴォス達が緊急監査でここに来ている?どう言う事だ?ノージン隊長は?ノージン隊長は一体……」

「そのノージン隊長は既に捕縛されている上に、更迭される手筈になっていまして、このままでは……」

(まずい!こんな状況では……)


クボラは必死で考えを巡らせていたが、有効な方法は見出せなかった。

ノージンはクボラから見て、同じように不正に手を染めた者同士であり、最も信頼を置かれている部下と見られている。

故に、ノージンにとって不都合な情報が出てしまう事は即ち、クボラの身の回りや今後に大きく影響を及ぼしてしまう事を意味している。


「仕方がない。お前らは騎士達を集めてエルヴォス副隊長を食い止めておけ!俺はその隙に参加している来賓の皆様を裏口から非難させる!誰も中に入れるな!」

「「「「「はっ!」」」」」

(ノージン隊長が捕縛されたと言う事は、あの人に賛同して証拠隠滅に動いた騎士達や支部で待機している騎士達も行動不能であると意味する。もしも今、監査に入られでもされたら、俺の立場も危ういじゃねえか!)


まずは会合に来ている来賓達の避難を最優先すべきと判断したクボラは部下達に指示を飛ばし、自身はホールへと向かった。

隊長だったノージンが特段信頼している部下だけあって、その判断と行動は素早かった。

それと同時に打算的でもあった。


「む?」

「どうされましたか?」

「何やら廊下が少々慌しいような気はするが……」

「ポドルゾ様!お耳に入れたい事が!」

「何事だ?」

「今、騎士団の方々が……」


ホールに現れたのはポドルゾの側近と思しき従者であり、その表情は焦りに満ちており、忙しない様子で耳打ちをしている。


「な、何だと?騎士団の緊急監査?」

「はい!その中心人物がビュレガンセ王国騎士団西方支部の副隊長であるエルヴォス様でありまして」

(何故エルヴォスが?ノージンは何をしている?)


事情を知ったポドルゾや歓談していたゲルグオ達に動揺の色が浮かんだ。

今いる屋敷には自身以外にも派閥の貴族の当主や関係者が多くいる。

同時にそれは騎士団やヴェヌトイル商会との癒着や不正と関りがある者達で一杯であると言う事も意味している。

つまり、ここで捕まってしまえば自分達は罪人として王都に引き渡された末に投獄の身となってしまうのは瞬時に理解できていた。

そうなれば爵位どころか人生も台無しになる。


(ここはとにかく……)

「参加者の者達に共有したい事がある!申し訳ないが、この場を以て会合を中止とする!速やかに屋敷の裏口から出て行ってもらう!」

「何事だ?」

「今良いところなのに……」

「何?恐い……」

「事情は落ち着いたら話す!今は私の言う事を聞いて行動を!」


危機感を覚えたポドルゾは参加している来賓達に屋敷の裏口から出てもらうように言い聞かせ、従わせた。

そこからはパニック状態となった。

参加している来賓の皆様は混乱の表情を浮かべながら、蜘蛛の子を散らすようにその場から逃げ出そうとしているのだから。


「……」

「マーカス!お前はここに残って騎士達に加勢して来い!俺はイミニとアコナを連れてゲルグオ様と屋敷を出る!」

「え?何で?」


マーカスさんはもう誤魔化せないと言わんばかりの様子であるのを他所に、ジゲラは不正に加担している騎士達の援護を命じた。


「決まってんだろ!足止めだよ!足止め!上手くやれよ!できなかったらお前が首謀者だって国中にばら撒くからな!」

「ッ!」

「さぁ、こちらへ!」

(コイツを利用しておこぼれもらうような真似はもうできなくなるかもしれないが、ゲルグオ様達や俺の安全が一番だ。それに最近、反抗的になってきているし、念願の魔道具も手に入ったから、もう用済みなんだよな……)


それは事実上の追放宣告であり、蜥蜴の尻尾切りだ。

ここに来て、ジゲラはマーカスを切り捨てる選択肢を取り、自分達の安全を選んだのだ。

言い捨てたジゲラはゲルグオとギゼオロを連れて部屋を出て行った。


「……」

(結局……。こうなるのかよ……)


一人部屋に残されたマーカスさんは、喪失感と虚しさに包まれながら立ち尽くすしかなかった。


「ジゲラ!外で何か騎士達が騒いでいる様子なんだけど……ってゲルグオ様とギゼオロ様?大丈夫ですか?」

「おう、イミニ、アコナ!ここから出るぞ!」

「え?てか、マーカスはどうしたの?」

「アイツは殿を買って出てくれた!その隙に逃げるぞ!」

(嘘だけどな)


普通じゃない状況である事を悟ったイミニとアコナは独断で待機している部屋から出てきてジゲラ達と合流した。

出くわしたジゲラも状況を説明した。

当然、打算的で口の上手いジゲラはマーカスを見捨てた事は一切伝えなかった。


「とにかく、早くここを出て……」

「今一度落ち着きませんか?」

「「「「!?」」」」

(この女は?)

「おぉ、マラリナ……」


するとマラリナと言う一人の女性が角から現れ、ポドルゾ達を落ち着かせた。

暗めの茶髪のロングヘアーは右眼がかかった美女であり、紫色をベースにした煽情的な衣装に身を包み、黒いコートを肩にかけている。

ポドルゾのお抱えの従者にも見えるが、纏う空気は上品さと退廃さを兼ね備えているようにも思える。


「逃げるのも一手ですが、それだけではどこまでも追いかけて来ます。実際、屋敷の裏口や周囲は間もなく包囲されます」

「何だと?」


マラリナが言うには、クジャール伯爵家の屋敷周りにはエルヴォスさんの部下達が包囲しており、迂闊に出れば捕まってしまう状況にまで追い込まれているとの事だ。

このままでは屋敷にいる者達が捜査の対象として連行されてしまい、不正が暴かれるのも時間の問題だ。


「ど、どうすればいいのよ?ジゲラ!」

「私達は少なくとも悪くないでしょ!」

「う、うるせえ!そんなの……」

「この騒動。私が何とかしてあげましょうか?」

「「「「「え?」」」」」


マラリナの思わぬ一言に対し、ジゲラ達はその場で固まった。

ポドルゾやゲルグオ達から見れば願ったりかなったりだが、本当にそんな事ができるのかが疑問を抱きたくなるのは最もだ。


「本当にそんな事ができるのか?」

「えぇ、できますよ。それからあなた達の協力があれば尚の事よ」

「どういう意味だよ?」

「ふふっ、それはね……」


訝しむジゲラに対し、マラリナは妖しい笑みを浮かべている。

続いてマラリナは説明した。


「は?それって……」

「もう、この方法以外で皆が助かる道は残っていないのよ」

「助かるならば最早何でも良い!もう行くぞ、マラリナ!」

「はい、お任せ下さい……」


衝撃の表情を浮かべるジゲラと飄々と答えるマラリナ。

ポドルゾ達は一目散に逃げ出す。


「どうする?今やればあなた達も助かるのよ……。それとも、破滅する?」

「……」

(俺は……。こんなところで終わる男じゃねぇんだよ‼)


ジゲラは苦い表情をしており、マラリナは懐からネックレス型の特殊な魔道具を取り出していた。

そしてそれは、怪しい光を放った。

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