表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何でも屋として生きていくアラサーの異世界ライフ ~サブカルチャー大好きな高卒アラサーが異世界に召喚されて現実世界で得た知識と経験をフル活用したら多方面で無双しかけている件~  作者: カワチャン
第三章 大事件の遭遇と偉大な人物達との邂逅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

166/371

第147話 マーカスの名前

このマーカスと言う冒険者ですが、後に目を離せない人物となっていきます!

俺達はギルドマスターであるカルヴァリオさんの頼みで同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされた。

Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさん達と共に捜索や調査に当たる事となった。

ヴェヌトイル商会の会長であるゲルグオ・ヴェヌトイル様と話をする機会を得た末、手掛かりを得る事が出来た。


拠点にしているウェシロスの宿——————


「え?【ティア―オブテティス】に所属しているマーカスさんが……?」

「まぁ、少し挙動不審なところはあったけど、まだ確証は持ち切れなくてね……」

「何とか探ってみようと思っている。トーマ達の方はどうだ?」

「俺達の方も、確信はまだ持ち切れていませんが……」


俺達はウィーネスさん達と合流して成果を報告し合った。

そうして結果や思った事を伝えた。


「それが本当の本当ならば、看過できないな!」

「本当にそうなら、見過ごせないって言うか、スルーしていい事ではないわね!」

「えぇ、そうですね……」

(マーカスさんの事も気になるな……)


ウィーネスさん達も調査の結果、明確な手掛かりこそないものの、ウェシロスに拠点を置いている冒険者ギルド【ティア―オブテティス】のBランクパーティー【スターレック】の一員であるマーカスさんの様子がどこかおかしかった事を共有された。

俺達も調査の結果を伝えた。


「大きな商会が在庫管理のために小さな土地を丸ごと保有しているパターンは珍しい事ではないけど、どこか妙だよな……」

「もしかして、急激に拡大している事と冒険者達が行方不明になった事と何か関係あるのかな……」

「まだ憶測の段階よ!第一に優先すべきなのは、アタシ達と同じくギルドに所属する冒険者達の行方を掴む事!明日は【ティア―オブテティス】に赴いて、ヒルダさんに進捗を共有しに行こう!」

「「「「「ハイ!」」」」」


ウィーネスさんはそう言って話を切り上げた。

ウェシロスを拠点にしてから数日経っているが、気になる話や事実は数点掴めても、決定打となる要素が見つからないのが現状だ。

分かりやすく現すならば、判明している数々の要素となる点が浮いたままの状態と言ってもいい。

何か一つの繋がる線があれば、解決に向かう可能性も高まってきた。

何にしても、ギンゼルさん達の足取りをどうにかして見つける事が改めて急務となった。



同時刻———————


ウェシロスから少し離れた場所に大きな屋敷がある。


爵位を授かった貴族が住まう屋敷のように大きく立派な外観をしている。

その屋敷内の一室にて、ゲルグオ様を含めた3人の男性が食事をしている。

一人は濃紺を基調にした仕立ての良い服装に身を包んだ青年であり、もう一人は茶色を基調にしているが、若干の使用感を思わせるスーツのような服装をしている体格の良い青年であった。


「最近はどうだ?お前が所属している冒険者ギルドの冒険者達は活躍できているか?」

「はい。私が所属する【ティア―オブテティス】の冒険者の皆様は、ヴェヌトイル商会の直営店で手に入れている武具やアイテムのお陰で成果を出しております。かく言う私も、クエストで大きな成果を安定的に出せるようになっております……」

「それならばいい。キゼオロの足も引っ張るなよ……」

「心得ております……」

「そうでなきゃ困るよ。俺が将来的にはもっと大きく有名になるヴェヌトイル商会の会長の座を継いで、お前が冒険者としてウチが扱う武具やアイテムの凄さを証明していくのが必須なんだからしっかりやれよ……」

「はい、義兄(にい)様……」


そう呼んでいるのは、冒険者ギルド【ティア―オブテティス】に所属するBランク冒険者であるマーカスさんだ。

普段の冒険者として活動しているような鎧姿ではなく、お金持ちの息子のような上質な衣服に身を包んでおり、所作も良い。

しかし、その表情には少なからぬ陰りがあった。


「ちなみに、何度も言うが人前ではお前がヴェヌトイルの名前を出すなよ。子宝に余り恵まれなかった父上が、跡継ぎを用意するために産んだ愛人のガキがヴェヌトイルの名前を語られちゃ堪ったものではないからな。そうですよね、父上……」

「あぁ。商会の息子、いや、私の()()()()()の分際でヴェヌトイル家の足を引っ張るような真似をするのは許さんからな……」

「はい……」


マーカスさんはゲルグオ様と義兄のキゼロオ様にプレッシャーと家族関係を否定されるような言葉をかけられ、平身低頭になっている。


「お前に期待しているのは冒険者としての実力と我々が手掛ける商会の系列店が扱う武具やアイテムの素晴らしさを広めていく事だ。それ以外に価値はないと思え……」

「はい……」


そこにあったのは家族団欒の食事なんかではなく、ビジネスライクな会食のような雰囲気であり、明らかに肩身の狭い空間に身を置かれているマーカスさんだ。

テーブルに出されている食事やワインは豪勢であり、いかにも美味しそうだが、マーカスさんはそれらを味わう余裕もない様子だった。


「ご馳走様でした……」

「明日の朝には出て行きなさい。誰にも見つからないようにするようにな……」

「承知しました……」

「それから、お前のパーティーのリーダー君にもよろしく言っておくようにもね……」

「はい……」


ウェシロスに拠点を置く冒険者ギルド【ティア―オブテティス】に籍を置くBランク冒険者、マーカス・クレヴァン。

しかし、それは冒険者として活動するための名前である。


(俺は一体……。いつまでこの呪縛に縛り続けられなければならないのか……?)


彼の本名は……。マーカス・ヴェヌトイル。


破竹の勢いで名を轟かせているヴェヌトイル商会の会長であるゲルグオ様の義理の息子だった。

しかし、その関係は血が繋がっていない事を加味したとしても、家族と呼ぶには余りにも淡泊であり、冷ややかであった。


そして、マーカスさんの歩んできた人生は、幸福とは胸を張って言える内容ではなかった。


最後までお読みいただきありがとうございます。


評価はページの下にある【☆☆☆☆☆】をタップして頂ければ幸いです。


『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、コメントやレビューを頂ければ幸いです。


面白いエピソードを投稿できるように頑張っていきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ