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何でも屋として生きていくアラサーの異世界ライフ ~サブカルチャー大好きな高卒アラサーが異世界に召喚されて現実世界で得た知識と経験をフル活用したら多方面で無双しかけている件~  作者: カワチャン
第三章 大事件の遭遇と偉大な人物達との邂逅

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第146話 林の先の集落

俺達はギルドマスターであるカルヴァリオさんの頼みで同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされた。

Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさん達と共に捜索や調査に当たる事となった。

ヴェヌトイル商会の会長であるゲルグオ・ヴェヌトイル様と話をする機会を得た末、僅かな手掛かりを得る事が出来た。


「この林の近辺でギンゼルさん達や【ティア―オブテティス】の冒険者達が消息を絶った場所か?」

「そうらしいですけど、どこか殺風景ですね……」

「この静けさが不気味さを増させます……」


俺達は手掛かりを求めて訪れた村の民宿の主人から聞いた情報を元に、ウェシロスからほど近い林まで来ていた。

馬車の通れる道が続く深緑色の竹林が茂っており、薄暗くこそないが、差し込む太陽の光も多くはない。

ここでギンゼルさん達が行方不明になったとの事であり、他の冒険者達も同様だ。

クルスの言う通り、ある種の不気味さを感じさせる。


「皆、周りに注意して行動するぞ!」

「「「ハイ!」」」

「モンスターはもちろんですが、人の存在にも気を配ります!」


俺達は林の中を捜索した。

この手の調査系には『シーフ』であり、俺達の中で最も感知系スキルに優れたクルスが中心となって辺りを見回している。

モンスターの襲撃は当然だが、誰かと出くわす可能性も頭に入れながら動いている。


「う~ん。人どころかモンスターの気配すら感じないな。クルスはどう?」

「僕から見ても何も感じ取れないですね……。馬車が通っている跡ならば沢山目立つんですけどね……」

「モンスター一匹出て来ないって事は、ギンゼルさん達や【ティア―オブテティス】の冒険者さん達がクエストの中で倒したって事……?」

「確かに竹の何本かが折れたり切られたりしている場所が何ヵ所かありますね……。あそこにも、こちらにも……」


セリカの言う通り、歩いている道すがら、左右にある竹の数々がボロボロになっているのが目に入った。

俺達が今いる竹林はウェシロスから近く、真っ直ぐ行けばティリルがある。

それならば【アテナズスピリッツ】や【ティア―オブテティス】に所属する冒険者達がここで消息が追えなくなってしまうのも分かる。

まだ推測の段階であるが、手掛かりやヒントを掴めるならどこへでも行くつもりだ。

俺達は冒険者達が戦闘したであろう形跡を見かけては近付いてはその周辺を調べるを繰り返していった。


「モンスターが暴れて冒険者達が戦った形跡はあっても、それしか見つからないな……」

「せめて、何か落とし物や素材とかが落ちていれば、それをきっかけに進むと思うんですが、望み通りにはならないモノですね……」

「世の中思い通りにいけば誰も苦労しません!」

「仰る通りだな」


クルスやエレーナに突っ込まれながらも調査を続ける。

確かに思い通りになってくれたら今頃、昨日には全て解決していると自分で自分にツッコミを入れながら事を進めていく。


(だが、ギンゼルさん達がこの場にいてクエストで赴いていたのはほぼ間違いない。何か見落としている事や要素は無いか?何か……)


俺がそう思案していると、林の中を抜けそうなところまで歩いてきている。


「おぉ、何か集落のような場所まで来てしまったな……」

「みたいですね……」


そうして出口を抜けると、少し高い丘の上にある原っぱのようところに出てきた。

丘から下に見やると、中小規模の建物が乱立され、中央通りには馬車も数台通っている。

まばらではあるものの、人通りもそれなりにあった。

俺達はせっかく来たので立ち寄ってみる事にした。


「小さな集落だけど、意外と寂れていない感じだな!」

「ウェシロスの近辺にこんな場所があったんですね」

「でも、トーマさん。ここにいる人達って……」

「あぁ、俺も何となく気付いた……」


賑やかさ、と言うよりも喧騒な空気を感じ取れた。

ミレイユの言っている通り、この集落にもヴェヌトイル商会が何かしら関わっているのはすぐに理解できた。

建物の一つ一つも、飲食店のようなお店は数件あるものの、ほとんどはヴェヌトイル商会が保有している倉庫であった。

実際、倉庫周りにはヴェヌトイル商会のシンボルマークが張られた馬車が散見され、御者が積み荷を降ろしては倉庫を管理していると思しき責任者が書面でやり取りを交わしている。


「ウェシロスにもお抱えの大きな倉庫があるはずなのに……」

「そこは注文があった品物を迅速に運ぶ時がメインだと思われますよ。ウェシロスから馬車で飛ばせば二時間以内には着くところなので、主に多く抱えた在庫を保管するのが目的だと考えられますね……」

「あり得るな……」


ミレイユの指摘通り、恐らくこの集落は、商会が製造・卸売・小売で余った商品を保管する事を主な目的としている。

ヴェヌトイル商会に限った話ではないが、大規模な商会は拠点にしている街以外にも、田舎のような離れの土地に大量の在庫を保存しておく倉庫をいくつも所有している事が多い。


「トーマさん、先ほどから思う事がありまして……」

「どうしたセリカ?」

「この集落にいる倉庫の責任者や御者さんなんですけど……」


するとセリカが突然小声で俺に話しかけてきた。

それも少なからぬ嫌悪感を入り交えたような表情でだ。


「何か……人相悪いような気がするんですけど……」

「言われて見れば、そうかもな……」


営業スマイルでこそいるけど、この集落にいる倉庫の責任者や従業員、馬車の御者は悪い性格が滲み出ているかのように人相が良くなかった。

見た目だけで判断するのは良くないにしても、不信感を抱いてしまうには充分とも思った。

俺達は必要最低限の情報を取れた事で、ウェシロスに戻ってウィーネスさん達に成果を報告しようとしていた。


「おい、旅人の兄ちゃんら!」

「「「「「!?」」」」」


すると一人の強面の男性に声を掛けられ、恐れとよそよそしさを交えながら向き直る。


「ウェシロスにでも行くのか?もうすぐ暗くなるから、送ってやるよ!」

「え?しかし……。でしたら、運賃くらいは……」

「良いって!旅は道連れ世は情けってもんだ!俺らもウェシロスに用があるから、ついでに乗せてやるよ!」

「では、お言葉に甘えて……」


これまた営業スマイルをしている男性の御者の計らいで、俺達は馬車でウェシロスに戻る事となった。


「……」

(クルス……?)


俺はクルスが一つの馬車を数秒の間、凝視しているのを見逃さなかった。

それからは御者の男性と世間話をしながらウェシロスへと帰路に着くのだった。



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