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第145話 【ウィーネス視点】よそよそしい男

ウィーネス視点のお話です!

アタシ達はギルドマスターであるカルヴァリオさんの頼みで同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされた。

Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさん達と共に捜索や調査に当たる事となった。

ふとしたきっかけで、ヴェヌトイル商会の会長であるゲルグオ・ヴェヌトイル様と話をする機会を得たトーマ達のお陰で、僅かな手掛かりを得る事が出来た。


ウェシロスからほど近い田舎町————


「それでね、ヴェヌトイル商会が流通ルートを通してくれたお陰でね……」

「そ、そうなんですね……」


アタシ達はトーマ達から得た手掛かりを持って、ウェシロスから比較的近い田舎町まで足を運んでいる。

そこは小規模な田舎町ではあるものの、ヴェヌトイル商会との取引をしているお店も多く、それ故に結構栄えている印象だった。

町に住んでいる人達も老若男女問わず、ほのぼのとさせるような感じにさせてくれる。

この町に足を運んでいるのも、ヴェヌトイル商会が少なからず関わっている事と、クエストの最中に行方を晦ましてしまった冒険者達の一組がこの近辺である事を知ったからだ。

訪れたアタシ達は町に住んでいる人達へそれぞれ聞き込みを行い、バダックと行動中だ。


「それにしても、町は小さいですけど、賑やかですね」

「えぇ。数年前までは何もない町だったんだけど、ヴェヌトイル商会がこの町で上質な道具を流通させるようになってからはその恩恵で栄えていったのよ……。ほら、あそこ……」

「え?」

(あれは……。ヴェヌトイル商会のロゴマーク。この町にも息がかかっているのかな……?)


町に住んでいるおばあさんが指を差した方角に目をやると、ヴェヌトイル商会のロゴマークが記された横断幕が張られている。

話によると、ヴェヌトイル商会は近々植物系の素材を自家栽培していくビジネスにも着手していく事を聞かされた。

それについてはトーマ達から共有されていたが、アタシは初めて知ったように振舞った。

あからさまに探っている事を悟られないようにするためだ。


「この町もヴェヌトイル商会のお陰で生活が一層豊かになって、本当に万々歳だわ……」

「そうですか。それは良かったですね……」


アタシ達はお婆さんにお礼を言ってその横断幕がある場所へと向かった。

そこにはヴェヌトイル商会から派遣された職員先導の下、町の農夫達が土地を耕し、魔道具らしきモノでその自家栽培する畑を完成させるために作業をしている。

その近くには中小規模の事務所のような建物も建設中だ。


「見た感じは真っ当な仕事って感じがするな」

「それならそれで一向にいいんだけど……。前進するような手掛かりがないのよね~」

「それな~」


勢い付いている商会の仕事ぶりや影響力は分かっても、行方不明になった冒険者達の手掛かりは掴めないままだ。

捜索が暗礁に乗り上げようとしていたその時だった。


「あれ?ウィーネスさん、バダックさん?」

「「ん?」」


アタシ達は一人の男性に声を掛けられた。


「もしかして、行方不明になった冒険者達の捜索でしょうか?」

「マーカス!」


話しかけてきたのはウェシロスに拠点を置いている冒険者ギルド【ティア―オブテティス】のBランクパーティー【スターレック】の一人であるマーカスだ。

だが、彼と同じメンバーであるはずのジゲラ達の姿は無かった。


「えぇ、そうよ!」

(ちょっと難航してるけどね……)

「マーカス、ジゲラ達がいないようだが、一人でどうしてここへ?」

「ちょっと、用事で……」

(ん?ほんの少しだけど、どこかたどたどしいような……?)


アタシは明るく応えているのに対し、バダックは少し険しい表情をしながら質問をした。

その時、マーカスはどことなくぎこちない笑みを見せながら話していた。


「用事?ジゲラ達もいないのに、何か重大な仕事でも受けているのか?」

「仕事と言いますか、ウチのギルドの冒険者達も行方不明になる被害を受けていますので、分散して情報収集をしているんですよ。この町は俺達も関わりがありますから……」

「そうなのね……」


パーティーを組んでいる冒険者達がクエストにしても私生活にしても、個別に行動している事は珍しい話ではない。

実際にアタシ達もクエストはともかく、私生活では鍛錬に勤しむ事もあれば、普通に買い物だってする。

今回のようにモノや人物を探すような類の事であれば分散して行動する方が効率は良い。

ただ、モンスターが出てくる確率が高い森林や洞窟の場合、奇襲に備えて集団行動するのがベストだけどね。


「ウェシロス周辺の町や村のほとんどがヴェヌトイル商会と大なり小なり関わっているため、【ティア―オブテティス】に所属する冒険者達で協力し合っているんですよ。素材の採取や商隊の護衛だけでなく、悪質な輩から防衛とかも含めて……」

「そうか。マーカスの方は進捗どうだ?」

「まずまずですね……」

「こっちも同じく……」


どうやらマーカスやジゲラ達も思ったような成果はないようだ。


「お互い、見つかるといいですね……。それぞれのギルドに所属する仲間達……」

「そうね。何かあったら教えて欲しいわ。もちろん、【ティア―オブテティス】の冒険者達に関連する情報を知ったら、アタシ達も教えるから!」

「ありがとうございます!」


マーカスは礼儀正しいお辞儀をして、アタシとバダックはその場を去った。


「ウィーネス。さっきのマーカスだが……」

「分かってる。何かおかしかった……」


そう、さっきのマーカスの仕草はどこかおかしかった。

アタシやバダックと会話している時もどこかよそよそしく、視線が合っていない時が少なからず散見された。

何か後ろめたい理由とかあるのかと思いながら、アタシ達は別行動を取っているリエナ達の下に合流した。


(何か隠しているとか……なんてね……)


アタシがほんの少し抱いた僅かな疑念が後に現実になろうとは、この時思わなかった。




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