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第141話 【ウィーネス視点】商隊の違和感

ウィーネス視点のお話です!

アタシ達はギルドマスターであるカルヴァリオさんの頼みで同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされた。

アタシ達が所属している冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】のCランクパーティーでも勢いがある【トラストフォース】のトーマやセリカ達と共に捜索や調査へ当たる事となった。


ウェシロス最寄りの町——————


「あ~。似たような顔した農夫なら知ってるよ!ほら、あそこ!」

「そ、そうですか?ありがとうございます……」

(完全に人違いだわ……)


アタシ達【ブリリアントロード】はウェシロスで一番近い町にて、行方不明が続いている冒険者達の捜索のために、聞き込み調査を行っている。

ウェシロスを拠点にしている冒険者ギルド【ティア―オブテティス】の冒険者達も数組が同じく行方知らずとなっているため、手分けして行っている。

アタシは同じメンバーであるリエナ、バダックはトクサと行動し、モレラは単独で情報収集に動いている。

しばらくして、アタシはリエナと近くにあったベンチで休んでいる。


「ふぅ、中々目ぼしい情報が集まらないわね……。ローカル感のある町村になら、意外な情報が落ちている事が結構多いと踏んでみたけど……」

「簡単には見つからないものね……。一組でも手掛かりを掴む事ができれば、そこから芋づる式で探り当てるきっかけが得られるんだけど、楽な作業じゃないわね……」

「でも、やるしかないわ!今頃トーマやセリカ達も頑張っている!アタシ達が音を上げてしまう訳にはいかないからね!」

「それもそうね!」


アタシはリエナと少しの間だけ愚痴り合ったものの、すぐに気持ちを切り替えた。

もしもここで手掛かりがなければ、クエストに出向いたであろう現地まで直接行って、自分の目で確かめればいいだけの話だからね。


「よし!じゃぁ、行動再開して……ん……?」

「どうしたの?ウィーネス?」

「リエナ、あの馬車に付いているマークって……」


アタシ達が再び行動した時、一台の馬車が目に留まり、そこには茶色い翼の生えた馬を模したようなシンボルが付いている。

そう、ヴェヌトイル商会だ。

そう言えばこの町まで足を踏み入れた途中、普通の一軒家と同じか少し大きいサイズの倉庫があったけど、それがヴェヌトイル商会の所有物件だったと理解できた。

ウェシロスを中心に規模も商圏も拡大しているのは知っているが、この町にも根を張っているんだね。


「恐らくアイテムや作物の売買でしょうね……」

「そうよね。にしても景気が良いだけに、サイズは通常の馬車よりも何割り増しかで大きいし……」

「言われて見れば確かに……」


大なり小なりの商会はお抱えの馬車をいくつも持っており、ヴェヌトイル商会も当然それに該当する。

規模も知名度も大きくなっているから、稼ぐ利益もそんじょそこらの商店とは比べ物にならないくらい出している。

専用の馬車を多く抱えていると言う事は、それだけモノの運搬を沢山行う事ができるって意味だからね。


「……」

「どうしたの?ウィーネス?」

「ん?何でもない!次、行こう!」

「う、うん……」


少しぼんやり見ているところでリエナに話しかけられ、アタシは我に返った。

そうして情報収集や周囲の捜索を再開した。

しばらくして……。


「皆どうだった?」

「ボウズだったよ……」

「手掛かりなしです……」

「そう。こっちも大した情報はなかったわ」


アタシ達は町の飲食店で一旦合流したものの、どうやら成果はゼロのようだ。

始めた段階ではあるが、微塵も掴めないままで一日が終わると思う空気だったが、アタシにはある確信、と言うより一つの引っ掛かるような何かを感じていた。


「あのさ……。リエナと情報を集めていた中でね、ヴェヌトイル商会の商隊馬車を見かけたのよ……」

「ん?それなら、僕も見かけたよ」

「え?本当?」


何とモレラもだった。

更には妙なやり取りが交わされていた事も伝えられた。


「まだ違和感の段階ではあるが……、積み荷の何個かが防音されるような仕掛けになっていたんだよな……」

「「「「え?」」」」


モレラの一言に、アタシ達は固まった。

外部からの衝撃を防ぐため、固さに優れた入れ物を使うなら分かるが、何故防音仕様がされている箱が使われているのか、疑問を抱かざるを得なかった。


「防音効果がある素材やアイテムで言えば、“音吸い石”や“遮音カーテン”等が思い浮かぶが、分かったのか?」

「あぁ、“遮音カーテン”が何層も被せられている大き目な箱がいくつかあったんだ。もしかしたら、その箱も“音吸い石”を粉末にしてコーティングしている可能性もないと見ている」

「よく見えましたね……」

「これでも視力には自信があってね……」


バダック達の問いに、モレラは正直に話している。

モレラは頭と眼が良く、モンスターや素材に関係する知識は豊富だ。

そんな彼がハッキリ言っているのだから、ここで鵜呑みにするのはともかく、可能性の一つとして受け取る事にした。


「アタシからもいい?皆と合流する前、ヴェヌトイル商会の商隊馬車を見かけたって言ったと思うけど……」

「言っていたな……」

「それで、何を感じ取ったの……?」


アタシの発言に対し、バダック達からの視線が集まった。

そして感じ取った違和感について打ち明けた。


「アタシが見た御者さんなんだけど、妙な包み袋を貰っていたのよね……」

「妙な包み袋?」


リエナは見えていなかったが、アタシは偶然だけど見ていた。

運搬しなければいけない荷物の可能性も考えたが、上質な素材でできた包み袋数個を荷台に乗せず、御者の懐に収めている瞬間を……。

その時の顔も営業スマイルと言うより、怪しい笑みをしているように見えた。


「お弁当とか差し入れとかの可能性は……」

「最初はそうも考えたけど、モレラの話を聞いていたら、怪しい線も見えてきたのよね。もちろん、まだ仮説の段階だけど……」

「なるほどな……」


アタシがそう告げると、バダック達は受け入れたように大人しくなった。

後にアタシ達はウェシロスに戻り、トーマ達と合流し、成果を報告し合った。

お互いに結果は余り振るわなかったが、まだ開始したばかり。


前向きに捉え直して明日も調査をしようと意気込むのだった。



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