第140話 調査開始!気になる噂?
ウェシロスやその近辺が舞台となります!
俺達はギルドマスターであるカルヴァリオさんの頼みで同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされた。
Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさん達と共に捜索や調査に当たる事となった。
ウェシロスに拠点を置く冒険者ギルド【ティア―オブテティス】のギルドマスター、ヒルダさんと協力関係を結んだ翌日——————
「よし!全員集まったわね!」
「ハイ!こっちも全員揃ってます!」
「分かったわ!今回はよろしくね!【スターレック】の皆さん!」
俺達は【ティア―オブテティス】に所属し、クエスト帰りの途中で縁が出来たBランクパーティー【スターレック】のリーダー格であるジゲラさんら4名を加えて、行方不明になった冒険者達の捜索に当たった。
俺達【トラストフォース】5名、ウィーネスさん率いる【ブリリアントロード】5名、ジゲラさん率いる【スターレック】4名、合計14名体制で行動開始した。
「俺達は情報収集のためにウェシロスで聞き込みですか……」
「周辺の捜索はウィーネスさん達に任せよう!」
ウェシロス近辺の捜索や調査はBランク冒険者であるウィーネスさんやジゲラさん達が担い、残った俺達は街で情報収集だ。
【ティア―オブテティス】に所属するC~Dランクの冒険者達も、ローテーションで手伝ってもらえる事になった。
そりゃ同じギルドの仲間で行方不明になったと聞いたら、気が気じゃないからなって思うのが普通の感覚だからな……。
「さて、どこからやるかだな……」
「まずは、酒場などの冒険者の情報が入りそうな場所とかを当たってみるのがいいですよ」
「冒険者が出入りする場所には大なり小なり、それに関連する情報が転がっているケースは多いので……」
「そうだな……」
俺達はウェシロスやごく近い町村での情報収集に勤しむ事になった。
ウェシロス付近ならば、【ティア―オブテティス】の冒険者に任せれば良いと思ったが、あえてそうではない存在の俺達が担う事になった。
「兄ちゃん、最近見ない顔だな?一杯どうだい?」
「ありがたいですが、今はお時間がありません。また別の機会に……」
「最近、ぶっそうな事件とかってございませんかね?ここら辺は初めてなので……」
「そうだな……。あっても俺の女房から尻に敷かれちまってる感じかな?ガハハハッ!」
(正直関係ないな……)
ウェシロスは俺達が頻繫に寄る街ではないだけに、拠点に置いている【ティア―オブテティス】に属する冒険者ではない俺達は、新鮮味のある情報を集めやすくなっている。
言ってみれば、別の視点で信憑性のある情報を掴んでみようと言う考えだ。
【アテナズスピリッツ】の冒険者が頻繁に出入りしている事は、ヒルダさんの計らいで伏せてくれているようであり、捗った。
「それにしても、どこのお店も結構繁盛しているな~。武具屋にしても、飲食店にしても……。これもヴェヌトイル商会のお陰なのかね?」
「元々ヴェヌトイル商会はこのウェシロスから始まったと言われていますからね。作られた当初は小さな商店のようなモノだったのが、今では貴族階級の家と取引しては、直系の武具屋やアイテムショップも経営しているくらいですからね……」
「それを何年か前から急拡大させてきたんだろ?凄い事なのは確かだよな……」
「本当にそうですよね……」
俺はミレイユと情報収集に取り組んでいる。
ヴェヌトイル商会はビュレガンセにある商会の中では比較的新しいが、今では冒険者や騎士に向いた武具を中心に手広く取引するようになっていったとの事だ。
実際、ギルド近くの武具屋やアイテムショップはヴェヌトイル商会が直売しているだけに規模も品揃えもかなりのモノであり、【ティア―オブテティス】に所属する冒険者の殆どが御用達だ。
「普通に武具やアイテムとかの売買であそこまで大きな商会になるもんだね……」
「大体のところは年月をかけて地道で堅実に商売しながら大きくするのが普通なんですよ。偶然発見した素材やアイテムが凄い高級なレア物が売れて、それを元手に大儲けするパターンもありますけど……」
「そう言うパターンもありそうだな……」
商売を始めとするどんな仕事も、楽な道のりは無いのは確かだ。
でも、棚からぼたもちのような幸運を掴んで活かしていければ、それは才能だと思うと感じずにいられない俺だった。
「トーマさん!ミレイユ!」
「セリカ!エレーナ!」
「どうでしたか?」
「色々と聞き込みとかしてみたけど、これだと言う情報は取れなかったな」
「入ってくるのはヴェヌトイル商会が凄いって事くらいね。セリカ達は?」
「知っている事以上の情報や噂は手に入りませんでした」
「ミレイユさんと同じく、ヴェヌトイル商会や【ティア―オブテティス】の冒険者達の評判くらいしか聞けませんでしたね……」
「そうか。後はクルスだけだが、どこ行った?」
俺はセリカとエレーナと合流し、進捗を共有し合ったが、結果は芳しいモノではなかった。
後はクルスと合流して、成果を確認するのみだ。
「あ、トーマさん!皆!」
「クルス!」
クルスを探そうとした矢先、彼は俺達を見つけて駆け寄って来た。
「どうだった?」
「ついさっき得た、情報と言いますか、噂と言いますか……」
「何々?教えてよ!」
クルスは言うべきかどうかのような表情をしているが、ミレイユがせっつく。
それからクルスが口を開いた。
「さっき、酔っぱらっていたおじさんを介抱していたんですよ……。いや、目も少しだけ意識が飛んでいるようなそうでなかったような……」
「え?」
「あら?」
「「何それ!?」」
何とロクデナシの酔っ払いおじさんを介抱していたそうで、俺達は呆気に取られた。
しかし、クルスは平気で冗談を言うような人物でないのは周知の事実なので、俺達は引き続き話をさせた。
「近くの病院まで運んでいる途中、そのおじさんが寝言のように、気になった事を呟いていたんですよ」
「気になった事?何て?」
俺が質問すると、クルスが答えた。
「もっと酒や薬が欲しい~。次は勝つぞ~ってそのおじさんが言っていました……」
「「「「え?」」」」
クルスの口から出てきた酒や薬、介抱していた時の状態を聞いて、俺達はしばらくの思案にふけていた。
(まさか……な……?)
まだ仮説や予想でしかないが、かつて経験した事のあるあの事件が俺の頭を過った
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