第139話 協力体制
新たなギルドマスターの登場です!
俺達はギルドマスターであるカルヴァリオさんの頼みで同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされた。
Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさん達と共に捜索や調査に当たる事となった。
「こちらになります」
「ありがとうございます」
俺達は冒険者ギルド【ティア―オブテティス】のギルドマスターと話をする機会を得る事ができた。
「まさか【ティア―オブテティス】のギルドマスターとお話しできるとは、驚きましたよ。それも着いてすぐに……」
「【アテナズスピリッツ】の冒険者も被害を受けたと知って、当ギルドのマスターも動かれておりました。こちらから協力を持ち掛けようとしましたが、もしもあなた達が来たら通して欲しいとも言付かっております」
(そこまで読んでいたのか?)
【ティア―オブテティス】のギルドマスターがどんな方かは知らないが、やり手のようにも思えてきた。
するとギルドマスターが待っているだろう執務室の扉まで来た。
「マスター。【アテナズスピリッツ】に所属する冒険者の方々をお連れしました」
「ご苦労様。通しなさい……」
「失礼します」
秘書さんがノックをして入室の許可を求めると、一人の女性の声が聞こえた。
声質からして若い女性でないのは何となく分かるが、年配と言うほどでないのも分かる。
そして俺達は部屋に入っていく。
「よく来て下さいましたよ。【アテナズスピリッツ】の皆様……」
「あなたが、【ティア―オブテティス】のギルドマスターでございますでしょうか?」
「えぇ。私の名前はヒルダ・オネルフェン。このギルドのマスターを務めさせてもらっているわ……」
(ヒルダ・オネルフェン……。名前は道中でウィーネスさんから聞いている)
目の前の執務机に座っている人物こそ、冒険者ギルド【ティア―オブテティス】のギルドマスターであるヒルダさんだ。
薄いベージュ色のセミロングヘアに気品を纏ったようなナイスミディと思わせた。
50代かそれに近い年齢であるものの、どこにでもいるおばさんと言ったイメージではなく、凛とした雰囲気も併せ持った素敵な女性と言ったイメージも感じさせる。
現役時代は『僧侶』であり、当時は『癒しの担い手』や『女神の使い』等と中々インパクトのある二つ名を冠しながら活動していた。
シルクのような光沢をしたアイボリーのシャツに薄手のコートを羽織り黒いスカートと、上品さと動きやすさを取り入れたような装いに身を包んでいる。
「もてなしてあげたいところだけど、早速本題に入らせてもらうわ……」
「お願いします!」
ヒルダさんは気持ちを切り替えて目の色を変え、俺達も背筋を正した。
「まず、【アテナズスピリッツ】の冒険者パーティー一組がクエストの途中で行方不明になってしまった件については、あなた達のギルドマスターから聞いているわ……」
「そ、そうですか……」
(カルヴァリオさん、ナイスです!)
どうやら俺達がウェシロスに向かい、【ティア―オブテティス】に赴いたら話を聞いて欲しいとカルヴァリオさんが口利きしてくれたから、こうしてヒルダさんに話が通ったって事だそう。
マジで有能過ぎだろ、ウチのギルドマスターってつくづく思う。
「行方不明になってしまった冒険者については、我々のギルドからも出ているのもあって、看過出来なくなっているのが実情なの……。だからこうしてウェシロスに拠点を置いている私達の下に来てくれたのは感謝している……。本当にありがとう……」
「いえ、滅相もございません……」
「頭を上げて下さい!」
ヒルダさんが恭しい気持ちで頭を下げようとして、俺やウィーネスさんが窘めるように諭すのだった。
会ってすぐの振る舞いを見ても、カルヴァリオさんを始めとする出会った事のあるギルドマスターの中でも、しっかりとした人物であるのは見て分かったから……。
そしてヒルダさんは気持ちを切り替えて話し出す。
「先ほども言ったように、我々を含む冒険者ギルドに所属する複数の冒険者達がクエスト先から帰って来ないもしくは行方不明になっているの。その件であなた達が動こうとしているって聞いたわ……」
「はい、我々が所属する冒険者ギルドの冒険者パーティー一組がそのような状況になっている事が判明し、【ティア―オブテティス】も同じく被害を受けていると言う情報を聞いて、今回はこちらにお伺いさせて頂きました」
俺達はヒルダさんから事の実情を伝えられた。
行方不明になってしまった冒険者パーティー数組は【ティア―オブテティス】があるウェシロス周辺や隣の町辺りがほとんどであり、【アテナズスピリッツ】に所属しているギンゼルさん達も同様だ。
つまり、手掛かりがあるとすれば、それらの場所と言う事になる。
「と言う事は、我々も行方知れずになってしまった地点を中心に、捜索や調査に加わって欲しいって意味ですね」
「そう。手掛かりや痕跡があるとすればその近辺になるわ……。ウチのギルドからも協力してくれるパーティーを用意するよ」
「ありがとうございます!」
こうして話は纏まった。
それにしても、急な訪問にもかかわらずこんなに早く対応してもらえるヒルダさんの懐の広さを感じざるを得なかった。
こうして俺達は明日より、クエスト中に行方不明となった冒険者達の捜索とトラブルの調査へと乗り出す流れとなった。
だが、この時の俺達は知る由も無かった。
今回の冒険者達が行方不明になった事件は、とんでもない闇を持っている事を……。
最後までお読みいただきありがとうございます。
評価はページの下にある【☆☆☆☆☆】をタップして頂ければ幸いです。
『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な感想で構いません。
面白いエピソードを投稿できるように頑張っていきます!




