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第138話 女性が多い冒険者ギルド

接点を持つ冒険者ギルドは、華があります!

俺達はギルドマスターであるカルヴァリオさんの頼みで同じギルドの冒険者パーティー【ゴーファイターズ】のギンゼルさん達が行方不明になったと聞かされた。

Bランクパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさん達と共に捜索や調査に当たる事となった。


「しばらくぶりのウェシロスだな……」

「やっぱり賑やかですね~」


夕方直前の時刻、俺達はウェシロスに赴いている。

いつ来てもこの街は活気付いており、賑やかながらも落ち着いたような雰囲気も感じさせてくれる。

高速馬車を使ったが、道中でモンスターに襲われた時と違い、今回は運良くスムーズに突く事が叶った。

バダックさん曰く、高速馬車は特急馬車ほどモンスターと遭遇する確率が比較的低いから問題なく辿り着くケースもあるとの事だ。

それはそうとして、無事に到着できて何よりだ。


「さて、宿を取ったらこの街に拠点を置いている冒険者ギルド【ティア―オブテティス】へ赴くわよ!」

「「「「「ハイ!」」」」」


俺達はウィーネスさんの先導でまずは泊まる宿屋へと赴いた。

宿屋に着くと、二人部屋と三人部屋をそれぞれ二部屋ずつ確保した。

荷物を置いた俺達はすぐに合流し、目的地である【ティア―オブテティス】へと歩みを進めていった。


「この間、そのギルドに身を置いているBランクパーティー【スターレック】のジゲラさん達と酒場で接点を持ったんですよ……」

「それまた意外なタイミングで……」


俺とセリカは以前、【ティア―オブテティス】の冒険者達であるジゲラさんとバッタリ出会った事があると打ち明けた。

それを聞いたバダックさんは少し驚いていた。


「そう言えば、【ティア―オブテティス】ってどんな冒険者ギルドなんですかね?」

「そうね。口で説明するのは簡単だけど、入った時の空気を感じ取ってくれた方がすぐに分かるかもしれないわね……」

「と、言いますと……」

「皆、あそこよ!」


俺がリエナさんとそんなやり取りをしていると、ウィーネスさんが一つの建物を指差した。


「あれがウェシロスに拠点を置いている冒険者ギルド【ティア―オブテティス】よ!」

「「「「「オ~~!」」」」」


俺達は冒険者ギルド【ティア―オブテティス】へと辿り着いた。

建物の大きさは【アテナズスピリッツ】とほぼ同じか少し小さい程度であり、門や壁も手入れが行き届いている。

ビュレガンセ国内に点在している冒険者ギルドの中では比較的新しく作られたと言われているだけにだ。

素朴で武骨な印象を与えさせる【アンビシャノブアレス】とは正反対と思っている。


「ささっ、行こう!」


俺達はウィーネスさんに促されるままにギルドへと入っていった。

中に入ると、清潔感を感じさせる内装だった。

ギルドの職員さん達も淡々とテキパキと仕事をしており、冒険者達も多くいる。

見ていて思った事がある。


「このギルド……女性の方が多いような気がします……」

「気付いた?そうよ。【ティア―オブテティス】は女性比率が結構高い事で有名なのよ」

「それでも、全体的な人数はウチのギルドよりは少なめだけどな……」

(こんな華やかなギルドあるんだね~)


俺が率直に思った事を言うと、リエナさんとバダックさんはそう答えた。

実際、ギルドの飲食スペースや掲示板の周りに群がっている冒険者達の中に男性はもちろんいるのだが、その内の半分が女性であった。

心なしか、何だかいい匂いがするような……ってんな事思ってる場合か!

俺は気持ちを切り替えていく。


「お!トーマ達じゃないか?」

「ん?」


ギルドの中に入ると、一人の聞き覚えのある男性の声が聞こえ、俺達はその方角を向いた。


「どうしたんだよ!ウチのギルドに来ているなんて珍しいじゃねぇか!」

「ジゲラさん!それに皆様も……」


そこには【ティア―オブテティス】に所属するBランクパーティー【スターレック】のリーダー格であるジゲラさんであり、同メンバーのイミニさん、アコナさん、マーカスさんもいる。

最初に出会った時を考えれば、久しぶりと言う程でもないが、意外と早く再会が叶って良かったくらいの気持ちでいた。

ジゲラさん達は友好的に近づいてきた。


「トーマ、その人って……?」

「道中で話していたジゲラさん達です。偶偶知り合いまして……」

「あぁ……」


ウィーネスさんに説明を求められ、俺は答えた。

するとジゲラさんは……。


「あの時ぶりじゃねぇか!元気してたか!」

「はい、お陰様で……」

「お陰様って……ん?」


ジゲラさんは俺達の姿を見て、再会を喜んでいる様子だった。

俺も再会は純粋に喜んでいる。

するとジゲラさんは何かに気付いた様子を見せた。


「あなたは確か、【アテナズスピリッツ】に所属する【ブリリアントロード】のウィーネスさんですよね……?」

「え?うん、そうよ」

「やっぱりだ!」


ジゲラさんとイミニさんが思い出した様子で表情を明るくしている。

まるで道端でバッタリと有名人に出くわして有頂天、ってな感じだ。

すると【ティア―オブテティス】の冒険者達も気付いたようで……。


「スゲー!【ブリリアントロード】のウィーネスさんだ!」

「バダックさんとリエナさんもいる!」

「隣にいるのはモレラさんに新しいメンバーかな?」

「本物だ~!」

「え?え?」


冒険者達はウィーネスさん達の下に集まって来ている。

【デュアルボンド】のイアンさんとイオンさん達の時もそうだったが、Bランクの冒険者にもなれば、拠点にしている冒険者ギルドがある街の周辺だけでなく、ビュレガンセ国内にも名前が知れ渡るほどの有名人になるのは分かっていた事だ。

それでも、他所の冒険者ギルドに所属する冒険者達にこうして覚えてもらえている場面を見たり味わったりすると、その実感が湧いて来る。


「一体どのような理由で来たんですか?」

「誰かに会いに来たんですか?」

「……」


有名人の登場にヒートアップしかけている状況に俺達も止めようとした。

瞬間……。


「最近、行方不明になっている冒険者達の捜索や調査をしていて情報収集のために来たんだけど!」

「「「「「……」」」」」


ウィーネスさんの真剣な眼差しに加え、軽く怒気を込めた言葉を発するや否や、周囲の冒険者達は押し黙った。

普段は明朗快活なウィーネスさんだが、彼女もまたキャリアと実績を重ねてきたBランク冒険者。

内に秘めた闘志は強烈なモノがあるのだ。

沈黙が続く事数秒……。


「す、すいませんでした。つい、気分が盛り上がってしまいまして……」

「軽率でした。申し訳ございません!」

「分かればいいのよ。分かれば!」


ジゲラさん達は自分の迂闊さを詫びると、ウィーネスさんはあっけらかんとした笑顔を見せながら許した。

それから打って変わって静けさが漂う空間と化した中、彼女は一つの質問を投げかける。


「【アテナズスピリッツ】の冒険者がウェシロス近郊で行方不明になったのを知って捜索や調査をしに来たの。【ティア―オブテティス】の冒険者達も同じような被害を受けたって聞いてここへ足を運んだ次第なんだけど、知っている事があれば共有できればと思ってるの」

「あぁ、そう言う事なんですね。それについては俺達も重く受け止めていまして……」

「ウチのギルドでも捜索や調査に出向いているところなんですよ……」

(俺達と同じような考えと行動を取っている訳か……)


事の次第をウィーネスさんが伝えると、ジゲラさんとイミニさんは憂いを帯びたような表情になった。

やはり同じギルドの冒険者として、心配なのだろう。

先ほどの軽率な振る舞いをすぐに反省できる辺り、根は良い人なのかもしれない。

そんな時だった……。


「失礼します。【アテナズスピリッツ】の冒険者の皆様ですね……?」

「「「「「!?」」」」」


そこへ一人のスーツを着た女性が声を掛けてきた。

ギルド職員かとも思った。


「私は冒険者ギルド【ティア―オブテティス】のギルドマスターの秘書をしております。【アテナズスピリッツ】の冒険者達がいらっしゃった事をマスターに申し伝えましたところ、是非会ってお話がしたいとの事です」

「ここのギルドのマスターがでしょうか?」

「はい……」


どうやら【ティア―オブテティス】のギルドマスターの秘書さんであり、俺達が来ている事を知り、顔を合わせて話がしたいと言うモノだった。


「ウィーネスさん!」

「うん……」


ウィーネスさんは俺やリエナさん達に視線を送り、アイコンタクトで行ける事をアピールした。


「大丈夫ですよ。向かいます!」

「ありがとうございます!ご案内します……」

(【ティア―オブテティス】のギルドマスターか……?どんな人だろう……?)


俺達は気を引き締めた表情で向かった。




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