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第135話 【チェルシア視点】望んでいた再会②

引き続き、チェルシア様が視点のお話です!


わたくしは今、冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】の中でも特に縁が深い冒険者パーティー【トラストフォース】の皆様と交流を深めていました。


「本当に君達には飽きさせないでくれるよ!」

「きょ、恐縮です……」

「皆様のご活躍を聞く事が私達の楽しみになっているくらいですのよ……」

「そのようなお言葉を頂けて、大変嬉しく存じます……」


わたくしはヒライト子爵家当主のお父様とその妻であるお母様と一緒に久々の再会に心を躍らせながら近況報告をし合っていた。

トーマさん達のご活躍は新聞等で耳に入る機会はいくらかございました。

その度にお父様もお母様も大変嬉しそうにその武功や勲功を褒め称えておりました。

しばらくの団欒の時間を過ごした後……。


「皆様、もしお時間が許す限りでしたら、わたくし達と庭園をお散歩致しませんか?もちろん、可能な限りで構いませんので……」

「それは……」

「「「「……」」」」


わたくしの提案に対し、トーマさんがセリカさん達に目線を送ると、問題ない事を示す無言のアピールをしてきました。


「我々としては正午過ぎには発てればと思います。それまででよろしければ……」

「承知しました。でしたら、お昼辺りまでよければ、存分にご案内致します!」


わたくしはトーマさん達と可能な限りまでに過ごす時間を得る事が叶いました。

それからは自慢の広いお庭へとトーマさん達をご案内致しました。

トーマさん達は目を輝かせるように『凄い凄い!』や『まるで植物園みたい!』と称賛のお声を頂けました。

自分で自慢するのもおこがましい気もしますが、わたくしが住んでいるお屋敷のお庭は広いだけでなく、綺麗で清らかだと自慢できるくらいのスポットだと自負しています。

七色の虹のように美しく咲き誇る多種多様な花、太陽の光で反射して葉や茂に輝きも帯びている木々、わたくし達を癒そうとしている小鳥のさえずり。

その気になれば、本当に植物園を開く事も出来てしまいそうなくらいに立派なお庭です。

ヒライト家には、わたくし達のお世話をして下さるメイドや執事の方々、小さいながらも護衛を担う騎士団を抱えています。

それ以外にも、この広いお庭を常に綺麗で清潔に整えて下さる専属の庭師を複数雇っております。

日々のお手入れをして下さるその庭師達のお陰で、絢爛なお庭の景観や清潔な衛生面を保てておりますので、本当に感謝しております。

わたくしも嗜みとしてお花のお世話もしております。

それからトーマさん達と近況を報告し合いました。

新聞等で時折お名前を聞く事はございますが、実際に本人の口から伺うと現実味を感じてくるので、改めて新鮮なお気持ちにさせて下さいます。


「まぁ、それは大変でございましたね」

「そうなんですよ。それでトーマさんったら……」

「災難って……。その節はごめん!」

「僕も乗っかりましたからね……」

「わたくしは乗り気でしたよ」

「グリナムで私達も随分と有名になってきているみたいでして……」


わたくしはトーマさん達から最後に会った時から現在に至るまでで体験した事や冒険に関係するお話を沢山して下さいました。

グリナムから出る機会が中々無いわたくしにとっては、本当に胸が躍りそうになる談議でした。


「少しお話は変わるんですけど、ミクラ様、全快されたようで何よりです。初めて会った時の弱った様相を微塵も感じさせないくらいでした」

「はい。お陰様でお母様も回復されて、今ではお父様の補佐や社交界に問題なく参加できるくらいにまでなりました」


トーマさんからお母様に関連する話題を振られ、わたくしは嬉しい気持ちになりながらお答えしました。

正直に申し上げますと、お母様が病床に伏していた際は、わたくしもお父様も心穏やかではございませんでした。

お母様は多くの領民からも慕われており、お父様の判断で病気だった事は伏せられておりましたが、隠し切れずに少しだけ街にその情報が漏れていたのが実情でした。

ですが、トーマさん達の尽力によってお母様は回復され、それを知った領民の方々は心の底からそれを喜ばれました。

グリナムにおいてトーマさん達は『ヒライト家を救う一助を担ってくれた存在』と評する領民も一定数おります。

それもあって、冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】の冒険者達の事もより好意的に見ていただけるようにもなっており、今では頼りにしている存在にもなっているくらいです。


「それでこの間、そちらのギルドの【ブリリアントロード】と言う冒険者パーティーの方々に近隣領の領主様と会合に伺う際の護衛を担って頂けまして……」

「え?ウィーネスさん達のパーティーにですか?」

「はい、そうです。やはりご存じなんですね」

「ご存じも何も、ウィーネスさんとは私達とも親交が深い方なのです!」


【アテナズスピリッツ】に所属する女性の冒険者であるウィーネスさんと言う方が率いる【ブリリアントロード】の名前が出た瞬間、セリカさんが少し前のめりに反応しました。

わたくしはその時の状況を思い出しながら語りました。


「流石はウィーネスさん達ですね!その時に護衛に付いていたのがウィーネスさん達で本当に幸運でしたよ!」

「やっぱりそう思いましたか?モンスター達をあっさり倒してしまったものですから、護衛に付いていた騎士達の出番もほとんど与えないくらいでしたよ!」

「ウィーネスさんの実力は【アテナズスピリッツ】の女性冒険者の中でも指折りなんです!」

「リエナさんって言う『魔術師』も同じメンバーなんですけど、あの人も実力が高いですよ!【氷魔法】のセンスはかなりのモノでした!」


すると、わたくしも若干気圧されかけるくらいの勢いでセリカさんとミレイユさんは語っておりました。

聞くところによると、トーマさん達は一時話題になっていたベカトルブ近辺で見つかったダンジョン攻略に赴く前、ウィーネスさん達に修行を付けてもらったとの事でした。

進路を阻むモンスター達をパパッと片付けてみせた事を思い返せば、セリカさんとミレイユさんの説明にも納得がいきました。

後、そのウィーネスさんとリエナさんのお二人ですが、女性の冒険者の中でもかなりお綺麗でした。


「それでそのダンジョン攻略でメインを担ったAランク冒険者パーティー【ノーブルウィング】のウルミナさんが凄かったんですよ!」

「やはりAランクを名乗る冒険者でしたら、それほどまでにお強いのですね!」

「強いも何も、あの“デッドガーゴイル”を圧倒していたくらいでしたから!」


ミレイユさんは活き活きとしたような表情でそのウルミナさんの事について話してくれました。

Aランク冒険者であるウルミナさんと言う方は、ミレイユさんと同じ『魔術師』のギフトを持っており、その実力はビュレガンセ国内に収まらず、他国にもその名を轟かせる程に高名な方です。

同メンバーであるルエミさんと言う方も、エレーナ嬢が修行時代に最もお世話になった人物の一人との事でした。

こうして冒険者達のお話を聞く度に、わたくしも好奇心を躍らせてしまいます。

もしも生まれ変われるなら、冒険者になってみたいとも思うくらいに……。

そうして夢中になって話していると、トーマさん達がお屋敷を発つ時間を迎えました。

楽しい時間ほど、早く過ぎてしまうものですね……。


「皆様、久々に会えて良かったよ……」

「またいつでも来てくださいね……」

「アスバン様、ミクラ様。本当にありがとうございます!また機会があれば立ち寄ります」


お屋敷の正門前には、わたくし達家族がトーマさん達をお見送りしています。

トーマさん達の表情も晴れやかであり、有意義なお時間を過ごせたようで何よりと感じるわたくしでした。

そうしてトーマさん達は、馬車に乗ってお屋敷を発ち、わたくし達はその姿が見えなくなるまで見届けました。


「チェルシア、どうだったか?」

「はい。短かったですが、新鮮で楽しいお時間を過ごせました。」

「そう、良かったわ……」


お父様とお母様も、トーマさん達と再会する事が叶って嬉しい表情をしておりました。

きっとまた会える……。


わたくしはそう信じております。



最後までお読みいただきありがとうございます。


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