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第130話 ヴェヌトイル商会について

新しい縁がまた出来ます!

◇◆◇◆◇◆◇


前書き


いつもお話をご覧になって頂き、誠にありがとうございます。


この度、投稿する順番を間違えてしまう不備がございました。


こちらのお話は第130話としてご覧になって頂ければ幸いです。

それ以降のお話は整合性を整えるようにタイトルの話の数字を変更させて頂きました。


大変申し訳ございませんでした。

引き続き、面白いお話を投稿できるように努めていきますので、

今後ともよろしくお願い申し上げます。


◇◆◇◆◇◆◇




いつもの冒険者生活を送る中、最近勢いを付けている商会であるヴェヌトイル商会の不手際によって発生した追加の運搬物の調達をするための護衛に付く事となった。

目的地のウェシロスと言う街へ、Bランクパーティー【デュアルボンド】の面々と向かう事になり、その仕事を終えて帰路に着いた。


ティリルとウェシロスの中間にある町—————————


「「「「「乾杯~!」」」」」

「う~ん!美味しい!」

「エールにはやっぱり唐揚げね!」

「このフライも旨い!」


俺達は泊まる宿の近くにある飲食店で食事を取る事になった。

ギルド飯よりも少しグレードを上げたような料理がテーブルに並んでおり、どれも美味しそうだ。

イアンさんとイオンさん達が決めて入ったお店だが、選んだ理由は美味しそうなだけではなかった。


「それにしても、比較的シンプルな味付けなのに、どのお肉も美味しい上にお値段も相場よりも安いような……」

「ウェシロスや今いる町を含め、ここら一帯はヴェヌトイル商会の主な販売網なのよ」

「最近では武具や冒険に向けたアイテム以外にも、このような食材の事業にも力を注いでいるとの話もあるの」

「これだけ上質な食材を扱っているのでしたら、もう二割ほど高く出されても納得できるお値段ですよ」


エレーナは食べている肉の美味しさに加えて格安で提供されている事に驚いているところ、エリーさんとサーシャさんが解説してくれた。


「ヴェヌトイル商会の事業規模が拡大する中で、精肉や野菜を始めとする食材を扱う商人が経営する店も吸収合併したから、でしょうかね?」

「恐らくその可能性はあるだろう」

「でなければ説明が付かない」


ミレイユが仮説を立てた答えに対し、イアンさんとイオンさんは肯定した。

商会とは言うなれば会社のようなモノだ。

会社を大きくするには自分が手掛けるビジネスでしっかり利益を出して投資していくのサイクル、もしくは他の組織と合併していく事が基本だ。

ヴェヌトイル商会は比較的新しく出来た商会だが、ここ数年で規模の拡大が急激に進んでいるため、経営者の手腕の良さを感じ取れた。


「それにしても、急激に組織の規模を拡大すれば、需要と供給のバランスを取れるのかがちょっと疑問ですけど……」

「企業秘密なノウハウがきっとあると思うんですけどね……」

「普通に考えればそうだが、しっかりとした商売をしているらしい」

「ゆっくりと確実に大きくしていくのが堅実で健全と思っている」


俺とミレイユは急激な拡大による弊害や後ろめたい何かがないかどうかをふと思ったが、どうやら真っ当な商売をしているようだった。

組織が大きければ大きいほどやれる事は増えるものの、その分管理する手間も増えてしまうため、メリットばかりではないのだ。

それにしても……。


「……」

「ミレイユ?どうしたの?」

「え?何でもない!」

「そう?なら、いいけど……」

「「……」」


俺とセリカはミレイユがボーっとしているところが目立ってきた事に気付いた。

クルスが声を掛けたものの、ミレイユはすぐに取り繕った。

ミレイユの実家は行商人だったが、経営が傾いた末に蒸発した経緯がある。

苦い思い出の方が強かったのか、ヴェヌトイル商会の名前が出ると、どこか浮かないと言うか憂いを帯びているとも言えるような表情を少なからずするようになっている。

そんな時だった……。



「あの~。【アテナズスピリッツ】のBランクパーティー【デュアルボンド】のイアンさんとイオンさんですよね……?」

「「ん?そうだが?」」


縁もたけなわになってきた頃、一人の男性がイアンさんとイオンさんに話しかけてきた。


「やっぱりだ!巷じゃ『双子の冒険者』として有名な方々に会えるなんて光栄ですよ!」

「本当に双子でそっくり!しかも結構イケメン!」

「本物だ~!」

「……」


俺達もその方角を振り返ると、男女二名ずつの冒険者らしき4人組がいる。

良く言えば社交性がある、悪く言えば若干馴れ馴れしいとも見えなくはない。


「あっ、気分が上がり過ぎてしまいました!申し訳ありません!」

「そのくらいなら一向に構わないが……」

「俺達の名前も知れたのだとしか思っていない」


男性の一人がハッとなってすぐに非礼を謝罪した後に気持ちを切り替えたような表情に変わり、彼の仲間らしき人物達も気を引き締めている。


「初めまして!俺は冒険者ギルド【ティア―オブテティス】のBランクパーティー【スターレック】のリーダーを張っているジゲラ・カラストって言います!今後ともよろしくお願い申し上げます!」


そう名乗ったジゲラさんのギフトは『軽戦士』であり、ウェシロスを拠点としている冒険者ギルド【ティア―オブテティス】に所属している冒険者だった。

青がかかったような茶色の短髪に、急所を守り動きやすさを重視したような軽鎧に身を包んでいる。

顔立ちは端正であり、キザな優男といった風貌だ。

聞けばBランクに上がったのは数ヶ月ほど前の事であり、それを証明するかのように腰には一流と思わせそうな立派な長剣を携えている。


「ジゲラ、と言うのだな。今後ともよろしくお願いします」

「俺達も仲良く出来れば幸いです!」

「ハイ!よろしくお願いします!」


ジゲラさんが挨拶を済ますと、彼は残りのメンバーに「皆も自己紹介しろ」とアピールするような目配せをした。


「私は【スターレック】の『魔術師』のイミニです!お会いできて光栄です!」

「同じく【スターレック】の『僧侶』のアコナと申します!」


そう言って二人の女性も元気よく挨拶をしてきた。


『魔術師』のイミニさんはピンクがかかった赤い髪色にショートカットの髪型をしており、ケープにワンピースと機能性を重視したような衣装に身を包んでいる。

『僧侶』のアコナさんは薄い茶色のセミロングヘアをポニーテールにしており、黄緑色の法衣が特徴的な女性だ。

【アテナズスピリッツ】のBランクパーティー【ディープストライク】のメンバーであり、お淑やかなエルニさんと比べても、どこか遊んでいそうな雰囲気がある。

イミニさんやアズナさんは『魔術師』や『僧侶』のギフト持ちにしては軽快さ重視の服装をしており、意外に思った。

二人が挨拶した後、一人の男性が前に出た。


「お初にお目にかかります。【スターレック】の一人であるマーカスと申します。ギフトは『重戦士』です。今後ともよろしくお願い申し上げます」

「「あぁ、よろしくお願いします」」


最後に挨拶をしたのが『重戦士』のマーカスさんだ。

緑がかかったグレーの髪色をしたミディアムヘアにギフトに違わない体格をしており、纏う鎧や背中にしょっている大盾も上等なモノであるのは直感で分かった。

見た目からして、防御の要のような存在なのだろう。


「俺達近くの山でモンスター討伐のクエストに行ってたんですよ。遅くなっちまったので今日はこの町の宿で一泊して帰るつもりなんですよ」

「イアンさんとイオンさん達もクエストだったんですか?」

「その通りだ」

「俺達のギルドのCランクパーティーと一緒にな」

「え……?」


ジゲラさん達はようやく俺達の方に視線をやってくれた。


「どうも。Cランクパーティー【トラストフォース】のトーマ・クサナギと申します」

「【トラストフォース】?どっかで聞いた事があるようなないような……」

「ジゲラ!確かベカトルブの近郊で発生したダンジョン攻略をAランクパーティー【ノーブルウィング】らと共に達成したってパーティーよ!」

「マジかよ!?」


俺が挨拶をしてジゲラさんが思い出そうとしている表情をしていたところにイミニさんが付け加えるように説明した。


「いや~、あの【ノーブルウィング】の皆様とダンジョン攻略なんて凄いな!」

「きょ、恐縮です……」

「そんな畏まらなくてもいいって。是非とも仲良くしてくれれば幸いだから、よろしくな!【トラストフォース】の皆さん!」

「はい、よろしくお願いします」


ジゲラさんは社交性溢れる態度に切り替えて友好を深めてきたが、悪い気はしないので、俺は気を許した。

それから俺達も自己紹介をし終えた後、店を出て宿を出た。

ジゲラさん達は今から飲むそうだ。


「それにしても別の冒険者ギルドの方とも縁ができちゃいましたね」

「冒険者同士で繋がりを持つのは良い事だ」

「ランク関係なしに交友関係を広める事自体は有意義だから」

「そうですね……」

(Bランクパーティー【スターレック】か……)


また一つ、不思議な縁が出来たと思いながら宿へ向かう俺達だった。




最後までお読みいただきありがとうございます。


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