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第127話 新たな街と出会い


いつもの冒険者生活を送る中、最近勢いを付けている商会であるヴェヌトイル商会の不手際によって発生した追加の運搬物の調達をするための護衛に付く事となった。

目的地のウェシロスと言う街へ、Bランクパーティー【デュアルボンド】の面々と向かう事になった。


ウェシロス・ヴェヌトイル商会本部——————


「中身を確認したところ、問題なかったよ。本当にありがとう。お陰で今日中に辿り着く事ができたよ」

「こちらこそ、お役に立てたようで何よりです」

「ヴェヌトイル商会の益々の発展を心よりお祈り申し上げます」


ヴェヌトイル商会お抱えの行者に【デュアルボンド】のリーダー的存在であるイアンさんとイオンさんが俺達の代表をするかのように担当者らしき人物とやり取りしている。

夕方になろうとした今、俺達はある場所に辿り着いている。


「それにしても……。ここがウェシロスか~~!」

「見た瞬間分かりました!良い街だって!」

「雰囲気がティリルと似ていますね!」


俺達は夕方になる直前にヴェヌトイル商会が持つ商隊の馬車を送る事を終え、改めてウェシロスの街並みを見渡している。

俺達が拠点にしている街であるティリルと同じような外観であり、活気に溢れている。

八百屋や飲食店もあれば、武具やアイテムを扱う店も何軒かあり、冒険者らしき人物も散見される。


「冒険者達が目立つのは当然の事だ」

「この街には冒険者ギルドがあるのだからな」

「確か、馬車の中で言ってましたよね?えっと……」

「冒険者ギルド【ティア―オブテティス】ですよ!」

「そうだ!それだったな!」


セリカに補足される形で俺は思い出した。

ウェシロスに拠点を置く冒険者ギルドの一つである【ティア―オブテティス】があるため、実際に冒険者をあちこちでよく見かける。

イアンさんとイオンさんによると、【ティア―オブテティス】はビュレガンセにある冒険者ギルドの中でも比較的新しく出来たと言われており、所属している冒険者の数は【アテナズスピリッツ】よりも少なめであるとの事だ。

それでも、ウェシロスを中心にモンスターの発生を始めとするトラブル解決や採取による資源確保に尽力している。

最近ではウェシロスに拠点を置いているヴェヌトイル商会が上等な武具や汎用性に優れたアイテムを豊富に卸すようになってからは、冒険者ギルド【ティア―オブテティス】に所属する冒険者達御用達のお店がオープンしていき、そこに所属する冒険者達の戦闘能力の向上やクエスト達成率の向上に繋ぐ貢献をしていると専らの噂だ。

武具やアイテムだけでなく、質の良い食料や日用品、日常生活をフォローしてくれる家具や道具も扱っているため、冒険を生業としていない人達の生活も大いに助けている。

今となってはそれだけ、ウェシロスと言う街や冒険者ギルド【ティア―オブテティス】に所属する冒険者にとって、ヴェヌトイル商会は欠かせないもしくは必要とする存在になっているとも直近では噂されているくらいだ。


「俺達だって、商店や商会に助けられているって事だよな」

「冒険に必要な武具やアイテムにしても、日々の生活に必要な食料や消耗品も商売に関わる組織あっての事ですから!」

「それもそうだね……」


ミレイユの言葉を聞いて、俺は当たり前な事を思い出した。

食べ物を栽培して育てて収穫するのを本当に一人だけでやるならば食って生きていけるけど、誰でも彼でもそれができる訳じゃない。

作る人がいて、仕入れて売る人がいて、買う人がそれぞれお金を出してモノの売買を行いながら生活のサイクルを成り立たせる礎を作っている。


「言われて見ると、ティリルと比べれば冒険者のためにしても、そうでない方のためにしても、大なり小なりお店が多く出回っている気がするな……」

「ウェシロスにお店を構えている店舗の大半はヴェヌトイル商会の息がかかっているとの話ですよ」


クルスがふと思った疑問にエレーナは補足するように解説する。

近年、勢いを付け始めているヴェヌトイル商会が元の拠点だったウェシロスを中心に販売網や取り扱う商品のジャンルを増やしている事から、街の商売に関連する店舗はその恩恵ともおこぼれとも言うような享受を受けていると聞かされた。

実際に最近のウェシロスはここ数年でその土地で生きていく人々はより豊かになっており、冒険者達にとっては動きやすく活き活きとできるような場所になっている。


「今では冒険者ギルド【ティア―オブテティス】に所属する冒険者達の活躍も目覚ましいって話も出始めているからね……」

「それも最近では、ヴェヌトイル商会による優遇制度も進んでいると聞いているの。確かに冒険者ギルドが近くにあれば、そうしたくなるだろうとも思いたくなるけど……」

「は、はぁあ……」


エリーさんとサーシャさんがそう付け加える。

少なくとも冒険者が懇意にするだろう武具を扱うお店のほとんどはどこかしらの商会に属している。

俺達が御用達にしている武具屋の『ロマンガドーン』もビュレガンセでも屈指の商会であるダイヤロック商会に属し、冒険者向けの装備品やアイテムを卸しており、時には素材をもらっては自ら武器や防具を鍛冶で生成する事もある。

商会の存在は、やはり切っても切れないのだ。

例えそれが冒険者であろうと、モンスターとは本来無縁で普通に生きている人達であろうと、誰かを守ろうとする者であろうと……。


「あ?トーマ達じゃん!てか【デュアルボンド】の面々もいる!」

「!?」

「もしかして、ヴェヌトイル商会が追加で発注したモノをお抱えの商隊馬車が冒険者パーティー2組を護衛で同行するって聞いたけど、まさかアンタ達とはね~」

「「ウィーネスさん!」」


声を掛けられた方角に顔を向けると、【ブリリアントロード】のリーダー格であるウィーネスさん達であり、その後ろには4人組の別の冒険者パーティーもいる。

どうやら彼らが先日、最初にウィーネスさん達とヴェヌトイル商会が発注したモノをお抱えの商隊馬車を守る護衛に付いて行ったパーティーのようだ。


「アタシ達もさっき着いて検査とかの手続きが終わったところよ!てかトーマ達の方が後から来たのに先に着いたって事は、高速馬車や特急馬車を使った感じ?」

「ハイ!【デュアルボンド】の皆様と高速馬車を利用しました!」

「やっぱりね!」

「ところでウィーネスさん。そちらの方々はもしかして……」

「えぇ。一緒に同行してくれたCランクパーティー【ゴーファイターズ】の4名よ!」

「「「「初めまして!」」」」


ウィーネスさんに促される形で【ゴーファイターズ】の4名は挨拶してくれた。

その内一名の男性がパーティーの代表を務めるように前に出てきた。


「初めまして!俺が【ゴーファイターズ】のリーダーを張っているギンゼル・レゴロンです!ギフトは『重戦士』です!トーマさん達に会えて光栄に存じます!」

「あぁ……。よろしくお願いします……」


元気よく挨拶してくれたのはギンゼルさんと言うほぼスキンヘッドの体格が良い男性だ。

ギフトに反さず、装備している鎧も重厚感を感じさせ、腰に据えている長剣や背中に背負っている盾も上質なモノであるのが見て取れる。

風貌に反して体育会系をどこか思わせる礼儀正しさと熱血さが伝わってくる。


「続いて私はアミナと申します!よろしくお願いします!」

「僕は……ケニーと申します!活躍著しい【トラストフォース】の皆様とご一緒に行動できて嬉しく思います!」

「アタシはネイカと言います!今後ともよろしくお願いします!」

「皆、よろしくね!」


俺達もそれぞれ自己紹介し終えた。


黄色を基調にしたローブを身に纏い、セミロングで明るい茶色のボブカットが特徴的な女性が『魔術師』のアミナさん。

濃い灰色の法衣を羽織り、縦に長めの帽子や眼鏡を付けている男性が『僧侶』のケニーさん。

フットワークが軽そうな装備に濃いめの黄色いロングヘアをポニーテールに纏めた女性が『アーチャー』のネイカさん。

それぞれ謙虚でしっかりしたイメージを持たせてくれる好印象な面々だ。


「それじゃ、自己紹介も済んだ事だし、約一時間の自由行動の後に近くにある飲食店でご飯食べよっか!」

「「「「「ハイ!」」」」」


今日一日だけで親交を深められるパーティーが二組もできるなんて、良い日だな……。



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