第125話 双子の連係プレー
双子ならではのコンビネーションを見せます!
いつもの冒険者生活を送る中、最近勢いを付けている商会であるヴェヌトイル商会の不手際によって発生した追加の運搬物の調達をするための護衛に付く事となった。
目的地のウェシロスと言う街へ、Bランクパーティー【デュアルボンド】の面々と向かう事になった。
高速馬車で移動する道中、“メガベアー”三体と遭遇し、討伐に動いた。
俺が合図を飛ばす!
「ミレイユ!エレーナ!」
「「ハイ!」」
「【支援魔法LV.1】『ハイアクセレート』!」
「【氷魔法LV.1】『フリーズショット』!」
「セリカ!クルス!」
「「ハイ!」」
エレーナが俺とセリカ、クルスに【支援魔法LV.1】『ハイアクセレート』を掛けて機動力を向上させ、ミレイユは【氷魔法LV.1】『フリーズショット』を一体の“メガベアー”の片脚を凍らせて動きを制限させにかかる。
「エリー!サーシャ!」
「「分かってるわ!」」
「【支援魔法LV.1】『ハイアクセレート』!」
「【氷魔法LV.1】『フリーズショット』!」
「行くぞ!イアン!」
「心得た!イオン!」
エリーさんは【支援魔法LV.1】『ハイアクセレート』による強化、サーシャさんによる【氷魔法LV.1】『フリーズショット』を一体の“メガベアー”の無事な方の脚を凍らせて動きを制限させにかかっており、俺達と同じような立ち回りだ。
これによって一体はほぼ動きが止まった。
瞬間、イアンさんとイオンさんはスピードやタイミングがほとんどズレる事無く、“メガベアー”に突進していく。
二人の両手にはミスリルで作られた手甲が嵌められており、イアンさんのは指の付け根には小さ目な丸形の突起が付いた特殊な形状をしている。
それに対しイオンさんのはそれをベースに若干ながら武骨にしているような印象だ。
何にしてもミスリル製ならば、『武闘家』のギフトを授かり接近戦メインのイアンさんとイオンさんは腕を振るいやすいのは確かだ。
「ガァア!」
「「ハッ!」」
“メガベアー”は前脚を振り下ろすも、イアンさんとイオンさんの身体捌きを捕らえる事ができない。
すると一瞬にして……。
「フン!」
「シッ!」
「ゴォオ?」
“メガベアー”はガクンと膝が崩れたように這いつくばる。
イアンさんとイオンさんは瞬間的に背後に回り、目にも止まらない前蹴りが“メガベアー”の両脚をぐしゃぐしゃにしていたのだ。
その刹那……。
「【武術LV.1】&【炎魔法LV.1】『フレイムナックル』!」
「【武術LV.1】&【岩石魔法LV.1】『ロックナックル』!」
「グゴォオオオ!」
イアンさんとイオンさんによる強烈な拳打は“メガベアー”の延髄と背骨を激しく陥没させ、その命脈を刈り取った。
その身体は魔石を残し、光の粒子となって消えた。
「イアン、エリーやトーマ達を助けにと思ったが……」
「どうやらその必要はないようだな。イオン」
二人が見ていたのは……。
「オラァア!」
「ハァア!」
「フゥン!」
「ガァアアア!」
俺達の方も対応に当たっていた“メガベアー”を討伐し終えている。
“メガベアー”の討伐自体は初めてじゃないから勝手は分かっているつもりだが、エレーナの【支援魔法】もあるからより効率的に倒す事ができた。
「ふう、こっちは終わったな……」
「はい、後はミレイユとエレーナが抑え込んでいる方の……。え?」
「こ、これは……」
俺達が請け負っている一体を始末し終えた後、【氷魔法】で拘束しているもう一体の始末に動こうとしていたが、ある光景が飛び込んだ。
「ガァアアア……」
「エリーさんの【氷魔法】による拘束のお陰で、やり易くてしょうがなかったですよ!」
「ミレイユの【爆撃魔法】やエレーナの【付与魔法】による強力な一撃も凄かったよ!」
「お褒め頂き嬉しく存じます!」
そこには最後の“メガベアー”が光の粒子となって消えていった光景だった。
【氷魔法】で足止めしてもらい、速攻で片づけた後に俺達やイアンさんとイオンさん兄弟が加勢するスタンスだったが、ミレイユとエレーナ、エリーさんとサーシャさんだけで終わらせていた。
「ミレイユとエレーナも素晴らしい魔法ね!」
「エリーさんこそ!」
(サーシャさん。【氷魔法】からのコンビネーション攻撃を見ていて分かった。この人は才能溢れる……)
口には出していないが、同じ『魔術師』であるミレイユはエリーさんの実力を肌で感じている様子だった。
「あ、トーマさん!こっちも終わっちゃいました!」
「加勢するつもりだったが、そっちで何とかできたんだな!」
「ハイ!エリーさんやサーシャさんの助けもありましたので、大丈夫でした!」
「ミレイユやエレーナも実力高かったよ!」
俺達はそれぞれの討伐を終えて速やかに馬車へ戻った。
幸いにも馬車に乗っている荷物や行者もこれといった被害が無く、行者もホッとすると共に俺達に凄く感謝をしてくれた。
高速馬車や特急馬車を利用する際、モンスターが出たら必ず防衛に出るのは規定といっても過言ではない暗黙の了解だからね。
俺達は再びウェシロスへと向かう事になった。
「なるほど、“メガベアー”の討伐そのものは初めての経験ではなかったのだな」
「俺達も見ていたが、迅速かつ効率的に倒す事ができたのにも納得がいく」
「ありがとうございます」
イアンさんとイオンさんは俺達の戦いぶりや実力を評価してくれており、素直に嬉しい気持ちを感じている。
セリカ達も喜んでいる様子だ。
だが、俺は一つ気になる事ができてしまった。
「それにしても、よく具体的に言えますね。俺達がどう立ち回っていたか……」
「あぁ、それはね……。その……」
「エリー。よい」
「行動を共にするのだ。話しても問題ない」
「分かったわ……」
「何か……?」
エリーさんが言おうかどうか少し悩んだ様子だが、イアンさんとイオンさんは一向に構わないと示すように聞かせた。
イアンさんとイオンさんは俺達が二体の“メガベアー”を相手にどう対処しているかについて話をしていたが、その内容が余りにも詳しかった。
強者もしくはBランク冒険者としての余裕とも思ったが、どうやら見当違いのようだ。
「トーマの指摘は最もだ」
「俺とイオンのそれぞれで見えていたのだからな」
「見えていた。と言いますと……?」
俺は素朴な疑問をぶつけてみると、イアンさんとイオンさんは満を持して答えてくれた。
「「【ジェミニの絆】!俺達双子がそれぞれ持っているユニークスキルだ!」」
「!?」
二人の口から出てきた言葉に、俺達はまず驚きの気持ちが噴水のように湧き出てきた。
何よりも俺は、自分と同じユニークスキルを持っている冒険者に出会えたことに喜びを覚えていった。
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