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第115話 護衛と言う名の……

あの冒険者パーティーとまた行動を共にします!

明日からは夏と言えば……なお話が続きます!

ベカトルブと言う街に赴いてダンジョン攻略を達成した俺達。

それからはいつもの日常に戻っていった。


ハイレンド伯爵家カントリーハウス内の屋敷・執務室———————


「エレーナ。トーマ殿達を連れて行かせたみたいで申し訳ないな」

「わたくしは問題ございませんが、今回は何用で……」

「ダンジョン攻略に貢献したエレーナの顔を見ておきたくてな」

「恐らくそれだけではないですよね?実家に顔を出すだけならばわたくし一人と護衛を付ければ済むだけの話なのに、トーマさん達まで来させる必要性は感じられませんが……」

(本当にその通りだと思う!)

「おっほん!まずは私から一つ話を……」


俺達は今、エレーナの実家であるハイレンド伯爵家のカントリーハウスに来ている。

昨日、ティリルの住宅街の中にある拠点としている邸宅にロミック様がしたためた手紙が届き、内容も「実家に来れる機会があれば、明日の午前中に来て欲しい。トーマ殿達も連れてどうか頼む」と言う旨だった。

今日はこれと言った用事がないので、若干バタバタしたものの、朝一番で馬車に乗り込んでロミック様やエレーナの実家であるお屋敷に来て今に至るのだった。

咳払いから沈黙が続く事数秒……。


「トーマ殿達よ!此度のダンジョン攻略は誠に大義であった!エレーナの事もAランクパーティー【ノーブルウィング】の庇護下にもあったとは言え、ダンジョン内で守ってくれたようで感謝の意を表する!」

「お、恐れ入ります!」


開口一番でロミック様は俺達に労いや感謝の言葉をお辞儀と共に示し、エレーナを除く俺達は謙虚に対応する。


「今回トーマ殿達を呼んだのにはある頼みをしたく思った次第なのだが……」

「ある頼み……でしょうか……?」


そこから打って変わってロミック様はキリッとした表情で俺達と向き合う。

そしてピリッとした空気が漂う。


「ここから南にあるルゾイエンにて一つの外せない用事があってな……。その間まで護衛の任務に付いて欲しいのだ」

「「「「ルゾイエン?」」」」

(ってどこだ?)


ロミック様の発した一つの街の名前に俺達は驚きを隠せなかったが、エレーナは「あらまぁ!」と達観した様子だ。

俺は初めて聞く名前だけどね。


「ルゾイエンって、ビュレガンセの中でも貴族を始めとする富裕層がこぞって多く訪れるリゾート施設がある場所ですよね?」

「あぁ、そうだ。今後の事を考えて、そこを治めている領主との会合の機会を得る事ができてね。我々が抱えている騎士団に加わる形で護衛に加わって欲しいんだ」

「はぁあ……」


俺達はキョトンとしている。

エレーナによると、ルゾイエンとは漁獲量の多さや海外からの渡航数で有名な街であるシーゾスから普通の馬車で半日はあろう距離だが、貴族やそれに類する著名な人物がこぞって使うと言われる豪華な施設が多くある街で有名な場所であると伝えられた。

ロミック様はそこへ仕事で訪れると伝えられ、その護衛を俺達にお願いしてきたって話と言う訳だ。

俺達にとってもロミック様と関りは深くあるが、すんなり受けてよいのか迷いもした。

だが、ロミック様は続けて言う。


「今回はトーマ殿以外にもう一組の冒険者パーティーを付けさせてもらおうと思っている。ヒントはイントミスの一件で大きく貢献した彼らさ……」


今回の護衛には俺達以外にも冒険者パーティーがいるとの事であり、それが同じギルドに所属するケインさん達だった。

ロミック様にはハイレンド伯爵家お抱えの騎士が何人もいるため、4~5人の冒険者パーティーが一組いれば十分のはずだ。

多めに用意すると言う事は、余程重要な案件ではと頭の中を過った。


「もしかして、ケインさん達【ディープストライク】の皆様でしょうか?」

「正解だ」

「ケインさん達も来ていただけるならば、安心ですね!」

「あぁ。彼等には借りがあるからね。実力が高いのはもちろん、礼儀正しく誠実だから信頼できる冒険者達と思っている」

「私も分りますよ!ケインさん達は我々も信頼していますから……」


当たりだった。

俺も一緒に来てくれる冒険者パーティーがケインさん率いる【ディープストライク】で良かったと思っており、ロミック様も随分と買っている様子だ。


「改めて確認するが、一緒に同行してもらえないだろうか?」

「ハイ!問題ありません!」

「ありがとう。明日の朝に出発するから、今日はここで泊まりなさい。エレーナとも最近の事について話したいしな」

「もう、お父様ったら!」


こうして話はまとまった。

ケインさん達とはルゾイエンに向かう途中、レグザリアにて合流する事になっている。

ロミック様の屋敷にて一晩を過ごす事になったが、お抱えの騎士団を擁するだけに、リペアフルードや回復用のアイテムも豊富に揃っており、いくらか恵んでもらった。

武具のメンテナンスや護衛中の動き方に関する打ち合わせと余念なく過ごした。

エレーナは父であるロミック様や嫡男であり実兄であるガレル様と近況報告し合っており、世間話を含めて会話に華を咲かせていた。


翌日———————


「待たせたな。では、早速向かうとしよう!」

「「「「「ハイ!」」」」」


俺達はお屋敷で一泊し、朝食も頂いた後に出発する事となった。

ハイレンド伯爵家お抱えの大柄で脚力に優れたタイプの馬による馬車に乗り込み、俺達はレグザリアに向かい、その馬車ターミナルに到着した。


「こちらです!お待ちしておりました!」

「ケインさん!皆さんも!」

「やぁ!また会えたね!」


そこにはケインさん達【ディープストライク】のメンバーが揃っていた。

ケインさん達を馬車に乗せると、俺達はルゾイエンへと向かった。

ロミック様によると、俺達が乗っている馬車は12名ほどを乗せられる広さと大きさでありながら、通常の馬車よりも早かった。

俺達を乗せて走る馬系のモンスターは“クイックホース”と言うレア度Bのモンスターであり、特急馬車で使われる“メガロホース”よりも体格は一回りほど小さくパワーは劣るが、その分フットワークは軽く力も強いので、3頭もいるので、その進行ペースは通常の旅客向けの馬車よりも数倍早い。

そんな凄い馬車を専用で抱えているロミック様は流石である。

その周りには3人の護衛の騎士が馬を走らせながら警戒しながら警備に当たっている。

馬車を走らせて数分後……。


「ケイン殿達も揃ったので、皆を今回の護衛に付き添わせた理由を話させてもらおう」

「は、はぁあ……」


ロミック様は不意に口を開き、どうして護衛として俺達を付き添わせたかを打ち明けた。

俺達は改まった様子で見ている。



「これから向かうルゾイエンで私は視察や会合に出向くが、君達には海水浴とかで英気を養って頂きたい!」

((((((((((え……?))))))))))


思わぬ発言に俺達はキョトンとせざるを得なくなった。


「え?英気を養うとは……?」

「ただ、ルゾイエンに着いてすぐに会合があるから、その時の護衛はやってもらうが、今日と明日で宿泊を伴って英気を養って欲しいんだ。イントミスの一件についてのお礼も含めてもあるがね」

(お礼ならその時の報奨金でもらっているんですけど……)


ロミック様のお仕事があるのは本当のようであるが、俺達にご厚意で英気を養って欲しいと言う気持ちがあるのは見て感じ取れた。


「お金などは気にせずとも良い。君達冒険者ギルドや王都からの支援のお陰で我が領地にも収益や労働力、防衛力は向上してきているから、各事業の成果も上昇傾向にあるのだよ」

「ティリルを含めた父上が治める領地に有益な成果をもたらしてくれた細やかなお礼と思っていただいて構いません」

「そうですか……。栄えているようで、私も嬉しく存じます」


ロミック様によると、彼が統治者として治めるハイレンド領は冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】等の存在もあって、モンスター討伐や犯罪減少に貢献している功績を打ち立てていき、他の領主との横の繋がりを太くしていく事による治安維持のお陰で王都ファランテスからの支援も厚くなっていると聞かされた。

その繋がりが太くなっている相手とは俺達が初めて知り合った貴族であり、ヒライト子爵家の当主であるアスバン様もその一人だ。


「だから今回はルゾイエンで日々の英気を養って欲しいと思っている次第なんだ……。闇ギルドの件で特に頑張ってくれた君達に是非ね……」

「「お、お心遣い感謝します!」」


ロミック様の屈託のない笑顔に俺とケインさんは誠心誠意に頭を下げた。


「ただ、着くのが日暮れ前辺りになるからすぐに約束をしている相手との会合がある。その時の護衛をお願いしたいんだ」

「ハイ!全力で務め上げます!」

「それからエレーナ。今回の会合はお前も参加してもらうよ。貴族令嬢でもあるから、他の要人からの覚えも広めるためにも……ね!」

「はい、是非とも参加させて頂きます」

(ルゾイエンで思いっきり楽しみたかったのに……)


俺は再度気合を見せ、エレーナもハイレンド伯爵家のご令嬢として会合に参加する姿勢を見せているものの、本心では少し不満のようだ。

さては存分に楽しむ気だったな。

ロミック様のホスピタリティやサービス精神に感服しながらも、伯爵の爵位を持ち、成長し続ける領地を経営する領主の余裕も感じられた。

今でも大物だけど、もっと上に行きそうだな……。


こうして俺達はリフレッシュする機会を頂くのだった。




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