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第112話 ダンジョン攻略の打ち上げ

ダンジョン攻略を終えた後日譚のようなお話です!

ベカトルブと言う街に赴いてダンジョン攻略を達成した俺達。

それから拠点にしている街のティリルへと戻っていた。


俺達は今、所属している冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】の飲食スペースにいる。

但し、沢山のテーブルの上には種類も量も豊富な料理やおつまみ、大量のエールやワインが置かれている。

そう、カルヴァリオさんの発案でダンジョン攻略を達成した打ち上げパーティーが急遽開かれる事になったのだ。

広く使うため、飲食スペース以外の場所も一部利用しており、何十人といる冒険者達も窮屈にならないようにしている。

それから開始時刻の定刻になった。


「皆も知っていると思うが、ベカトルブ近郊で発見されたダンジョン攻略を我がギルドの冒険者達が成し遂げてくれた。今日は協力と言う形で参加しクエストを達成する事に貢献してくれた者達の慰労を称え、そして【アテナズスピリッツ】の更なる繁栄のためにこの祝いの場を開かせてもらった。全員、酒は持っているな!」


演説の場らしきその場所で見渡せるようなポジションに、カルヴァリオさんやダンジョン攻略に参加したウルミナさんら【ノーブルウィング】の面々や俺達【トラストフォース】の姿がある。

そして……。


「今日は本当にめでたい日だ!好きなだけ飲んで食え!そして騒げ!乾杯!」

「「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」


カルヴァリオさんの号令で、ギルドに集まっていた冒険者達はエールの入った器を手に乾杯し合った。

俺もセリカやミレイユ、クルスやエレーナと握っているグラスを合わせた。

ウルミナさんもルエミさんらメンバーと乾杯している。

飲食スペースの中には共にクエストに臨んだ事のある【ディープストライク】のリーダー格であるケインさん達や稽古を付けてくれた【ブリリアントロード】のリーダー格であるウィーネスさん達もおり、仲良くグラスを合わせている。

それから俺達も他の冒険者達と飲食を楽しみ始めている。


「トーマ!まずは本当にお疲れ様だな!」

「初のダンジョン攻略。おめでとう!」

「ケインさん!フィリナさん!ありがとうございます」


俺はケインさんとフィリナさんを見つけて歩み寄ると、彼も俺に気付いて乾杯しながら労われた。

それからダンジョン攻略については勿論、ティリルからベカトルブに向かう道中や【アンビシャノブアレス】の冒険者達について話した。

因みにダンジョンの最深部で見つけたアイテムについては「詳しい事が分かるまでは他言無用にして欲しい」とカルヴァリオさんから念押しされているので伏せておいた。


「それは凄いな……。ダンジョン攻略に役立っただけでなく“ギガヴォルグ”二体をトーマ達5人で倒すとは……」

「セリカ達の協力のお陰です」

「それを考慮しても大したモノよ!Cランクパーティーが“ギガヴォルグ”一体を相手取るだけでもハードル高い事なだけに尚更だし!」

「恐れ入ります……」


少なからず酒も入ってるからか、ケインさんとフィリナさんも普段以上にフレンドリーに俺と接している。


「あ!トーマ!見つけた!」

「セリカ!ウィーネスさん!」

「トーマさん!何を話されてたんですか?」

「今回のダンジョン攻略に関係する事だよ!」


そこにセリカとウィーネスさんの他に、バダックさんやモレラさんもいる。

クルスはラルフさんやランディーさん達と話し合っているとの事だ。


「にしても全員が無事に帰って来てくれて本当に良かったわよ~!ダンジョンのボスモンスターが“デッドガーゴイル”って聞いた時はビックリしたわ!」

「「ご心配おかけしました」」

「こうして元気でいるからいいけど」


ウィーネスさんは俺達がダンジョンの奥で“デッドガーゴイル”とやり合ったと聞いた時は驚いていたようであり、俺とセリカは頭を下げた。


「ダンジョンの多くのモンスターと戦う場面はありましたけど、ウィーネスさん達が手解きをしてくれたお陰で乗り切れました!ありがとうございます!」

「例には及ばないのよ~。可愛い妹分を鍛えるのはアタシも楽しかったから~」

「ウィーネスさんったら~」


セリカは稽古を付けたお礼をすると、ウィーネスさんは上機嫌で彼女の頭をワシワシと撫でていた。

二人共お酒が入っているためか、仲の良い姉妹のようにじゃれているようにも見える。


「そう言えば、ミレイユとエレーナはどこに……」

「あぁ~。それならあそこにいるんじゃないか?ウルミナさん達のところに……」

「ウチのリエナやトクサも多分いる……」

「あの人だかりの辺りですかね?」

「多分そう。ニコラスやエルニもいると思うぞ」

「え?」


俺はミレイユとエレーナの姿が見えない事に気付くと、バダックさんはちょっとした人だかりになっている集団の方に指を差しているが、少し苦笑いしている。

ケインさんも同様だ。

俺とセリカもそれに目をやると、『魔術師』や『僧侶』等の魔法を得意とするギフト持ちの冒険者で固まっており、その中にミレイユ達もいた。


「本当~に凄かったんですよ!ウルミナさんの魔法は!とんでもない魔法の数々で“デッドガーゴイル”を圧倒しちゃうくらいだったんですから!」

「ミレイユやトーマ達がパージフルードを持っているお陰よ!」

「どのように倒したのか是非聞いてみたいです!」

「魔法についても是非お伺いしたく存じます!」

「はいはい。落ち着いて……」


集団の中心にはウルミナさんがおり、ミレイユは彼女がどんな魔法でダンジョン攻略をしていたかを熱く語っており、そこにはニコラスさんやリエナさんもいる。

普段は落ち着いている印象が強いニコラスさんとリエナさんも、いつもの何倍も気が昂っている様子だ。

Aランクパーティー【ノーブルウィング】のリーダー格にして国内外にその名を轟かせるウルミナさんは『魔術師』を始めとする魔法をメインとする者にとって憧れの的やカリスマと言っていい存在であり、中には心酔もしくは神聖視している者もいるとかいないとかの話も出ているほどだ。

ミレイユはもちろん、普段は落ち着いた印象が強いニコラスさんやクールなリエナさんがいつになく感情的になるのも当然だ。

一方で……。


「ルエミさんとエレーナさん!ダンジョン攻略での活躍凄いです!」

「本当に憧れます!」

「皆様、ありがとうございます」

「主に【付与魔法】と【支援魔法】とかでサポートや【回復魔法】で傷を治してやるくらいで大した事は……」

「支援がメインとなる我々にとっては非常に素晴らしいのです!」

「目標にしています!」

「ハイハイ。皆、落ち着いて」


エレーナはルエミさんと一緒にサポートを主とするギフト持ちの冒険者達に囲まれており、その中にはエルニさんやトクサさんもいる。

普段から慎ましい振る舞いをしているエルニさんやトクサさんも、サポート系魔法のエキスパートで知られるルエミさんを見て興奮を隠し切れていなかった。

ルエミさんと同じ『付与術士』であるエレーナも伯爵家のご令嬢と言うネームバリューもあって引っ張りだこだが、二人共スマートに対応しており、流石と思った。

ジーナさんは詰め寄られそうになっている状況を窘めているが、声をかけられても笑顔で気さくに返している。


「凄い人気ですね。ウルミナさんとルエミさん……」

「どちらも魔法に関してはプロ中のプロってのもありますけど、あれだけルックスやスタイルも抜群ですからね……」

「トーマさん!セリカ!」

「クルス!」


俺とセリカがウルミナさんとルエミさんのカリスマ的人気を持っている事に改めて驚いていると、クルスが合流して来た。


「ラルフさんやランディーさん達とは色々話せた感じか?」

「ハイ!特にラルフさんとは同じ『シーフ』として通じるところもあったので、話も盛り上がりましたよ!」


クルスも有意義な時間を過ごせたようだ。

振り返ってみると、クルスはダンジョン攻略中にラルフさんから様々な知恵やノウハウを教えてもらうところが多くあった。

今回の共同クエストにおいて俺達【トラストフォース】の中で最もウルミナさん達の役に立ったのがエレーナだとすれば、最も有意義な勉強をする機会を得られたのがクルスと言っても過言ではない。

心なしか、充実したような表情がクルスの顔に広がっている。


「それにしても、本当に賑やかだな。よっぽど今回のダンジョン攻略がウチのギルドで達成できたのが嬉しいのかな?」

「ダンジョン攻略は冒険者にとっては醍醐味の一つでもありますから。それに、今回は【聖属性魔法】がないと達成できない条件でもありましたから、尚更かもしれません」

「そうだよな……」


俺はクルスの言葉を聞いて、改めて納得できた。

大体がウルミナさん達先達の冒険者のお陰とは言え、最深部まで辿り着いた時は、言葉にするのも難しいくらいに達成感で溢れかえりそうな気持ちだった。

そして今いるこの宴席は、その喜びを分かち合う瞬間だ。

今回のダンジョン攻略を知ったギルドの冒険者達も「次は自分が攻略してやる」と言うやる気に満ちた者達も多くいた。

その中にはケインさんやウィーネスさん達のような実力者もいる。

俺達も特殊な形とは言え、ダンジョン攻略をする機会を得られたこの経験を糧にしていきたいと改めて思った。

それから夜も更け……。


「皆!今回のダンジョン攻略、本当に助かったわ!ありがとう!」

「いえ、こちらこそ……」


宴もたけなわになった頃、俺達はギルドの外にいる。

宴会に参加していた冒険者達はそのまま帰る者もいれば二次会に参加する者と様々だ。

今回は意外な事に、酒に酔いやすいミレイユが比較的普通だ。

恐らく飲む事よりもウルミナさんの事で話したり語ったりに夢中だったのだろう。


「あなた達の今後の活躍、期待しているわよ!」

「ハイ!精進していきます!ありがとうございます!」

「「「「ありがとうございます!」」」」

「では、お休みなさい……」


俺達はウルミナさん達を見送った。

実力や経験に裏打ちされたその背中を見て、どこか大きなように感じた。

そして俺達はこう思った。



(もっと強くなって、いつか追い付いて見せる!)


そして、ダンジョン攻略と言う怒涛の冒険は終わりを告げるのだった。


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