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第107話 ダンジョン攻略⑪

ダンジョン攻略が終わってからの、楽しい宴会です!

ベカトルブと言う街に赴いてダンジョン攻略に臨んでいる俺達。

ダンジョンの最奥にある扉をこじ開け、“デッドガーゴイル”との戦闘に入った俺達は大苦戦したものの、倒すに至った。

そしてアイテムが眠るとされる扉の向こう側へと辿り着き……。


「「「「「帰れたーーーー!」」」」」


ダンジョン攻略に臨んでいた俺達は、様々な苦境を乗り越えて最深部まで辿り着いた後に、目的を達成して地上へ出る事ができた。


「ふぅ……」

「やっと出られたね……」

「想像以上にキツかった……」

「でも……。全員無事に戻って来れて良かったです!」

「我ながら、よく頑張ったとも思いたいですね!」

「それもそうだな!」


少なくとも、ダンジョンに入る事そのものは初めてだった俺達【トラストフォース】にとっては、厳しくも本当に有意義な経験を味わう事ができたと思えた。

ただ、今回のダンジョンにおけるボスモンスターである“デッドガーゴイル”との戦闘は少なくとも、この世界に来てから一番強力で凶悪なモンスターのような気もした。

エレーナが買う事を進言したアイテムであるパージフルードが無かったら、失敗に終わっていたかもしれないし、誰かが大怪我やそれ以上に最悪な状況になっていた可能性だって絶対に否定できなかった。

何より、一緒に来て下さった同じギルドのAランクパーティーである【ノーブルウィング】、ベカトルブを拠点とする冒険者ギルド【アンビシャノブアレス】のAランクパーティーである【飢狼団】が付いてくれたのは、本当に頼もしかった。

大変な修羅場はあったけど、一人も死者を出す事もなくダンジョン攻略が叶って何よりだ。


「【アテナズスピリッツ】の皆さん!ダンジョン攻略が達成できたのもこうして皆で帰って来れたのは紛れもなく、皆さんのお陰だ!今回は本当にありがとう!【アンビシャノブアレス】の【飢狼団】を代表して礼を言わせて欲しい!」

「「「「ありがとうございます!」」」」

(律儀だな~。ガイキさん達……)


地上に出るや否や、ガイキさんを筆頭に【飢狼団】のメンバー達は深々とお礼をしてくれたが、何故か気合いが入っている。


「こちらこそ、協力して頂けて感謝してるわ……」

「いやいや、本来ならウチのギルドのメンバーでやるべきところを【聖属性魔法】が使用できる冒険者がいる事を聞きつけてお願いした身なんで、是非とも礼をさせてくれ!」

「本当によろしいのに……」


ウルミナさんとガイキさんはそんなやり取りをしている。

それから周囲が宥めながら、俺達は冒険者ギルド【アンビシャノブアレス】へと帰路に着く。

ギルドに着いた頃には夕方になっている。


「おーい!帰ったぞー!ダンジョン攻略も成功だ!」

「オォオ!ガイキさん達【飢狼団】が帰って来たぞ!」

「【アテナズスピリッツ】の皆さんも全員無事だ!」

「お帰りなせぇ!」

「ご無事で何よりっすわ!」

「心配かけたな!お前ら!」


入るや否や、【アンビシャノブアレス】に所属する冒険者達が明るく出迎えてくれた。

剛毅で武骨ながらも、フランクで暖かい雰囲気を感じて、俺はホッとした。

今回のダンジョン攻略に参加したメンバー全員が【回復魔法】や回復アイテムで治した後を考慮しても、心身共にベストに近い状態で帰って来れたのだから……。

するとそこに……。


「良くぞ帰って来てくれた!」

「ヴァラガンさん!」


奥から【アンビシャノブアレス】のギルドマスターであるヴァラガンさんが気さくな笑顔を見せながら出てきた。

ダンジョン攻略を達成した事の報告やその戦果品を見て、その顔は更に綻んでいる。


「オォオ!こんなにも沢山!強力な武具や魔導具の材料になる魔石やレアアイテムがこんなにも!」

「俺達でもビックリでして……」

「ヴァラガンさん。私の方からも……」


ヴァラガンさんは目を輝かせているような表情をしており、ガイキさん達も「改めて見ると量も質も凄い」と言わんばかりに苦笑いしている。

そこにウルミナさんがある武具を提示してきた。

そう、例の謎のアイテムであり、俺だけが現時点で使えるあれだ……。


「ほぉお……。ダンジョンの最奥の部屋にこれが刺さっていて、そこにいるトーマが一人でやった時には抜けて、彼だけが使えたと……」

「はい。ウルミナさんによると、俺が持っているギフトである『何でも屋』と言う事が主な理由ではないかとの事です。いくらか試しに使用したものの、恥ずかしながら、私自身もこれがどんな武器であるかを客観的に把握し切れていないのが現状です……。分かっている事は、使うスキル次第で変幻自在に形を変える事と、瞬間的に力が湧いてくるような感覚になるって事ですかね……」

「ふむ……。ダンジョンの最奥にレアアイテムは勿論、伝説もしくは国宝級とも言われている武器が発見される事もあるとは言うが、これまた随分なモノだな……」


冒険者としてのキャリアが長かったヴァラガンさんも流石に答えに悩んでいる様子だ。

見ている他の冒険者達も興味や関心を持って聞いている者もいれば、怪訝そうな表情をしている者もいる。

沈黙が続いて数秒後—————


「まぁ!そう言う事は追々考えていけばいい!何にせよダンジョン攻略の達成を祝わなければだな!オイお前ら!」

「ハイ!もう取り掛かってます!」

「酒やつまみもたっぷり用意してます!」

「へ?」


ヴァラガンさんはシリアスな表情から打って変わって、まるで宴会の準備でも始めるかのような号令を部下達に発しており、俺達はキョトンとした。


「実を言うと、もう宴席を整える手筈は概ね整えているんだわ!やってくれるかもって信じていたからな!」

「そ、そうだったんですね~!」

(これ失敗だったらどうなってたんだろう?)


ヴァラガンさんの合図で宴席の準備が素早く進み、【アンビシャノブアレス】の冒険者達はお祭りムードになっている。

成功を信じてくれたのは素直に嬉しいけど、ダメだったらどうなっていたんだろうと今更ながら心の中でガクブルになる俺だった。

そう思うとダンジョン攻略が達成できて本当に良かった。

事前準備が良かったのか、一時間もしないで宴会を楽しむ構造が出来上がった。


「そんじゃ!【アンビシャノブアレス】と【アテナズスピリッツ】によるダンジョン攻略の達成を祝って……。乾杯‼」

「「「「「「「「「「「乾杯~!」」」」」」」」」」


ヴァラガンさんによる乾杯の発声により、ダンジョン攻略達成を祝う宴会が始まった。

俺達はダンジョン攻略についてあれよこれよと聞かれたが、酒も入っているからか、思い出せる限りに話した。

普段は騒々しくて腕っ節自慢をよくやっている【アンビシャノブアレス】の冒険者達だが、今はその賑やかさがめでたい宴席の場を良い意味で盛り立てている。


「いや~!にしても非常に珍しいと言われるギフトである『何でも屋』って本当にあるんだな!」

「はい。でも、このギフトのお陰でダンジョン攻略が叶ったって思えば、授かって良かったと今では思っています。後、【聖属性魔法】が使えるエレーナの存在も大きかったですね」

「おうおう、偉く謙虚じゃねぇの?」

「事実ですから」

「言うねぇ!ってよく考えればお前さんやエレーナの嬢ちゃんがいなきゃ今回のダンジョン攻略って達成できなかったんじゃね?」

「まぁ、確かに……」


俺も同年代か少し年上らしき冒険者達から色々と話しかけられた。

最初はエレーナが必須と思って参加したが、まさか俺の存在が大いに絡んで来たのが終盤で判明したのはビックリした。

そのエレーナも少し無粋な気もする冒険者達との会話も華麗かつスマートに対応しており、むしろユーモアや機転を利かせては場の雰囲気を良くしている。

セリカやミレイユ、クルスも質問攻めにあってはいるが、お酒の席でもあるからか、ダンジョンで起きた事や学んだ事を素直で流暢に伝えているだけなので、それが良い塩梅を創るきっかけになっている。

ウルミナさんやルエミさんら【ノーブルウィング】の面々も、流石の貫禄と言うかキャリアと言うか、場の雰囲気を壊さないように接している。


(多方面で凄いところを見せてくれんだな……。Aランク冒険者は……)


俺はAランクまで駆け上がる冒険者の凄さをまたも再認識する事になった。

それから縁もたけなわになった頃……。


「ん……?」

(ウルミナさんとガイキさん……。ヴァラガンさんと何を……)


あれよこれよで宴席も終わりが見えかけた頃、ウルミナさんとガイキさんがヴァラガンさんに連れられる形でどこかの部屋に入って行くのがちらりと見えた。

気にはなったが、ダンジョン攻略の事だろうと思う事にして切り替えた。

それから10分ほどが経ち—————


「じゃあ皆!そろそろ宿に戻ろう!」

「そうですね!ってミレイユしっかり!ほらお水!」

「ありがとう~ごじゃいま~す~」

「もうこの子ったら~」

「僕が担ぐよ!」

「今日はめでたい日だったからね」


ウルミナさんが仕切る形で俺達は到着した時から使用している宿屋へ戻る事になった。

ミレイユは相変わらず酩酊しており、セリカとクルスが介抱する形となり、ジーナさんは笑いながら茶化している。

エレーナとランディーさん、ラルフさんはやれやれと言ったような表情だ。


「それにしても、見ていて面白くて楽しいわね……。トーマのパーティーは……」

「面白いって……。でも、俺には勿体ないくらい頼りになる仲間達です」

「そう言うあなたも頼りになる男って私も思うわ……」

「そうそうトーマ。ちょっと良い?」


ウルミナさんとルエミさんの裏表のない誉め言葉に俺は照れと嬉しさを感じた。

そこでウルミナさんが俺に話しかけてきた。


「明日にはベカトルブを出発するんだけど、それが昼過ぎになるかもしれないの。勿論、それは後に皆に共有するけど……」

「何でしょうか?」


宴席の時と打って変わり、ウルミナさんの表情に少しの険しさが滲み出ている。


「明日の午前中にギルドへ来て欲しいってヴァラガンさんが言ってたの。今回のダンジョン攻略の件で話があると……」

「はぁ……」


先ほどウルミナさんがガイキさんと共にヴァラガンさんと別室で話をしようとする場面があったけど、それに関係するのかと俺は思った。

そして……。


「ベカトルブを始めとする街をいくつも治めているブレジール辺境伯爵家の当主が明日ギルドにいらっしゃるの……。そこでトーマ達にも同席して欲しい」

「え?」


ウルミナさんの口から出てきた貴族の名前と明日顔を合わせる事になった予定が突然できて、俺は一瞬固まった。




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