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第104話 ダンジョン攻略⑧

ダンジョン攻略中です!

VS.デッドガーゴイル戦、クライマックスです!

ギルドマスターであるカルヴァリオさんのお願いでベカトルブと言う街に赴いてダンジョン攻略に臨んでいる。

ダンジョンの最奥にある扉をこじ開け、“デッドガーゴイル”との戦闘に入った俺達だが、その凄まじい生命力と強さの前に苦戦を強いられていた。


「ガァアアアアア!」

「クソ……。何てモンスターだよ!」

「今までダンジョン攻略してきた事があるけど、過去一かもな……」

「ぐぅう……」


ジーナさんやガイキさんらもダメージを負い始めている様子もお構いなしに“デッドガーゴイル”は雄叫びを上げた。

いくらAランク冒険者と言えども、ダンジョンの魔力を吸収する事による再生能力は厄介極まりない要素だ。

様子を見るに、Aランクパーティーの称号を持つジーナさんやガイキさん達も、“デッドガーゴイル”ほどのモンスターとやり合う機会はそうなかったのだろう。

それがダンジョンの中であるなら尚の事だった。

それでも諦めずに攻略法を見出そうとしているその時だった。


「【土魔法LV3】&【岩石魔法LV3】『グランドバインド』!」

「グォオオオオオ!?」

「この魔法……?」


“デッドガーゴイル”の足元から土と岩石が入り混じったような太い鞭が何本も飛び出し、その四肢を縛り付けていく。

ジーナさんとランディーさんはふとウルミナさんの方を見やった。


「ミレイユ!エレーナ!」

「「ハイ!」」


「【付与魔法LV.2】『エンチャント・インディ』!」

「【氷魔法LV.2】『フリーズスフィア』!」

「ガァア!?」


エレーナの【付与魔法】で強化されたミレイユの杖から放たれた氷弾は“デッドガーゴイル”の顔面に当たり、角から首の付け根まで凍り付いていく。


「今だ!」

「「ハイ!」」

(エレーナの思っている事が本当ならば、この液体は……)


俺が合図すると、セリカとクルスは俺に続くように駆け出す。


「皆!トーマ達を援護して!今から“デッドガーゴイル”にパージフルードを浴びせる!」

「パージフルード!?」

「対アンデッドやゴースト系モンスターへの対抗アイテムの一つじゃないか!」

「何だか知らないけど、OK!」

「グガァアアアア!」


ウルミナさんの指示で、ジーナさん達も助太刀する準備を整えていく。

すると、“デッドガーゴイル”は凍っている顔面を溶かさんばかりに火炎放射を放ち、雄叫びを上げているが、四肢は縛られたままの状況から、今にも引きちぎらんばかりの力が込められている。


「フン!」

「ハッ!」

「ギャァアアアアアア!」


すかさずランディーさんは“デッドガーゴイル”の喉仏を槍で突き、両目を二振りのロングナイフで斬り裂いた。


「オラァア!」

「この野郎!」

「ギィィ!」


ガイキさんはウォーハンマーで、ジニックさんは剣を“デッドガーゴイル”の両脚の甲を突き立てて動きを抑えている。

そこに……。


「皆さん!ありがとうございます!」


俺は懐に潜り込み、パージフルードが入ったボトルの蓋を開け、それを“デッドガーゴイル”の首から胸にかけて撒き散らした。


「グギャァアアアアアア!」


“デッドガーゴイル”は呻いているが、斬られたり強く殴られた時にダメージを負ったようなモノではなく、まるで苦痛を伴う病気にでもかかったような感じだった。


(俺もやらせてもらう!)

「【ソードオブハート】&【剣戟LV.1】『破鉄突き』!」

「ギャガァアアアア!」


俺は【ソードオブハート】を織り交ぜた【剣戟】スキルで“デッドガーゴイル”の腹を突くと、その硬い皮膚を容易く貫けた。


「ウルミナさん!あれって……」

「えぇ……。効いているわ。エレーナ達が持っているパージフルード……。やはり“デッドガーゴイル”には効果覿面だったのよ!」


ウルミナさんは手応えを感じているような表情をしている。

“デッドガーゴイル”はアンデッド系の要素を持った強力なモンスターなだけに、浄化作用のあるパージフルードを浴びせてみる作戦は功を奏した。

使う機会があればと思って出発前に購入してみたアイテムが、まさかのタイミングで役に立つとは幸運だ。

と言うよりエレーナの進言で買っておいて良かったと思うと同時に感謝しかなかった。


「誰か“デッドガーゴイル”に攻撃を!」

「アタシに任せな!ハッ!」

「ギャァアアアアアア!」


ジーナさんがジャンプしながら斧を振り上げ、“デッドガーゴイル”の肩を斬り裂いた。

するとその身体は見事に切り傷が入っていたが、それだけではない。


(思った通り……。再生していない!)

「おぉ!効いている!」


何とダンジョンの魔力を享受している上に再生能力を持っている“デッドガーゴイル”の傷が修復されないままになっている。

不死性を持っている“アンデッド”系のモンスターに有効なのが証明される事となった。


「よし!次!」

「「ハイ!」」

「グゴォアアアアア!」

「良し!いいぞ!」


ウルミナさんはセリカとクルスにも俺と同じくパージフルードを“デッドガーゴイル”に浴びせるように指示をし、二人は容赦なく浴びせていく。

ガイキさんらは状況が少しずつ好転している様子を見て口角を上げた。

心なしか、“デッドガーゴイル”の周りを覆っていた瘴気のような類の気体が漏れ出なくなってきた。

だが……。


「グガァアアアア!」

(まだこんな力を……)


“デッドガーゴイル”は生に縋るかのようにダンジョン中に響き得る轟音を放つのだった。

その四肢を縛る岩石を混ぜた土の鞭を勢いそのままに引きちぎり、自由の身となった。

まるで自分のプライドを傷付けられた報いを受けさせんばかりの怒りのような様相の“デッドガーゴイル”はその場で大暴れしそうになっている。


「ガァア!」

「「「ウォオ!」」」


“デッドガーゴイル”は必死に火炎放射を放ったものの、炎の勢いは凄まじかったが単調だったため、誰も当てる事はできなかった。

ダンジョン内における“デッドガーゴイル”はAランクパーティーを大いに苦戦させる強大なモンスターだが、戦局は傾いているのは明らかだった。


「【剛撃LV.4】『轟轟落墜』!」

「グゴォオオオオオ!」


ガイキさんがかますウォーハンマーによる激烈な降り下ろしは、“デッドガーゴイル”の左腕を盛大に潰しながらも、地面は直径5メートルを盛大に陥没させたと共に、その身体が先ほどまで見せた再生能力は既に見る影もなかった。


「ルエミ!」

「【付与魔法LV.3】『プレナバス』!」

「ギギィイイイイ!」

「皆!私の後ろへ退避!」


ルエミさんが “デッドガーゴイル”に【付与魔法LV.3】『プレナバス』を仕掛けると、その身体は仰向けのまま痙攣したように動きが明らかに鈍くなっている。

ウルミナさんは杖を前にかざしながら、前線にいる俺達に退避するよう指示を飛ばした。

ダッシュで戻った頃には、ウルミナさんは濃い橙色のオーラを纏っている。

それを見た瞬間、俺は強力な魔法をぶつけてトドメを刺すと直感した。


「【爆撃魔法LV.3】『ギガバースト』!」

「ギャァアアアアアア!」


ウルミナさんの杖から放たれたバスケットボールほどにまで圧縮された魔力弾が一直線に放たれ、“デッドガーゴイル”に触れるや否や、凄まじい爆発が起きた。

強烈な威力で爆風や余波が俺達にも飛んで来たが、『重戦士』であるジーナさんとゴージさんが【岩石魔法LV.3】『ロックランパード』で全員を守れるサイズの岩壁を作り上げて咄嗟に防いで見せた。

Aランク冒険者なだけに、その場の判断力はかなり優れている。

煙が晴れかかった頃、“デッドガーゴイル”の身体はボロボロになっており、所々削られており、心臓らしき箇所も剥き出しになりかけている。


「ギィィ……ガァア……」

(あれでもまだ倒れないのか……?でも……)

「ダンジョンの魔力の恩恵込みとは言え、馬鹿げたタフネスと生命力ね……。だけど……」


“デッドガーゴイル”の呆れた生命力に驚きつつも、再生速度は最初に見た頃よりも明らかに落ちており、往生際が悪いように足搔こうとしているが……。


「チェックメイトよ!」


決め台詞と共にウルミナさんは杖を掲げている。


「【岩石魔法LV.2】『ストーンエッジ』!」

「ギィヤァアアアアアアア!」


“デッドガーゴイル“より一回りほど小さいサイズの刃のような岩石が生成され、その身体へ放つと、床と一緒に貫いた。

そして……。


「“デッドガーゴイル”の身体が……。これって……」

「えぇ……。倒したのよ……」


俺達の目に映ったのは、モンスターを討伐した際に光の粒子と共に消えていく現象だ。

俺がルエミさんに確認すると、正解だった。

そして、ダンジョンのボスである“デッドガーゴイル”を倒したと言う証明ともなった。


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