第103話 ダンジョン攻略⑦
ダンジョンの攻略中です!
ダンジョンのボスモンスターが本領発揮します!
ギルドマスターであるカルヴァリオさんのお願いでベトカルブと言う街に赴いてダンジョン攻略に臨んでいる。
ダンジョンの最奥にある扉をこじ開け、“デッドガーゴイル”との戦闘に入った俺達。
一時は勝利を確信したが……。
「ガァアアアアア!」
((((((来る!))))))
“デッドガーゴイル”は口から【炎魔法】のような火炎放射を放ってきた。
その威力も最初に見せた時よりも威力も攻撃範囲もかなり上がっている。
ガイキさんら前衛陣もそれを悟っている。
「【岩石魔法LV.3】『ロックランパード』!」
ジーナさんが斧を地面に突き刺すと、非常に分厚い壁が下から一瞬で盛り上がり、強力な炎は通る事なく消えていった。
ウルミナさんも【岩石魔法】は使えるが、防御に力を入れたい時にはジーナさんも加わるケースは珍しくないようであり、今回はゴージさんの盾付きだ。
それもあって、誰もその攻撃は受けなかった……。
「ガァア!」
(速い!)
ガイキさんは先刻よりも速く鋭い振り抜きを見せた“デッドガーゴイル”に少なからぬ戦慄を覚え始めている。
そして、他の前衛で構えるメンバーも……。
「お前ら!散れ!」
「ギャァアアオオオ!」
「グゥウ!」
ガイキさんは指示を飛ばしながら、“デッドガーゴイル”の打撃をウォーハンマーで受けるが、その身体はあっさり吹き飛ばされてしまう。
やはり、最初の頃よりも明らかにパワーが増しており、詰め寄ろうとした。
「【弓術LV.3】『バルカンシュート』!」
「ギィイイイ!?」
「サリナ!」
「ウチのリーダーはやらせないよ!」
サリナさんは魔法で生成した大量の矢を“デッドガーゴイル”に放ち、追撃を止めた。
そこにジニックさんとゴージさんが剣を握って突進する。
「【剣戟LV.3】『豪腕剣』!」
「【剣戟LV.3】『硬岩断ち』!」
「ギャァアアアアアア!」
“デッドガーゴイル”は翼を前にかざす形で防御態勢を取り、ジニックさんは唐竹割り、ゴージさんは袈裟切りでそれぞれ強烈な斬撃を浴びせて吹き飛ばす。
Aランク冒険者の強力な攻撃を浴び続ければ倒れると思っていた。
(ん?あれは……?)
ラルフさんは気が付いたら【魔力感知】スキルを発動させており、“デッドガーゴイル”の方に視線を向けると、何かに気付いたような表情に変わった。
(あの魔力の巡りと増え方。まさか……?)
「気を付けろ!あの“デッドガーゴイル”、再生しているぞ!」
「何?」
「どういう意味だ!」
ラルフさんがそう発すると、隣にいるランディーさんや少し離れたところにいるガイキさん達が驚き、目を見開いている。
その言葉を聞いて俺も“デッドガーゴイル”に目を向ける。
すると驚きの光景が目に映った。
「グルルルル……」
(本当に傷が治ってきてやがる……。どうなってんだ……?)
“デッドガーゴイル”の欠損しかけている身体や翼はみるみると修復されていっており、ほとんど元通りになっていた。
ガイキさん達も再び構え直す。
「ダンジョンのボスってあんなヤバいのかよ……」
「いいえ。ダンジョンのボスモンスターだからと言って、“デッドガーゴイル”のようなタイプばかりじゃないわ……。ダンジョンから漏れ出す魔力を享受できているのを含めてもあれは厄介極まりない」
「ダンジョンから漏れ出す魔力……?」
思わず零れた俺の言葉に対し、ウルミナさんが解説している。
「いくつものトラップが仕掛けられていたり各フロア内にモンスターが大量にいたと思うけど、この最奥のフロアから溢れだした魔力によって不規則な形で生成、顕現されていて、モンスター達が強くなっているの。だから奥へ進むに比例してモンスターが強かったり複雑で厄介なトラップが仕掛けられているパターンがほとんどになっているわ。ダンジョンの奥から溢れ出している魔力の恩恵をモンスター達が受けているから……」
「え?じゃあ……。今やり合っている“デッドガーゴイル”は……」
「そう。ダンジョンのボスモンスターはその溢れ出る魔力を存分に享受しているから、さっきまで戦ったモンスター達とは比べ物にならないほどに強力になっているわ」
「噓だろ……」
「ウルミナさん、ルエミさん、あの……」
ウルミナさんによると、ダンジョンの最奥にいるボスモンスターを筆頭に、漏れ出ている魔力によって内部のモンスター達が吸い寄せられるように集まってくるのがほとんどである事やトラップが生成していると話してくれた。
今戦っている“デッドガーゴイル”はダンジョンができた際に誕生したボスキャラ、すなわち最後の砦のような役割を本能で担っているような形であり、同時に滲み出ている魔力を吸収して強い力を得ていると言ったところだ。
するとエレーナが声を発しかけた時……。
「「ぐわ!」」
「「うぐ!」」
「「ガッ!」」
「皆!」
「ギィイガアアアアアア!」
前衛の6名が“デッドガーゴイル”の攻撃でジーナさんとガイキさんが壁まで吹き飛ばされ、ランディーさんとラルフさんが地面を滑り、ジニックさんとゴージさんは地面に叩き付けられてしまった。
それを他所に“デッドガーゴイル”は叫び声を上げている。
「何てやつだ……」
「ダンジョンの魔力の恩恵があるからって、これは……」
「パワーアップはともかく、再生能力ありとか反則じゃねぇか……」
ガイキさん、ジニックさん、ゴージさんの目から闘志は失ってこそいないが、攻略法を見出せずに困りが混じったような表情をしている。
サリナさんも援護射撃の準備こそしているが、不安を覚え始めている。
「何か弱点の一つでもあれば、いいけど……」
「あのパワーと頑丈さに加えて再生能力。厄介極まりない……」
「再生できるモンスターはそれが追い付かないくらいの連続攻撃や一発で消し飛ばすほどの威力をぶつけるのが攻略のセオリーだが……」
(あの強さと魔力……。すんなりとやらしてはくれないかもな……)
ジーナさん、ランディーさん、ラルフさん達も諦めていないものの、表情は深刻そのものだ。
「あの不死性を持ったような再生能力、まるで“アンデッド”を相手にしているようね」
「そうね……」
「あの~。ちょっとよろしいでしょうか?」
「「!?」」
ウルミナさんとルエミさんも表情が険しくなっていく。
するとエレーナが二人に近付き声をかけた。
「今……。これを持っているんですけど……」
「「え……?これって……」」
「はい。もしも可能であるならば……」
「ガハァア!」
「「「!?」」」
そこでガイキさんが吹っ飛ばされてきて、致命傷は負っていないが、傷だらけだ。
ダンジョンのボスの恩恵を考慮しても、“デッドガーゴイル”は凄まじいパワーとタフネスをまざまざと見せ付けている。
少なくとも俺達【トラストフォース】はこの時点で、凄まじい戦慄を覚えており、今にもプレッシャーに圧し潰されそうな気持ちだった。
だが、隣にいるエレーナはそれらを押し殺して言い切っていく……。
「今回のダンジョン攻略に【聖属性魔法】が必要であるならば、わたくしだけでなく、これが効くかは存じ上げませんが、やってみる価値はあると思います!」
「「……」」
ウルミナさんとルエミさんは少し向き合いながら思案していた。
エレーナは持ち出した提案に乗るか反るか……。
「確証はないですけど……。やってみるのが良いと俺は思います!」
「トーマさん!」
「このままではジリ貧になって負けてしまいます!守りに入って消極的になった挙句の果てに負けるよりもマシです!どうか俺達にも……」
俺がそう言うと、ウルミナさんとルエミさんは真剣な表情で向き合った。
「ぐわぁあ!」
「ゴージさん!」
「グゴォオオオオオ!」
ゴージさんが“デッドガーゴイル”による攻撃で吹き飛ばされ、盾もボロボロになりかけており、ジーナさん達の疲労の色も見え始めている。
ウルミナさんは決断をした。
「分かったわ。やりましょう!ルエミ!」
「えぇ」
俺達も逆転にかけて、前線に入る事になった。
あるアイテムを握りしめながら……。
最後までお読みいただきありがとうございます。
ブックマーク&評価をお待ちしております!
評価はページの下にある【☆☆☆☆☆】をタップして頂ければ幸いです。
『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な感想で構いません。
ブックマークもしていただければ、とても嬉しく思います!
是非ともよろしくお願いします!最後までお読みいただきありがとうございます。
面白いエピソードを投稿できるように頑張っていきます!




