表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

112/368

第101話 ダンジョン攻略⑤

ダンジョン攻略中です!

ギルドマスターであるカルヴァリオさんのお願いでベトカルブと言う街に赴いてダンジョン攻略に臨んでいる。

その途中で三度目、大量のモンスター達が構える部屋へと入り、Aランクパーティーの【ノーブルウィング】が参戦し、その実力の一部を垣間見る事になった。


数十分の休息を取って再び歩き出す俺達。

クルスやラルフさんによる【トラップ解除】スキルのお陰で、トラップで憂き目に遭うような事態に直面する事無く進んでいる。


「にしても凄い『シーフ』を抱えているな。お宅のギルド」

「ラルフはとても優秀なので……。彼にはダンジョンを始めとするトラップが待ち構えるクエストや状況ではよく助けられているの」

「ウチのクルスだって有能ですよ。俺達にとって無くてはならないメンバーです……」

(そうだ……。クルスがいなかったら……。今頃俺は……)


ガイキさんがクルスやラルフさんを褒めていると、俺はふと闇ギルドの一件を思い返した。

【アテナズスピリッツ】のCランク冒険者であった今は亡きドキュノと言う男は彼が率いていたパーティーにクルスは身を置いていた時期があった。

些細な理由で追放されて途方に暮れていたところを俺が【トラストフォース】に迎え入れた。

闇ギルドの調査でイントミスの離れの町で、ドキュノは敵に嵌められて魔改造されて暴走してしまう事件が起きた。

俺はドキュノとの死闘の中で、クルスは危険を冒してまで俺の援護をしてくれたお陰で、勝って生き延びる事ができた。

クルスは俺の事を恩人と思っているが、俺にとってもクルスは命の恩人だ。

今では同じパーティーの男同士って事もあって、二人きりの時はよく本音で話し合う仲になっている。


「いいか?トラップはまず感知した段階でどんな仕組みであるかを理解して……」

「なるほど?仕組みから……」


俺の前には、【ノーブルウィング】のAランク冒険者の『シーフ』であるラルフさんからトラップに関係する事柄について教授してもらっているクルスがいる。

程よい距離感なのか、ラルフさんもクルスの熱意を感じているのか、少し厳しい口調ながら実戦形式でしっかり教えている。

同じ『シーフ』であるクルスから見れば、ベテランの冒険者であるラルフさんからノウハウを教わる事は滅多に来ない機会であり、成長の糧となるだろう。

そう思いながら歩いていると……。


「でかい扉ですね……」

「俺らより前に挑んだパーティー連中から聞いていた通りの形だな……」

「と言う事は、これが……」

「あぁ……。間違いねぇ……」



「このダンジョンの最奥だ」



俺達の目の前には、扉があった。

それもただの石造りの扉ではなく、縦にも横にも10メートルはあろう大きさにその中央には荘厳ながらどこか禍々しさを感じさせる模様があった。

ガイキさんの話から間違いなく、今いるこの場は、俺達が挑んでいるダンジョンの最奥だ。

何よりここに来た目的は、この巨大な扉の先にあるアイテムを取って来るためであり、そのために重要となる人物を護衛しながら到達するのが大前提の条件だ。


「エレーナ……」

「はい……」


俺はエレーナに声を掛けると、彼女は既に腹を括ったような顔つきをしながら扉の前へと歩を進めている。

心の準備は既に整っているのは見て分かった。


「エレーナの嬢ちゃん。俺らのギルドでダンジョン攻略をした連中と鑑定解析班から聞いた話だと、この扉には【黒魔術】のような類の瘴気が含まれているのが判明したんだ。だから威力が強いだけの攻撃をいくら撃ち込んでも効果が無いんだ。恥ずかしい話にはなっちまうが、どうかよろしくお願いします!」

「分かりました!お任せ下さい!」


ガイキさんは申し訳なさそうにエレーナに頼み込むが、彼女は快諾してくれた。

そしてエレーナが扉の前に立ち、杖を前にかざす。

エレーナは集中して魔力を練り上げていき、黄金色が混じったような白いオーラを足元から滲み出しながら構える。

そして……。


「【聖属性魔法LV.2】『ライトオブホーリー』!」


エレーナの杖から辺りを包まんばかりの神々しい輝きを扉に浴びせていく。


ゴゴゴゴゴゴゴッ!

「やったか?」

「?!」


扉が動く音がして、成功を確信するが……。


「な、なんだと……?」

「扉が……。開かない……」


しかし、扉は開きもしなかった。

【聖属性魔法】が有効なのは実証できたが、足止めを喰らったような状況になった。

エレーナも歯噛みしている表情だ。


「そんな……。せっかくここまで来たってのに……」

「【聖属性魔法LV.2】による攻撃でも壊し切れないなんて……」

「クソ……」


ガイキさんら【飢狼団】は途方に暮れたような悲壮感を漂わせていた。

ダンジョン攻略のためにガイキさんらの前に【アンビシャノブアレス】の名うてで知られるパーティー数組が挑んだものの、最奥まで向かう道中で大怪我してしまい、【聖属性魔法】が必要と分かり、そのためにエレーナを守りながら進んで来た。

だからこそ、果たさんばかりの想いで挑んだ彼らの屈辱と悔しさは計り知れなかった。

そんな時だった……。


「トーマ!今度はあなたがエレーナに力を貸して!ルエミもフォローを!」

「「「え……?」」」


ウルミナさんの突然の発声に驚きを隠せなかったけど……。

俺はふと思い、「そう言う事か」……って悟った。


「分かりました!やります!エレーナ!」

「はい!存じ上げました!」

「ッ!」


俺はエレーナの近くに寄り、ルエミさんも【付与魔法】を出す準備を整えている。

意図に気付いたような表情をしたエレーナは再び杖を前にかざす。


「やるぞ!【ソードオブシンクロ】!」

「【付与魔法LV.3】『エンチャント・セインティア』」


俺は自分の味方を強化するユニークスキル【ソードオブシンクロ】を、ルエミさんは【聖属性魔法】を大幅に強化する【付与魔法】をエレーナにかけた。

するとエレーナの身体は一発目に放った時よりも遥かに激しく眩い光に包まれている。

そして意を決して……。


「【聖属性魔法LV.2】『ライトオブホーリー』!」


魔力に包まれたエレーナと杖から広がるように発せられた光線は凄まじくも美しく神々しかった。

するとどうだろうか……。


ゴゴゴゴゴゴゴッ……。

「!?」


腕で目を覆っているせいで見えないが、扉が開くような音がしており、その大きさやスピードも明らかに一発目よりも大きかった。

そして、光が徐々に収まって視界がハッキリしてきた。


「「「「「「「「オオオオーー!」」」」」」」」


最奥に繋がる大きな扉は見事に開いていた。

その結果に思わず俺達は歓喜の声を上げた。


「良くやったな!エレーナ!」

「見事だったわ!」

「ありがとうございます。お二人の協力のお陰です……」


エレーナは少し疲れた顔をしているが、俺とルエミさんに労われたのが嬉しいのか、笑顔も零れている。


「ウルミナさん……。さっきの指示ってもしかしますと……」

「もしかしたらと思ったけど、その通りになってくれて良かったわ。【聖属性魔法】が必須なのは確かでも、威力が足りていないってね……」

「それでトーマさんとルエミさんにサポートをお願いしたって事なんですね」

「そう言う事になるわね!」


ウルミナさんの仮説と実際の結果を照らし合わせた俺とエレーナは納得した表情を見せた。

それにしても、ここまで来るのに【聖属性魔法】が必要であっても、肝心の威力が足りていない事に気が付けたのは幸運だった。

エレーナが最奥まで辿り着けたとしても、彼女だけでは攻略できなかった。

仲間との協力や連携が必要で試された気がしなくはないが、何にしても扉をこじ開ける形で突破できてよかった。


「ウルミナさん。扉が開いたのは良しと思ってますけど……」

「分かってる。少し休憩を挟みましょう。ラルフ」

「この先に目的のモノはあると思われますが、ヤバそうなモンスターが一体だけいますね。入らない限り襲ってくる事はないでしょう……」

「よし!各自準備を整えてから中に入る事にしよう!」


ウルミナさんとガイキさんの考えで一旦の休憩を挟む事が決定し、俺達は身体を休める事になった。

最後までお読みいただきありがとうございます。


ブックマーク&評価をお待ちしております!


評価はページの下にある【☆☆☆☆☆】をタップして頂ければ幸いです。


『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な感想で構いません。


ブックマークもしていただければ、とても嬉しく思います!


是非ともよろしくお願いします!最後までお読みいただきありがとうございます。


面白いエピソードを投稿できるように頑張っていきます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ