SS 8話 探索前夜の部屋で 女性メンバー編
ダンジョン攻略に出向く前夜のお部屋で談議のお話です!
今回はその女性メンバー編です!
ベカトルブに赴いた宿で部屋を3つ借りている内の一部屋
「ジーナさん達【ノーブルウィング】ってダンジョンに潜った経験が数回あるのですね!」
「えぇ!ビュレガンセだけじゃなく、隣国のダンジョンも潜った事があるよ!」
「やっぱりダンジョン攻略って厳しいですか?」
「そうね~。規模や中身にもよりけりって感じかな~?」
セリカとミレイユはジーナさんからダンジョンに関係する談議を聞いている。
ジーナさんの希望で、後輩の女性冒険者であるセリカとミレイユとお話してみたいとの理由で同じ部屋にしてもらったのだ。
三人共既にお風呂上がりなのか、ゆったりとした格好で楽しそうに話をしている。
「まぁ、Bランクは機会があるだろうけど、Cランクの場合だと中々ないんだよね~。ダンジョン攻略は……。基本的に4~5人のパーティー数組で挑むのがほぼ前提って言うのもあるけど、レア度がごちゃまぜのモンスターも出てくるからね」
「確か、ウィーネスさん達【ブリリアントロード】もダンジョン攻略の時は自分達のパーティーだけでなく、他のパーティー数組と行った事があるって話していたのを覚えています」
「ウィーネス?あぁ……。ウチのギルド内でもトップレベルの女戦士よね……」
ダンジョンについてのさわりを聞いている中、セリカがウィーネスさんの名前を出した時、ジーナさんは何か思い出したような表情を見せていた。
「ウィーネスさんの事をご存知で……」
「えぇ!ウチのギルドのCランク以下の女性冒険者で彼女を慕っていない者はいないくらいに憧れている人も多いし、Aランク冒険者だって夢じゃないわ!勿論、他のメンバーもね!」
「凄い!流石はウィーネスさんだ……」
(あっ!またウィーネスさんへのリスペクト精神が増大したわね)
ジーナさんからウィーネスさんがAランク冒険者からも目に掛けられているほどに優れた人物かを聞いたセリカは目を輝かせ、ミレイユはその様子を達観したように見ている。
「そうそう!本当に実力もバイタリティも凄くってね……。個人的に凄くて思わず一目置きそうになった子ってね……」
「そうですよね!私もそう思います……」
「それを言うならウィーネスさんと同じパーティーのリエナさんや【ディープストライク】のニコラスさんだって……」
それからはセリカとミレイユ、ジーナさんによる同じギルドの冒険者談議で盛り上がった。
気付けば、夜が更けようとする時だった……。
「もう夜が更けかけるけど、アタシから伝えたい事があるのよ。まぁ、明日の事が中心になるんだけど……」
「「え?」」
それからセリカとミレイユはジーナさんと明日に備えての話を聞く事になった。
一方——————
「ふ~~~」
「湯加減はどうかしら?」
「絶妙です!」
【アンビシャノブアレス】でやってもらった決起集会の酔い覚めと身体を清めるため、エレーナはリラックスしたような声を出しながらシャワーを浴びている。
ウルミナさんとルエミさんは冒険用の衣装を脱いで装備品の保守やアイテムの整理など、明日に備えての準備をしている。
マントやローブのお陰で分かりにくかったが、ウルミナさんとルエミさんはモデルのようにスタイル抜群だ。
風呂上りなのか、ウルミナさんは薄紫色の、ルエミさんはベージュ色の柔らかな素材をしたガウンに身を包んでおり、高級感すら感じさせた。
しばらくして……。
「ウルミナさん、ルエミさん!上がりました!」
「出たのね……。あら、エレーナが着ているのって私らが使っているのと同じ……」
「はい……。着心地が良いので気に入っています!」
「分かるわ~」
風呂のドアから出てきたエレーナはウルミナさんとルエミさんが着ているタイプと同じ寝間着姿だが、こちらは薄いピンク色だ。
寝間着って個性出るな~。
「エレーナ。あなたの杖や装備品に少し触れてみたけど、日頃から丁寧に手入れしているのが分かるわ。自分でやっているの?」
「自分でやっていますよ!」
(やっぱり良い子だわ~この子……)
エレーナは貴族令嬢だけど、確かな自立心とバランス感覚を備えた良く出来た女性だ。
そんな姿を見たルエミさんは我が子の成長を喜ぶような表情だ。
それから3人共部屋の椅子に腰をかけてゆったりしている。
エレーナはもちろんだが、心なしか、ウルミナさんとルエミさんも品の良い振る舞いだ。
「エレーナ……。どう?トーマさん達は……。先日あなた達【トラストフォース】の連携を見させてもらったけど、あなたのフォローを含めてよくできていると思うわ……」
「本当ですか?それは何よりです!」
「私は直接見ていないけど、ウルミナがそこまで言うなら間違いないって思うわ。できる事なら私も見てみたかったな……。何で私じゃなくてランディーを連れていったの?」
「それは……。思い付きかな?」
「何よそれ~?」
「うふふふふふ」
ウルミナの質問と感想を皮切りにした話はそれなりに盛り上がっていた。
ルエミさんも本心では自らが指南したエレーナの闘いぶりを見てみたかったらしいものの、その機会が潰れてしまった事に少し不満気ではあるが、その表情に負の気持ちはなかった。
ダンジョンで見る機会があると思って割り切っているのだろう。
「ウルミナさん達から見て、トーマさん達はどう見えましたか?」
「そうね……。トーマにセリカ、ミレイユにクルスの4人はまだまだ伸びていきそうなポテンシャルを感じるわね。チームでかかればランク以上かも……」
「まぁ、『付与術士』のギフトや味方を強化するスキルがあっての話でしょうけど……」
「わたくしは【付与魔法】や【支援魔法】によるサポートや【回復魔法】による怪我の治癒、【聖属性魔法】による中遠距離攻撃が役目ですから……」
((それ。凄い事だよ~))
ウルミナさんは感想を述べ、ルエミさんは話を聞く限りで冷静に分析していた。
ルエミさんも『付与術士』のため、役目や立ち回りはエレーナとほぼそっくりであり、いくらかイメージできているのだろう。
「同じ『付与術士』でも、ルエミとエレーナはタイプが違うのよね……」
「そうね……。エレーナは味方の強化にウエイトが寄っているけど、私は敵の行動を妨害する要素の技も扱えるから……」
「味方の強化に比重が大きいのは、【聖属性魔法】を身に付けられた事による恩恵とも見て取れるわね……」
「そうかもしれませんね……」
ウルミナさんとルエミさんはこれまで見聞きした、それこそ、エレーナを修行のために預かった頃から思い返している。
エレーナへの主な指南役をルエミさんが担い、ウルミナさんを中心に彼女を守りつつ、冒険者としての経験を積ませる手伝いをしながら、心構えを説いてきた。
それはAランクパーティーとして本物の実力や実績を持ち、エレーナと同じギフトを持つウルミナさん率いる【ノーブルウィング】以外ではかなり難しい事だった。
「様々な事をご教授頂けたのは今でも感謝しております。お陰で経験を積めただけでなく、広い世界を見る事も叶いましたから……」
「そう言ってもらえると指南役を引き受けた甲斐があったわ……」
「預かった3年はプレッシャーものだったけど、エレーナの糧になれているならば、その役目を引き受けて良かったと今でも思うわ……」
「ウルミナさん……。ルエミさん……。また機会があれば、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします!」
「えぇ……。私達で良ければね……」
エレーナはウルミナさんとルエミさんに感謝の気持ちと向上心を持って努力していく姿勢を改めて見せた。
それを垣間見た二人の表情は、教え子から恩師へ喜ばしい気持ちを伝えられて感無量とも言えそうなモノだった。
「明日も早い事だし、もう寝るとしましょう!」
「そうね……」
「分かりました!」
こうしてウルミナさん達はダンジョン攻略に備え、睡眠を取る事になった。
そして、他のメンバーもそれに備えていった……。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回はダンジョン攻略に出向く前夜のお部屋で談議のお話であり、次は女性メンバー編です!
ブックマーク&評価をお待ちしております!
評価はページの下にある【☆☆☆☆☆】をタップして頂ければ幸いです。
『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な感想で構いません。
ブックマークもしていただければ、とても嬉しく思います!
是非ともよろしくお願いします!最後までお読みいただきありがとうございます。
面白いエピソードを投稿できるように頑張っていきます!




