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第96話 探索前夜

ダンジョン攻略の前夜祭のようなイベントです!

ギルドマスターであるカルヴァリオさんのお願いでベトカルブと言う街に赴いて欲しいと言うクエストを受ける流れになった。

Aランクパーティーの【ノーブルウィング】とベカトルブへ赴いて到着した。


「「「「「……」」」」」

(何だ?この雰囲気……?)

(一斉に私達を見ている……?)

(ちょっとちょっと。安心して良かったんじゃなかったの?)

(殺気こそ感じないが、どういう状況だ……?)

「……」


俺とセリカ、ミレイユは向けられている視線に対し身構え、クルスは冷静に状況を見渡しているのに対し、エレーナとウルミナさんら【ノーブルウィング】勢は動じていない。

そして一人のガタイのいい男性の冒険者が歩み寄って来た。

沈黙が数刻続いた後……。


「お待ちしていました!【アテナズスピリッツ】から派遣された冒険者の皆さん!」

「「「「「お待ちしていました!」」」」」

「「「「え?」」」」


静寂な空間を切り裂かんばかりの声を一人の男性が張り上げると、それから多くの冒険者達が立ち上がって続く。

俺達はポカンとなった。


「他の冒険者ギルドとの協力クエストに挑む時はこんな風に歓迎されるのよ!」

「騒がしい人達は多いですけどね……」

「そ、そうだったんですね……」

(何だよ紛らわしい。でも悪い事じゃなくて良かった~)


ウルミナさんとルエミさんが「歓迎してくれているんですよ」と裏に秘めた補足事項のような説明を受けて、俺達はホッとした。

沈黙があったのは、高名な冒険者パーティーとして通っているウルミナさん達や伯爵令嬢であるエレーナを前に緊張していただけだろうとも言ってくれた。

飲食スペースを見やると、そこにはギルド飯の定番であるエールや唐揚げを筆頭に沢山の肉料理や他のお酒が置いてあり、中には高そうな料理も少しだけだがあった。


「おう!来たか!」

「ヴァラガンさん!」

「明日はダンジョンを本当の意味で攻略しに行くんだ!今日はお前さんらを交えての決起集会のようなもんだ!驚かしたみたいですまなかったな!」


奥から陽気な振る舞いをしながら現れたのは、【アンビシャノブアレス】のギルドマスターであり、協力を申し出たヴァラガンさんだ。

明日のダンジョン攻略に向けて気合を注入してやりたいと自らが主催してこの集会を開き、今集められるだけの冒険者達を集めたとの事だ。

ギルドと言いこの集会と言い、やる事が豪快だな……。


「さあさあ、主役の皆様はこちらへ……」

「え。あ、はい……」


男性の冒険者に促されるまま、俺達はヴァラガンさんと共に奥の広めのスペースに案内された。


「後、紹介してやる。明日同行してくれるウチのAランクパーティー【餓狼団】の4人だ!」


ヴァラガンさんが手を向けた方向に視線をやると、そこには逞しそうな男性が3人と女性が一人おり、いずれも冒険者ランクはAとの事だ。

一人の男性が俺達の目の前に歩いて来た。


「初めましてだな。【餓狼団】のリーダーを張っているガイキ・サイラックだ。明日はよろしく頼むぜ!」

「こちらこそよろしくお願いします!」

【餓狼団】のリーダー的存在であるガイキさんは『重戦士』だ。

深緑色の短髪をした剛毅さの中に精悍さを備えたような顔立ちをしており、如何にも屈強な肉体自慢と思わせるような体躯をしている。

纏う鎧も動きやすさをベースに王国の騎士を彷彿とさせ、背負っているウォーハンマーが迫力を増幅させている。


「彼らが俺と同じメンバーだ!」

「俺はジニックだ!仲良くしようぜ!」

「アタシはサリナよ!よろしく!」

「俺はゴージだ!」

「初めまして」


俺達も自己紹介を終えた。

茶色のミドルヘアに野蛮ながらもどこか爽やかそうな印象を与えるジニックさんは『剣士』であり、パーティーの切り込み隊長のような存在だ。

赤髪の無造作ヘアとピアスをしたアクティブな印象を与えるサリナさんは『アーチャー』であり、中遠距離攻撃によるサポートを担う事もあれば、トドメを担う事もある。

風貌に反して、パーティー内におけるムードメーカーにして頭脳派との話だ。

緑色のツーブロックヘアとガタイの良い体格をしているゴージさんは『重戦士』であり、大きめな盾を活かした主な防御担当の役割を担っている。

如何にもガードが堅そうな鎧に身を包んでおり、何が起きるか分からないダンジョン攻略においては要となる存在だ。


「いや~、嬉しい限りですぜ!あの【ノーブルウィング】の皆様とダンジョン攻略に挑めるなんて……」

「あら、それは本当……?」

「当然!」


ガイキさんはウルミナさん達と仕事ができる事を嬉しく思っているそうだ。

ウルミナさんら【ノーブルウィング】はAランクパーティーであり、国内でもその名を轟かしているだけでなく、近隣の国にも知れ渡っているほどだ。

加えてあの美貌ならば、広告塔の役割すら果たしているかもしれないほどだからな……。

ルエミさんも美人だし、ジーナさんは顔立ちが美しいわけじゃないが愛嬌を感じさせる印象だからね……。

挨拶もそこそこにヴァラガンさんが中心に立った。


「明日はベカトルブ近辺で発見されたダンジョン攻略に我らから【餓狼団】、協力してもらえる【ノーブルウィング】と【トラストフォース】が挑戦する事になった!攻略に臨む冒険者達を盛大に送り出したいと思っている!!」


ヴァラガンさんがギルドの食事スペース内で声を張り上げる。


「それでは、ダンジョン攻略に臨む者達への成功を願い……。乾杯~!」

「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」


そして宴席を兼ねた決起集会が開かれた。

それからは冒険者達がエールを片手にワイワイと騒ぎ盛り上がっている。

【ノーブルウィング】や【餓狼団】を筆頭に冒険者達の談議が交わされているが、ウルミナさんとルエミさんはスマートに対応、ジーナさんは土俵に乗っかってやるかのように意気揚々と相手をし、ランディーさんとラルフさんは淡々としていた。

ガイキさん達はいつもの事のように陽気な笑い声を交えながらトークを交わしていた。


(本当に信頼されているんだな~。Aランク冒険者って……)


冒険者ランクがBでも、冒険者の間はもちろん、貴族や国家の要人が信用していいと思える一つのアピールポイントになるのだから、Aランクともなれば尚の事だ。

少なくとも冒険者が絡んでくる事柄であれば、そのブランドと言う名の信頼度は非常に大きいモノであるのは想像に難くない。

そして、そこまで辿り着くまでの道のりも、正に修羅の道と言っても過言ではないほどだ。


「おう!お前がトーマか?明日はよろしくな!」

「え?ガイキさん?」

(酔ってんのか……?)

「聞いているぜ!お前らCランクパーティーだけど、【アテナズスピリッツ】のギルド内でも一目置かれてるってな!」

「は、はぁあ……」


始まる前と違い、お酒が回りながらも随分とフレンドリーな様子のガイキさんに肩を回されて若干困惑気味だ。


「かのハイレンド伯爵家の子女が冒険者として本格始動したって聞いて、どんなパーティーに入るのかって興味あったけど、お前らのパーティーとはなぁ……。そう言えばここに来る道中で“ギガヴォルグ”二体と交戦して倒したんだってなぁ!」

「パーティーメンバー達のお陰ですよ……」


俺はガイキさん達との会話に華を咲かせていた。

セリカやミレイユ、クルスも【アンビシャノブアレス】の冒険者達と交流を深めており、その中でもエレーナは引っ張りだこだ。

やはり国内でも有名な伯爵貴族のご令嬢が来たともなれば、お近づきになろうとする者も沢山いたが、エレーナは軽やかかつ丁寧に対応している。

人付き合いが上手いと改めて感心する俺だった。


「「ウォオオオオ!」」

「ゴージ!そこだ!」

「ジニック!根性見せろ!」

「また力を付けたんだろうが、今回も勝って3連勝目をしてやるぜ!ジニック!」

「この間のリベンジは果たさせてもらうぜ!ゴージ!」


宴もたけなわなところで【餓狼団】のジニックさんとゴージさんが腕相撲をしていたり、セリカとミレイユはサリナさんとガールズトークで盛り上がっている。

この様子だと、明日は気力も体力も充実して臨めると確信した。

したのだが……。


「皆さん!明日はよろしく頼みますぜ!」

「えぇ!お願いします……」

「一緒に攻略してやろうぜ!」

「「「「「頑張れよ!お前ら!」」」」」

「あ、ありがとうございます……」


宴会を兼ねた決起集会も終わり、宿屋に戻ろうとする俺達だったが、俺達は笑顔を取り繕っていたが、実際は飲み過ぎた。

ウルミナさんらは平気そうだが、俺はいつになく酔った。

ミレイユはジーナさんに担がれており、セリカもエレーナに背中を擦られながら歩き、クルスは俺と肩を組みながら何とか進んでいる状態だ。

【アンビシャノブアレス】の冒険者達って、かなりアバウトと言うか、武骨だな……。


「やっべ~。これ早く寝ないと明日に響きそうだ……」

「モチベーションはありますけど、体調が……」

「ほら」

「ん?これは……?」

「二日酔いに良く効く丸薬だ。部屋に戻ったら水と一緒に飲め」

「そして早く寝て明日に備えるようにな……」

「「ありがとうございます……」」


宿屋の近くまで来ると、ランディーさんとラルフさんから二日酔いに聞くお薬をもらった。

二人共、クールな印象は強いけど、面倒見が良いな……。

そして、心強さも感じた。


「今日は明日に備えて、できる限りの準備をするように!集合時刻はここのロビーで朝9時よ!」

「「「「「ハイ!」」」」」


ウルミナさんがそう言ってそれぞれが泊まる部屋に戻って行った。

にしてもウルミナさんも結構飲むんだなと思いもしたが、今は明日の備えと寝る事で頭がいっぱいだ……。

俺はクルスとランディーさん、ラルフさんの男4名の部屋に入った。

お風呂とシャワーは先にランディーさんとラルフさんが入り、俺とクルスは先ほどもらった丸薬を水と一緒に飲んで服用した。


「お!何か効いてきたかも……」

「本当だ。さっきよりも少しだけスーッとしてきた……」


心なしか、酒をガンガン飲まされた時よりも落ち着いてきた。


「見た目は少しキツそうだけど、ランディーさんとラルフさん、良い人達だよな……」

「そうですね……。色々と気に掛けてくれますし……」

「明日のダンジョン攻略……。やってやるって気持ちになってきたよ……」

「僕もです!」


ウルミナさん率いる【ノーブルウィング】のメンバーが想像以上の人格者ばかりで俺はホッとした。

そう思いながら各自、できるだけの準備を進めていき、休息を取った……。



翌日、俺は異世界に来て初めて、ダンジョン攻略に臨む事になった。


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