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第93話 賞賛と特急馬車について

最近暑い気候の中で、熱い戦いのその後のお話がメインです!

ギルドマスターであるカルヴァリオさんのお願いでベトカルブと言う街に赴いて欲しいと言うクエストを受ける流れになった。

Aランクパーティーの【ノーブルウィング】と顔合わせと打ち合わせを終えた俺達は翌日に目的地へ向かう道中、”ギガヴォルグ”二体と遭遇し、これを退けた。



パンパンパンパンパン……。

「いざと言う時には援護しようかって思ったけど、凄いじゃない!」

「え?」


拍手しながら寄ってくるウルミナさんと、黙って着いてくるランディーさんがいた。


「5人編成のCランクパーティーが“ギガヴォルグ”二体を相手取るのは大丈夫かと思っていたけど、後に引かない程度の軽傷で済ませるなんて凄いじゃない!ねぇランディー!?」

「はい。個々の実力はもちろん高いですが、一心同体のように連携が取れているのもポイントが高いですね」

(俺のユニークスキルについて教えないままでいるのも何か悪いな……。ここは……)

「皆、ちょっと!」

「「!?」」


Aランクパーティーの名を冠するウルミナさんが素直に誉めている様子を見て、俺達は困惑を覚えながらも勝てた経緯を伏せたままでいるのは悪い気もしたので、セリカ達に「話がある」と言った旨の目線を送って集まった。

それからは俺が【ソードオブシンクロ】と言う全体強化のようなスキルを使って乗り切った旨をウルミナさん達に報告しようかと相談していた。


「トーマさん!どうかしました!」

「それが、あの……」


セリカ達に相談しようとした正にその場で……。


「何か集まっているけど、トーマが持つユニークスキルの【ソードオブハート】もしくは【ソードオブシンクロ】の事かしら?」

「「「「「!?」」」」」


背後からウルミナさんが今俺にとってデリケートな核心を突くような言葉が飛んで来た。

色々と覚悟をしていたが……。


「凄いじゃない!カルヴァリオさんから聞いていたけど、間近で見ると凄いユニークスキルよ!」

「え?」


ウルミナさんは懸念とは裏腹の感嘆したような様相をしながら近づいてきた。


「二回目に突っ込む時に明らかに魔力の質が変わっているのを感じ取れたわ!そこからはほとんどアイコンタクトのみで連携を取っているように見えたから、【ソードオブシンクロ】を使ったのかなって思ったのよ……」

「はい……。ただ、使い過ぎると体力や精神力の消耗が激しいので何分も使っていられないんですよ。見ての通り……」

「トーマさんが【ソードオブハート】を必要以上に使ってしまった時は五日間も寝込んでしまった事がございまして……」

「なるほど……。体力の激しい消耗に精神を破壊しかねないリスクと引き換えによるパワーアップってところかしらね……」

「……」


ウルミナさんの指摘に俺は答えて説明し、クルスが補足すると、彼女は得心がいったように頷き、ランディーさんは黙って聞いていた。


「それでしたら……。【回復魔法LV.2】『ワイドヒール』!」


エレーナが俺達に駆け寄ると、【回復魔法LV.2】『ワイドヒール』をかけ、傷もほとんど治っていき、心なしか気分も軽くなったような気がした。


「ありがとうエレーナ!助かったよ!」

「お安い御用です!」


俺がエレーナにお礼を言うと、彼女は「当然の事をしたまでです」と示すような表情で応えてくれた。


「【ソードオブハート】や【ソードオブシンクロ】を使い過ぎたトーマさんが五日間も意識不明になった時、セリカったら号泣していましたからね!」

「ちょっとミレイユ!それ言わないで!」

「まあまあ……」

「お二人共お止めください!」


ミレイユが悪戯っぽく補足事項を伝えると、セリカは少し憤慨しており、クルスとエレーナが二人を宥めている。


「うふふふ……。何にしても……」

「「「「「!?」」」」」


俺達の側でウルミナさんは微笑んでおり、その笑い声が聞こえた俺達はその方角に目を向ける。


「素晴らしいチームね!【トラストフォース】!エレーナの入ったパーティーがトーマ達のところで良かったって思うわ!少なくとも私わね……」

「「「「……」」」」


ウルミナさんは合点がいってスッとしたような表情をしていた。


「それでも、まだ粗いところはあるけどね!」

「そうですか……」


そしてお茶目な仕草をしていた。

ウルミナさんって普段は大人な女性って感じがするけど、意外と表情豊かなんだなと改めて思う俺だった。

俺達が馬車へと戻る頃には日が沈みかかっており、再度走らせた頃には何とか森を抜ける事ができた。


「もしかして、特急馬車を使用するとこう言う事が起きる確率が高いのでしょうか?」

「普通の馬車で通るには危険な道を最短距離で突っ切っていきますので、モンスターと遭遇する確率の高さもあるんですよ。いつも使う馬車は安全性が確かなルートを通っていきますから……」


俺は客室でセリカから言われた事と、乗る前にウルミナさんが行者から任されるようなセリフを伝えられた事やランディーさんが「実力に自信があれば……」の言葉を照らし合わせて納得できた。

思い返せば走り出してしばらくしたら物騒さを感じさせる森林を通っており、モンスターと遭遇した事実から、ウルミナさんの行いやランディーさんの言葉の意味がはっきりと理解するに至った。


「なるほど、ウルミナさんが事前に行者とやり取りしていたのはモンスターが出てきたら守って欲しいって意味だったんですね……」

「そうよ!モンスターに襲われるリスクがある森林を突っ切るんだから、普通の馬車で同じ事をしたら非常に危険なの。だから冒険者向けの高速馬車と言われているのよ」

「それに、目的地が遠くであればあるほど、先程のようなモンスターが出る確率の高い森林に何回か入る事になりますので、それに比例して使うリスクも高いんですよ……」


ウルミナさんとルエミさんの説明に改めて特急馬車を使って目的地に向かう事の意味を受け入れる事ができた。

異世界に来た段階から特急馬車がある事自体はセリカから聞いていたが、普通の馬車より値段が張るのとクエストで赴く際はベカトルブほど遠いところに行く機会がなかったため、

目的地に早く付くための手段くらいとしか思っていなかったが、モンスターと遭遇する確率があるかないかの要素をここで知る事になった。

逆を言えば、ギルド内でもトップレベルのパーティーの庇護下でそれを知れたのは本当に良かったとも言える。


「ランディーさんの言う通り、資金と実力に余力ができたら使おうと思います」

「それがいいと思うぞ」


俺の言葉にランディーさんはビシッと言い切っていた。


「お!見えたわよ!あの馬小屋みたいなのがチェックポイントよ!」

「あ、本当だ!」


ジーナさんが指を差した方角にはそこそこ大きな馬小屋がある。

そこには“メガロホース”にも負けないくらいに大きく強そうな馬が何頭かいる。


「あそこでティリル発の馬車を預けて近くの町で宿を取る事になっている。降りる準備をしておけ」

「町に着いたら何食べよう?」


ランディーさんに促される形で俺達は降りる準備を整える。

ジーナさんは近くの町での食事を楽しみにしている様子だ。

確かにモンスターと遭遇して戦闘に発展したから少しお腹が空いている。


「じゃあ明日。ベカトルブに向けで!」

「あいよ!」


俺達は馬車を降りた後、手続きを済ませて近くの町に向かった。


「ここで今日は食事と宿泊をするわ」

「おー。中々風情がありますね~」


訪れた町の規模はティリルに遠く及ばないが、かと言って小さすぎるわけでもなければ寂れている様相はなく、むしろ少なからず賑わっている。

住宅を中心に飲食店やアイテムショップも数件ずつは目に付いており、八百屋や屋台もある辺り、至って普通の町と言った感じだ。

ウルミナさんら【ノーブルウィング】の皆様は、エレーナに修行を付けていた時に数度立ち寄った事があると言っていただけに、慣れた様子で宿屋に辿り着く。


「9名様で3人部屋3つを一泊、受け付けました」

「ありがとうございます。皆、荷物とか置いたら食事にしましょう!」

「「「「「ハイ!」」」」」


3部屋取って宿泊する事が決まり、俺はクルスとランディーさん、セリカはミレイユとエレーナ、ウルミナさんはルエニさんとジーナさんとなった。

部屋もシングルベッド3つにテーブルと椅子にシャワー付きと至ってシンプルだ。


「ランディーさん達はこの町に詳しいんですね……」

「あぁ。ベカトルブだけじゃなく、この近辺はクエストの為に赴いた事が何回かあってな……。クエストで数日滞在する際は、こう言う町の宿屋とかは事前に抑えておいた方がいいぞ。一時的な拠点を持つのも大事だからな」

「分かりました。心得ます……」


荷解きをしている中、ランディーさんは為になる知恵袋のようなアドバイスをしてくれた。

普段はクールで淡々としている印象が強いけど、“ギガヴォルグ”の討伐の時に俺達が危なそうな時は援護に入ろうとしたり役に立つ情報を教えてあげたりと、面倒見の良い人なのが何となく分かってきた。

それからしてロビーへと向かった。


「おぉー!待ってたよ!」

「すみません。遅れました」

「いやいや、待ってないよ~。じゃあ行こうか!」


そこにはセリカ達とウルミナさん達が既に来ており、全員集合したのを確認してから宿屋を出て行きつけの酒場へと向かった。


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