僕の彼女はブラックホール
ヨッシーのショートshort「僕の彼女はブラックホール」
僕の彼女はブラックホール。
いつも隣にいてくれる。
食事も一緒、ベッドも一緒、
片時も離れたことがない。
僕が、
「あーん」と食事をあげると、
「あーん」と食べてくれる。
「よく噛んで食べてね」
僕はいつも伝える。
でも、彼女はせっかちだ、食べるのが超早い。
たまに、家事もやってくれる。
とくに掃除が得意だ。
ブゥ〜ン
掃除機をかける。
あれ、部屋の角まで掃除機がとどかないぞ、
どうしよう?
彼女は、大きく息を吸った!
すう〜っ
シューーーン
ホコリは、あっという間に彼女の顔に吸い込まれた。
きれい、きれい、
本当に彼女はきれい好きだ。
そんな彼女だが、
一つ気になることがある。
それは、トイレに行かないことだ。
付き合ってから、一度もトイレに行ったことがない。
とても心配している。
大丈夫だろうか?
薬を飲んだ方が、いいのだろうか?
病院へ行った方が、いいのだろうか?
悩んでしまう。
でも、彼女の体調はすこぶる元気。
健康そのものだ。
それだけが、幸いだ。
今日も彼女とデートする。
公園に子犬が歩いていた。
可愛いな、
「ほら、可愛い子犬だよ」
僕は子犬を抱きかかえ、彼女に見せた。
あっ、
子犬が、彼女の顔に吸い込まれた。
遥か、遥か、
遠く、遠く、
見えなくなった….
また、やってしまった。
失敗、失敗、
気をつけなくては、
私の彼女はブラックホール。
いつか、僕も吸い込まれる?




