ユウレイの幽霊部員
ヨッシーのショートshort「ユウレイの幽霊部員」
「昨日さー、ウチらの名簿見直してみたんだけど」
「この、幽太って誰?」
「幽太?」
「知らないなぁ〜」
「う〜ん、まったく記憶がない」
「入学式の勧誘の時、入った学生じゃないの?」
「そうだったら、この出席簿に記されているこのサインは誰が書いたんだよ?」
「どれどれ、」
「ホントだ、月一回出席したことになってる」
「おかしいな、これなんか昨日の日付じゃないか」
「こんな部員、来てないぞ」
「昨日は、瑛二と丈史と公子と俺、それしか部室に来なかったよ。確か期末レポートの提出期限で、皆んな忙しかったから」
「絶対、誰か他に居たら覚えてるよ」
「おかしい、」
「もしかして…幽霊とか」
「こういうのを、幽霊部員って言うんじゃない」
「ユウレイの幽霊部員?」
「ダジャレを言ってる場合かよ、ホントに知らない部員が入っていたら怖いじゃないか」
「しかし…」
「もしかして、」
「あっ!今日の出席簿にも、幽太って書いてあるぞ」
「誰だよ、ふざけて書いた奴は〜」
「……」
「……」
「誰も書いてないよ…」
「この書き方って…字が震えていて…カスれていて…幽霊っぽくない?」
「脅かすなよ、背筋がゾッとしたよ」
「今、君の後ろに立ってるよ〜〜」
「ええっ?!」
「おおー?!」
「何だよ〜ビックリさせるなよ〜」
「だって、ホントに丈史の後ろに人影が見えたんだよ」
「わわっ、」
誰もいない。
「そんなわけないじゃないか、まだ午後4時だよ。幽霊が出る時間じゃないよ」
「幽霊の出る時間なんて決まってるのかい?」
「だって普通、丑三つ時とか深夜だろう」
「でも、外国の幽霊は昼間に出た事もあったよ。YouTubeで見た」
「怖がらせるなよ〜」
「そのカーテンの後ろ、なんか膨らんでいない?」
「人が一人、隠れいるぐらい膨らんでいない?」
「ええっ、」
ユラッ〜〜〜
「おおっ?!」
「ああっ?!」
誰も居ない…
「やっぱり、考えすぎだよ」
「ビックリしたなー」
「今日は、もう帰ろうよ」
「うん、帰ろう」
「戸締り忘れずにな」
「はい、」
ガチャ、
部室の鍵が閉まる。
ユラッ〜
風もないのに、カーテンが揺れる……




