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悲劇

作者: 杉将

 あなたが心の支えですブラザーズのタナゴコロ仁が、芸能界引退を発表した。私はテレビでそれを見て、ゴコロさんが引退だって! と愛美に言ったんだけど、愛美は私を無視してマニキュアを塗っている。私は、きっとーずっとーあなたがつらいときぃーはー、と、あなたが心の支えですブラザーズの名曲、命の限り支えますを口ずさみながら、オシッコをした。

 ねぇ、かず子って彼氏いたことあんの? 私がオシッコを終えて部屋に戻ると、愛美がそう聞いてくる。あるよ、えーいつ? 愛美と知り合う前だよ、その話聞かせてよ、たいした話じゃないよどこにである話、それって本当の話? 疑ってるの? だってかず子が男の話してるの聞いたことないもん、私だって恋愛の一つや二つしてますって、嘘はいいよ。愛美はマニキュアを塗り終わった爪に、フーフーと息を吹きかけている。私はテレビの画面を見ていたけれど、ほとんど内容は入ってこなかった。タナゴコロ仁が涙をこらえている。ごめんごめん冗談じゃん、と愛美が言う。機嫌悪くなった? 悪くなってないよ、悪くなってるよ、なってないってば! 私はつい怒ってしまう。本当のこと言っただけじゃん、と愛美はつまらなそうに言った。

 愛美が帰った後、私は、あなたが心の支えですブラザーズの、瓦礫の下のヒキガエルを聴きながら、自慰をした。

 これがなかったら、俺はぴょんと飛べる、待ってるんだ、その時を。光はまだ途切れてない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 手触りのある描写と距離感 やっぱりSSっていいな
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