第九十二話 ライバル
一方、宇宙ステージでの戦闘開始からニ十分――雪菜対クリストファーは互角の戦いをしていた。
双方、射撃武器は使わず、近接武器を使用としての戦いである。
二人共、互いの技を知り尽くしている為に、天理神明流の技は出せないでいた。
「腕を上げたな⁉ クリス!」
≪そっちもな⁉ 雪菜!≫
【ゲイボルグ】(5)の攻撃を紙一重で躱す雪菜は、クリストファーに賛辞を贈り、クリストファーも雪菜を褒め称える。
だが、完全に膠着状態。
それを打破する為にクリストファーは、【ゲイボルグ】(5)に魔力を籠める。
≪いくぞ! 雪菜!≫
「こい! クリス!」
クリストファーは、【ゲイボルグ】(5)を突き出す。
それに対し、雪菜は水色の長剣(5)で受け止めようとして、破壊される。
「なっ⁉」
雪菜は己の神装が破壊された事に驚愕。それが隙となった。
二撃目で雪菜は、魔力値を50000程減らされる。
それに対し、立ち直った雪菜は水色の長剣(5)を再召喚。
そして、黒い長剣(5)に炎が纏わり付くイメージをする。
「炎装剣!」
そこへクリストファーが、隙を突いてくる。
≪貰った!≫
ガキッ!
何と黒い長剣(5)が、【ゲイボルグ】(5)を受け止めたのだ。
炎装剣――この特殊能力はA++。
威力こそ静江の『絶対切断』に劣るものの、EX能力を受け止める事が出来る特殊能力である。
そして空いた左手に持つ水色の長剣(5)で、クリストファーを雪菜は攻撃。
クリストファーは体を捻じって躱そうとするが、攻撃を喰らう。
魔力値を3000程持っていかれる。
≪なるほどな……雪菜。その黒い長剣は黒い炎が特殊能力で、水色の長剣は魔力を癒すんだな? 故に俺の一撃を受け止めきれない。そうだろ?≫
「ぐ⁉」
図星を指された雪菜は動揺する。
そこを見逃さないクリストファーではなかった。
【ゲイボルグ】(5)の連続攻撃を繰り出す。
雪菜は黒い長剣(5)で防御するが、捌き切れずに魔力を減らされた。
「く! 癒霊!」
雪菜は水色の長剣(5)を掲げるが、
≪させるかよ!≫
クリストファーの【ゲイボルグ】(5)によって破壊されたのだった。