第二十二話 転入生
事件が終わった三日後――朝のSHRに使主教官は教室内で、二年二組のクラス代表は俺に決定した事を告げた事により、女性陣はパチパチと拍手。
「何で雪菜の奴が……!」
「ふざけないでください……! 教官!」
「クラス代表決定戦は延期したじゃないですか⁉」
だが、男性陣からは大ブーイング。そこに怒り狂っていた男子訓練生の一人が、
「お前達からも何か言ってやれ!」
宗谷、久糊、焚間を扇動する。
「「「…………」」」
だが、三人は無言。
それもその筈――三名は処分保留。つまり、俺が処分を決めていい事になった。つまるところ、俺の匙加減一つで銃殺刑もあり得るという訳だ。勿論正当な理由が無ければならないので、使主教官の同意が無ければならないが。
『どうした⁉ 三人共!』
いつもは真っ先に俺の糾弾や悪口を言う三人組に対し、不審に思ったのか――男性陣が宗谷、久糊、焚間の三馬鹿に聞いてくる。
「どうもしないさ。な? さ・ん・ば・か?」
「「「ぐっ……!」」」
事件を起こした三人組こと三馬鹿は悔しそうに唇を噛む。
あ~! すっとした!
そこに使主教官が、今後の事を言う。
「では、次に暗殺者を斃した天聖君達には何かしらの褒賞が与えられる」
よっしゃ! これで目標である大英雄に一歩でも近づいた事だろう! 出来れば勲章の一つでも欲しい処だが、それは高望みというものだ。
俺は、心の中でガッツポーズ。それとは裏腹に男性陣がブーイングをする。
そこに使主教官は、
「新しい仲間を紹介する!」
転入生がいる事を告げる。
え? まさか……!
ドアが開くと、ファラエルさんが教室内に入って来る。
「ファラエルさん!」
俺は席を立ち上がる。
「天聖君! 静かに! 席も座る!」
「はい……」
使主教官は、
「おほん! では、自己紹介を……」
ファラエルさんに自己紹介をするように促す。
「天道ファラエルです。皆さん宜しくお願いしますね?」
これには俺を含む男性陣が拍手し、
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
嬌声をあげる。反対に女性陣は『焚。まあ、性格はどうだか分からないけど』等の懐疑的な視線を送っていた。
唯、リーナと静江は難しい顔をしている。
何をそんなに親の仇を見る目をしているのだろう?
等と思っていると、
「雪菜!」
ファラエルさんが、俺に抱き付いてきた。
くううううううううううううううう! ファラエルさんの髪は良い匂いがする! それに胸が俺の手に当たってふんわりしていた。胸ってマシュマロの様な感じの触り心地だな⁉ ラッキーだぜ!
『なっ⁉』
これには、その場全員が驚いた。
だが、使主教官がいち早くそれを咎める。
「天道君! まだ自己紹介が終わっていない! ハグは止めたまえ……!」
「はい。教官殿」
「おほん! 天道君は正規兵だが、年齢的には内地に留学する事に問題はない! また、学園長の妹さんらしいから粗相のないように……! 以上!」
ここで一気に俺に視線が集まった。
「雪菜! てめえ……!」
「また、こんな美人な娘を手籠めに……!」
「この悪魔め……!」
モテない男性陣が一気に俺を睨む。
その中には三馬鹿も入っていた。
俺は席を立ち、
「良いのか⁉ お前ら! 俺にそんな視線を送っても……!」
三馬鹿である、宗谷、久糊、焚間に警告。
だが使主教官が、
「三人共。大丈夫だ。今回は僕が許す」
彼等を免罪する。
「なっ⁉ 使主教官! 何を⁉」
「モテる男は死ぬと良いよ?」
使主教官は氷より冷たい視線を俺に送る。
俺は本能的に逃げる事を選択した。目標は教室前方の出入り口だ。
「ちょっと、待て。ユッキー♪」
「ちょっと待ってくれない? ユッキー♪」
だが、静江とリーナに止められた。両脇を手で握られている。しあkもMSAの手で、だ。
二人共、MSAを展開していた。しかも笑顔で。しかし目は笑っていない。
静江の目は、怒り心頭と言った感じで、リーナの瞳は氷の様に冷たい殺意が籠っている。氷結された様な感覚に俺は陥った。まるで金縛りに遭ったかのようだ。
そして俺の両脇はがっちりとホールドされている。
逃げられない……⁉
俺は私刑を覚悟した。
名前 :天聖雪菜
契約『堕天使』 :大天使長ルシフェル
機体名 :『明星壱号機』
固定装備 :大型荷電粒子砲、プラズマライフル、電磁投射小銃、高周波ブレード×2,アサルトライフル
追加武装 :黒い長剣(5)、水色の長剣(5)、ビームライフル(1)、軽装甲(1)
特殊能力 :黒炎
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