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ハルマゲドンの英雄譚  作者: 谷川ヒロシ
波乱の日々の幕開け編
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第十九話 発動

 一一〇〇時。雪菜達がBピットから出て行って、美火得ことミカエルはモニターを見ていて、数分で異常に気付いた。

「このままだと負けるわね。雪菜達」

 美火得の言葉に、雪菜が押している様に見えたファラエルは疑問に思う。

「え? 姉さん、何を言っているの? 雪菜達が押しているじゃない」

「いいえ。雪菜は一度も第十世代型の魔導兵器を使わない。いえ、使えないのだわ。何かトラブルがあったのかもしれないわ……」

 モニターで見ているミカエルは、そう断言した。

「それに、ミリエルにレーヴァテインを奪われた事も痛いわね……」

 それを聞いたファラエルは、

「御免なさい。姉さん。あたしが感情的になったから……いつも戦闘では冷静でいなさいという姉さんの言い付けを守れなかったから、奪われてしまった……」

 姉であるミカエルに謝罪する。

「あ……。あたしの方こそ御免ね? ファラエル。そういう積もりで言ったんじゃあないのよ? ただ、レーヴァテインは、ただの攻撃だと魔力を使わないから、不利だと言うだけで……」

「その不利な状況に追い込んだのはわたしよね? 御免なさい。姉さん」

 ずーんと沈む妹のファラエルを見て、姉のミカエルは溜息を吐く。

「うじうじ悩むのが貴女の悪い癖よ? ファラエル」

「でも、姉さんの息子を危険に晒しているのはわたしだし……」

 ファラエルは何故か顔を赤くする。

「顔が赤いわよ。ファラエル。熱でもあるの? 風邪?」

 ミカエルがおでこをファラエルの額に当てるが、熱はない。

(と、すると……これはもしや、別の病気? 恋煩い? あのファラエルが?)

 ミカエルはファラエルを観察すると、何故か妹はもじもじしている。

(試してみるか……)

 ミカエルはファラエルに聞く。

「ファラエル。もしかして雪菜の事が好きなの?」

 するとファラエルは、更に顔を赤く染める。

「え?」

(これは、当たりだわ。でも、あのファラエルがね~。お姉ちゃん嬉しい……! でも、この日本で甥と結婚出来たかしら?)

 と、ミカエルが思っているとモニターの雪菜が、ミリエルにレーヴァテインの連続攻撃を受けていた。

「雪菜……」

 ファラエルの表情がうるむ。今にも泣きそうな顔だ。

「そんなに雪菜が心配だったら、雪菜を助けに行ったら?」

「何を言っているの⁉ 姉さんを護らないと!」

(助けに行きたいけど……わたしの腕じゃあ……)

「はいはい。あたしはそろそろ避難するから、貴女は行きなさい。ファラエル」

 ここでファラエルの表情がくもる。

「無理だよ。姉さん。わたしミリエルに剣での稽古で、一本も取った事が無いのよ?」

 ファラエルはそう言うが、

「大丈夫。ファラエル」

 ミカエルは、ファラエルに太鼓判を押す。

「何を根拠に言っているの? 姉さん」

「ファラエル。貴女は恋をした。それだけで十分よ。知らないの? 護る者を持つ女は強いのよ?」

 ミカエルは自分の体験を口に出す。恋をして子供を産み、母となって強くなった自分を。

「そう……なの? 姉さん」

「うん! あたしが保証してあげる!」

(怖いけど……頑張る!)

 ファラエルは勇気を振り絞って、Bピットから出た。


 ***


「ファラエルさん!」「来たわよ! 雪菜!」

 一一二〇時。第一アリーナで俺とファラエルさんは、声を同時に出した。

 ファラエルさんが来てくれた! これで元気百倍だ!

 そして一瞬見詰め合って視線で合図を交わし、行動に移す。

「援護を頼むよ! ファラエルさん!」

「了解よ。雪菜」

 ファラエルさんの援護射撃を余所に、俺もアサルトライフルを撃ちまくりながら突っ込む。

「そんな攻撃……!」

 ミリエルは俺に照準を合わせて撃ちまくる。

 撃ちまくりながらミリエルの魔力値を俺は確認する。

 それに対して俺は一時停止し、弾幕を張りながら躱していく。

 撃ちまくりながらミリエルの魔力値を俺は確認をする。

 ミリエルの魔力値は2500程だ。

 よし! このまま相手の魔力を減らしていくぞ!

 心の中でそう思い、俺がにやけたらミリエルが鼻を鳴らした。

「ふん。魔力切れを誘う作戦か。そうはいかんぞ」

 するとミリエルは朱い長剣を装備し直して、俺に向かって来る。

「くっ……⁉」

 俺は弾切れを起こしたアサルトライフルを捨てて、左手に高周波ブレードを持つ。

 アンバランスだが仕方が無い。

「弾切れとは運が無いな?」

 ミリエルは一撃を俺に見舞う。それを俺は高周波ブレードで受け止めた瞬間――破壊され、朱い長剣は俺の肩部に当たった。

 結界フィールドを引き裂き、生命維持シールドが発生した為、かなりの魔力を持っていかれる。

 だが、これでいい。俺の狙いはここにある。剣で俺に命中させて隙を作るこの瞬間が、だ。

「おおおおおおおおおおおおおおおお!」

 俺は衝撃を受けながらも、奴の腹部を狙う。

 くそ! 少しズレたか!

 俺の黒い長剣は相手の攻撃により体勢を崩し、クリーンヒットせずに、腹部を掠めただけだった。

 だがそれでも、相手の結界フィールドを切り裂き、生命維持シールドを僅かに発生させる。敵の魔力値は残り少ない筈だ。

 後、もう一撃……!

 落下して大地に横たわって、そう思った瞬間、俺の頭部をミリエルはビームアサルトライフル(4)で狙いを定める。

 不味い……! このままでは……!

「これで終わりだ! 堕天使!」

 俺は敗北する事を――即ち死を拒絶し、何とか起き上がろうとするが、うまく立ち上がれない。

 そこへ、

「雪菜!」

 アサルトライフルで射撃をしながら、ファラエルさんがやって来た。右手には近接刀型ブレードを持っている。

 何と驚く事にファラエルさんの射撃をミリエルは、命中すると思われる弾は剣で全て叩き落していく。

 何て奴だ……!

 そう思った時、

「きゃっ……⁉」

 ファラエルさんがミリエルの一撃をまともに喰らった為、魔力切れを起こしたのか、MSAが停止。大地に落ちる。

「この…!」

 よくも、ファラエルさんを……! 許さねえ……!

 俺は憤怒の表情で立ち上がり、上空にいるミリエルに向かって黒い長剣の特殊能力を解き放つ為の言葉を口にする。特殊能力を解き放つ言葉は、本能で理解した。

「黒炎!」

 俺の黒い長剣から解き放った黒い巨大な炎は火炎放射器の様に突き進み、長大な黒い火柱となって、結界フィールドと生命維持シールドを軽々と突き破り、ミリエルの体と機体を蒸発させ、シールドバリアも突き破り、上空にある雲をも突破する。

『わあああああああああああああああああああああああああ!』

 その瞬間――歓声が沸いた。

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