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ハルマゲドンの英雄譚  作者: 谷川ヒロシ
波乱の日々の幕開け編
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第十七話 恋慕

 一〇二五時。第一アリーナにいる智天使ファラエルは胸の高鳴りを感じていた――雪菜の決心を聞いてからだ。

 心臓の辺りがとくとくしている。

 天使の時ではあり得ない現象に、ファラエルは困惑していた。

 ファラエルは、自分の手を胸に当てながら思う。

(何? この胸の高鳴りは……。異常?)

 ファラエルは雪菜を見る事が出来ない。

 雪菜を直視しようとすると、何故か恥ずかしくなるからだ。

(でも……この感情……わたしは嬉しいの……?)

 ファラエルが己の感情を制御出来ていない処に、リーナと静江がやってくる。

「「ユッキー! 大丈夫⁉」」

 同時にリーナと静江は、雪菜を気遣う。

「ああ。俺は大丈夫だ! それよりもこいつを何とかしよう! リーナ! 静江!」

 雪菜がミリエルを指し、敵である事を示す。

「え? 彼女は敵ではないの? ユッキー」

「ああ。そうだ」

 リーナの発言に答えたものの、モニターによって外を見ていた静江が、声を荒げる。

「馬鹿を言うな! ユッキー! こいつは少佐殿を攻撃した奴だぞ! その所為で少佐殿は戦死された!」

 これにはリーナが呆れた声を言う。

「待ちなさい。静江。ウェイスター少佐殿が戦死されたのは、貴女にも責任があるじゃないの……」

「何だと⁉ リーナ、もう一度言ってみろ!」

(私が何故悪いのだ! 悪いのはあのベルゲンとかいう少佐だ……!)

 静江は野太刀(5)をリーナに向かって構える。

「何度でも言ってあげるわ。静江、貴女にも責任はある」

「何だと~!」

「いい加減にしろ! 二人共!」

 雪菜の叱責で、二人は喧嘩を止める。

「事情は後で言う! 静江、今は俺を信じろ!」

 雪菜の真っ直ぐな瞳を受けて、

「分かった……」

 静江は憮然と言った表情で首を縦に振る。

「リーナもそれでいいな?」

「……ええ。それでいいわ」

 リーナの返事を聞いた雪菜は、

「そう言えば二人共、ウェイスター少佐殿の部下はどうした? あの二人も殺られたのか?」

 ふと思った疑問をリーナに問う。

「あの二人は天使だったの」

「はい?」

 雪菜はリーナの言葉に戸惑った。それで今度は静江が彼に説明する。

「だから、あの二人は天使だったのだ! だから、MSAを停止させて待機していたMP隊に引き渡した!」

 訳が分からない雪菜は、

「ええと……つまり、どういう事?」

 美火得に質問を向けた。

「MP隊は事前にあたしが待機させておいた。ファラエルを保護する為に……」

「姉さん……」

(わたしの事を考えてくれていたのね……)

 実の姉である美火得の言葉に、ファラエルは嬉し涙を流す。

「だが計算外だった。まさか、ウェイスター少佐の部下達が天使だったとは……!」

 美火得はミリエルを睨む。

 どうやら彼は全て知っていたようだ。

 そのミリエルは、怒りを露にする。

「おのれ! おのれぇ! まさか、あの二人が捕まるとは……! これは是が非でもあの二人も始末しなければ……!」

 ミリエルの言葉に美火得は、

「待て。ミリエル。その考え自体、間違いだとお前は気付くべきだ……!」

(あたしのように……!)

 そう心の中で付け加えながら彼を諭す。

「ふん。堕天使の言葉なぞ、誰が聞くか! 汚らわしい堕天使は全て抹殺! それが神の思し召し……! まずはお前からだ!」

 ミリエルが美火得に剣を向けた事により、リーナと静江はそれぞれが反応し、武器を構える。

「「学園長! 下がってください!」」

 リーナはビームライフル(5)を収めて、剣型近接ブレードを装備。

(ビームでは威力があり過ぎて、MSAを着用していない学園長を巻き込んでしまう……)

 リーナがそう思考した処で雪菜は、

「ファラエルさん! 母さんをお願いする! 二人共、こいつを外に出すぞ!」

 リーナと静江に指示を出す。

「「分かった!」」

 二人は了承し、ミリエルに接近する。

「はあああああああああああああああああああ!」

 まずは、リーナが攻撃を仕掛けた。

 だが剣型近接ブレードは、ミリエルの持つレーヴァテインの相手としては、余りにも力不足であった為、一撃で破壊される。だがそれはリーナの計算の内。既に聖装でも破壊されるのを見ていた為だ。

「何⁉」

 リーナは後ろに跳び、次は静江が野太刀(5)で攻撃してきた。

「やあああああああああああああああああああ!」

 今度はミリエルが静江の攻撃を受け止める。

 そして静江は後ろに跳び、ミリエルは態勢を崩す。そこへ、雪菜がミリエルに体当たりする。

 ミリエルは見事、Bピット内から外に出されたのだった。

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