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イニーフィネファンタジア-剱聖記-  作者: 高口 爛燦
第二十九ノ巻
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第三百四十五話 黄金色の聖騎士、出陣

 火花と、光り輝く氣を放ちながら、それがまるで車輪のように回転し、数多の“氣が通った魔礫尖刃”を敵に撃ち込む『魔礫牆廻輪尖射』―――。


 ギュギュギュギュギュギュッ、

 ギュルギュルギュルッ――――ッ


 準備は万全。


 大地の魔法の産物である六角形の魔岩板の角を互いにぶつけあいながら、六角形の魔礫の廻輪は廻転し、その砂氣の火花を散らす!!


第三百四十五話 黄金色の聖騎士、出陣


 『魔礫牆廻輪尖射』―――砂氣(マナ)を帯びた魔礫の尖刃の斉射。それはいわば石鏃の一斉射撃だ、それも鉢巣砲(ガトリング)の。


 魔礫牆の幾百と重なり合う六角形の魔礫の石板で構成された魔岩牆が廻転することによる魔石鏃一斉射撃。

 そのシステムはガトリング砲の射撃。

「何人たりとも、俺の『魔礫牆廻輪尖射』から逃れることはできない」

 俺は呟いた。

 そうだ、『魔餓尽基』。そして、次はお前だ、もう逃れられないぞ、ラルグス―――っ。



 ギュギュギュギュギュギュッ、

 ギュルギュルギュルッ――――ッ

 ガガガガガガガガガガガッ


 ダダダダダダダダダダッ―――ッツ



 それは廻転する光輪から放つレーザー光学兵器の如く、もしくは、蜂巣砲による回転しながらによる弾丸の一斉射撃に似ている。

「っつ」

 ―――、眼下にて、驚き目を見開く敵方の『不死身のラルグス』の『氣刃投射』と、似たような技の、大地の魔法というのが、ちょっと気になるが、俺は。



「てめぇ、俺様の『氣刃投射』の真似をしやがって・・・ッ」



 ほらな・・・。俺は眼下のラルグスに視線を移す。

 別にお前の真似をしたんじゃねぇよ、ラルグス・・・。

「・・・」

 下から喚くように吠えるラルグス。


 回転する各々の六角形の魔岩の板が集まって構成される『魔礫牆』。その各々のハニカム構造のような六角形の魔岩の板は、廻転しながらアニムスの火花を噴き―――、


 ドウッツ、ガガガガガッドドドドドドドド―――ッツ


 『魔礫牆廻輪尖射』の鉢巣砲による遥か上空からの掃射は、瞬く間に魔餓尽基へと肉薄、数多の魔礫尖・石鏃は、一斉にそこへと至る。


 オア―――ッ、っと。


 我先に、と。“氣が通った石鏃”は、我こそが一番乗りと、先を急ぐかのように、魔餓尽基へと殺到、到達―――。


 だがしかし。突如として、そのとき―――、


 ブゥゥン、、、キュア・・・―――ッツ


 ―――、魔餓尽基を中心に、同心円状に、ドーム状の白く輝く光の薄い膜のようなものが現れたんだ。


 その白く輝く光の薄い膜に、俺が行使した『魔礫牆廻輪尖射』の一斉射撃が、


 ギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンッ―――、ッツ



 うそだろ!?

「なに・・・っ!?」

 その姿に、魔餓尽基を護るように出現した白い光の膜が取り巻く様をこの眼で視、俺は驚きに目を見開いた。


 俺が行使放った『魔礫牆廻輪尖射』のその、氣を帯びた魔礫の魔礫尖・石鏃が、着弾する僅か手前、時間にして刹那の刻。

「っつ、このためのものか・・・その宝石は―――っつ」

 俺は軽く舌打ち。

 そうか、そうは簡単にやらせてくれねぇってか・・・!!っつ。


 今まで、どのような役目で、なんのために、その、異形なる魔餓尽基のその褐色の表面に、色とりどりの宝石が埋まっているのか、その意味が判らなかった。

 そういうことだったのか。


 それは防御機構。バリアだ。

 青、黄、赤のまるで宝石のような宝玉のように視得る球体が、魔餓尽基の褐色の表面に埋め込まれていて、その数は十二個だ。


 俺の『魔礫牆廻輪尖射』の氣刃・石鏃が、雨霰と、褐色の表面に殺到到達被弾させる寸前のことだ。魔餓尽基の表面に埋め込まれている十二個の青、黄、赤のまるで宝石のような宝玉は、その光を強烈に放ったんだ、きっと放出された氣/マナ(アニムス)の光だ。

 強烈なマナ光を放った十二個の青、黄、赤の宝玉は、互いに共鳴・協力し合うかのように、そのアニムスを重ね合わせ白光させて、俺の『魔礫牆廻輪尖射』の魔礫の土石尖刃の一斉射撃による攻撃を全て防ぎ、弾いたというわけだ・・・!!



「、っつ、バリアだったのか、、、」

 軽く舌打ち。

 防御機構もしくは、防御壁か、結界か。俺が魔餓尽基を破壊できるような攻撃したことで、きっと古き大イニーフィネの叡智学者が、この魔餓尽基に施した防護機能が働いた、に違いないさ。

 くそ。。。ならば、どうする・・・? どうやってアネモネを救い出せる?魔餓尽基から彼女を助け出せることができる?



「ケンタ殿、姫様。私にも今一度の機会をお与えください。私の斬撃で、あの魔餓尽基めを、一刀両断にしてみせます―――っ」

 背後からの声はサンドレッタだ。


「えぇサーニャ。よろしいですよね?ケンタ」

 即答。当のアイナは迷うことはなかった。ついでにアイナは俺にも同意を求めた。


 今の段階では打つ手なし。魔餓尽基は、俺の大地の剱魔法の『魔礫牆廻輪尖射』では壊せなかった。

「あぁ」

 だから、だ。っつ、俺はすこし悔しいが、、、。ほら、やっぱ俺はアネモネのこの手で助け出したかったし。、、、アネモネは俺の師匠のような人だしな。でも―――、

 俺は、アイナにもサーニャにも肯いた。魔餓尽基をぶっ壊してくれ、サーニャ。その全てを圧倒する黄金色の氣の斬撃で魔餓尽基を破壊してくれサーニャ。


 だが、もし、万が一のことだ―――。俺には一つの憂慮することがあってさ、サーニャ。

 もし、きみのその黄金色のアニムスの翔ぶ斬撃が―――、あの人に当たってしまったら、、、。


 だから、俺は―――

「アネモネは絶対に傷つけるなよ、聖騎士サンドレッタ」

 俺は“サーニャ”と言わずに、敢えて聖騎士サンドレッタと言った。俺の中で、けじめをつけた、に近いかもしれないな、それは。

 本当は、俺はアネモネをこの手で助けたかったから。


「はい、ケンタ殿」

 すっくと立ち上がったサーニャを後目に俺は、その視線を、前の眼下に戻した。



 ゴゴゴゴゴゴ―――、


「、、、」

 っと、俺の背中の後ろ、、、。背後より高まり、強まっていく気配。サーニャの黄金色に輝く圧倒的な氣の昂ぶり。その威光を俺は背中で感じ、この身で感じる。


 びりびりびり―――ッ


 おわっ!!

「―――!!」

 って、どんだけすっげー闘氣を放つんだよ、サーニャのやつ・・・!! びっくりして後ろをもう一度振り返ってしまったわっ!!

 で、試す者は、、、

 俺が試す者の様子を見れば、おうっ、試す者は、その背中に俺達を、サーニャを乗せているのに全く動じていないぞ・・・っ。


「ケンタ殿・・・っ!!」

 タンッ、っと、サーニャは軽快な足取りで、


「お、おいっ!? サ―――ッ」

 俺がサーニャ、っと声を掛ける前に―――ッ。

 おわっ!! 跳んだぞ!?サーニャのやつ。そこは、空気で、空中で、、、いや、―――違うか。


 タンッ、っと、サーニャは、試す者青黒い竜のその鱗の背中を軽く蹴って空中へと―――。お、落ちるぞ!? サーニャのやつ―――、と思っていたら。


「足場を借ります・・・!!」

 タッ、っと、軽い乾いた音を立てて―――、

「って、サーニャ・・・っ」

 ―――、言うが早いか俺の、城壁のような魔礫牆の、その六角形の魔礫の石板の上を足場代わりに降り立った。


「・・・、、、っ」

 ふお、、、っ。サーニャを落とさないように、この大地の剱魔法『魔礫牆』を解呪しないようにしないと・・・っ

 


「サーニャ。思い切り貴女の全力を、賊徒たるあの者達に見せつけてやりなさい」

「ハっ姫様・・・ッ!!」


「・・・っつ」

 アイナは、サーニャにそう言ったし、サーニャの全力を受け止められるように、ちゃんと集中して、サーニャの足場を、大地の剱魔法を行使し続けないと、俺・・・っつ


 口を一文字に食い縛り六角形の魔礫の岩が寄り集まり、重ね合わさった魔礫牆の上に立つサーニャ、サンドレッタ=カルナスという聖騎士。


 まるで、敵に囲まれた城塞の戴きに立つ聖騎士のように、サーニャは、

 その閉じた口を開き、

「はぁああぁッ・・・!!」

 サーニャの雄叫びにも似た咆哮。その直後、サーニャの金色の闘氣がさらに爆発的に増幅し、ゴアッ、ドウォッ、っと、それはまるで金色に輝く爆炎のように、上空へと噴き上がる・・・!!


「征くぞ・・・『魔餓尽基』よっ」


 サーニャの左手は、その重厚なる聖剣の鞘に。

 サーニャの右手は、その煌めく聖剣の柄に。


 その碧眼の双眸をキリリと締め、黄金色の氣に輝くかの聖騎士は力強く凛々しく眼下を睥睨する。眼下の魔餓尽基を、そして、魔餓尽基に捕り込まれて、その顔しか現していない大地の魔女を。



「―――・・・っ」

 俺はあんなにも、キリリとした目つきのサーニャを、サンドレッタ=カルナスという女性を見たことがない―――。

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