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イニーフィネファンタジア-剱聖記-  作者: 高口 爛燦
第二十九ノ巻
343/460

第三百四十三話 『魔礫砂漣』

 そして、俺は、ううん、俺も含めてミントやレンカお兄さんも一緒に、休憩な。俺は、さっそくミントちゃんの持って来たマナ=アフィーナの、今度は甘酸っぱい紫色のジュースだった。

 それを飲んでいるいるとき、だ

 

「ケンタさま」

「ん、ミント?」

 俺は、口からコップを放して、ついでに言うと、この陶器製のコップも、ミントの土石魔法の産物だ。


第三百四十三話 『魔礫砂漣』


「ケンタさまは、まずミントの魔礫弾を魔礫牆で防いで、防ぎつつ、私の魔礫兵に、斬りこんでこられるか、もしくは、やや距離を置き、砂氣の斬撃を撃ち込んでおられますね?」


 確かに、ミントの言う通り俺は、魔礫兵が放った魔礫弾の弾幕を、被弾を避けつつ―――、確かにそうしている。

 ぎゅっ、っと俺は。

「うん、ミント」

 俺は左手を、腰に帯びた『大地の剱』の鞘に持っていき、それを握った。

「では、ケンタさま。午後の授業は、そのようになされずとも、このミントが防御魔法より直接攻撃に転ずる『魔礫砂漣』を伝授しますね♪ふふ、くすくすっ♪」


///


 眼下のラルグスを前にして、頭の中での回想を切り、俺は改めて眼前を意識した。


 今助けるからなっアネモネっ!!


 俺は以前の、ミントちゃんことアネモネとレンカお兄さんから教わった修行、修練を思い出し、心で念じて、ますます、この『大地の剱』に氣を籠める。


 ゴアッツ―――、っと、すると砂氣(マナ)が『大地の剱』の剱身に取り巻き渦巻く。

 剱身を芯として、俺の氣を喰らって、励起したアネモネのマナと混合し、融合した砂氣が、大地の剱本体である鍔のない柄から剱身、鋩へと至り、それが潜ってまた鍔へ、そして鋩へと砂氣が対流する。



///


『見ていてくださいねケンタさま。これが『魔礫砂漣の―――』いわゆる魔法の重ねがけですわっ♪ ふふ、くすくすっ♪』


///



 あのとき俺がミントに教えられた業を以ってお前を倒す・・・!!

 いくぞ、ラルグス・・・!!

「受けて見ろ・・・ラルグスッ!!」

 お前は、アネモネをその汚い手で、手籠めにしようとした、、、俺は全て、女神フィーネからの精神感応により映像で見たんだからな・・・っ!!


 赦さん・・・ッツ


 ふつふつ、、、と、心の底よりラルグスへの怒りが湧いてくる・・・!!


 あのとき修練のときのミントちゃんことアネモネの言葉に、言動に、魔法行使に、今、俺はアネモネの指導に従って・・・!!


 まだまだ、経験値のない、経験が浅い俺は、頭の中で、ミントのそれを思い出し、なぞるように、念じ、想い、イメージして―――。


 眼前。

 すぐ眼前に行使していた大地の剱の魔法『魔礫牆』。

 それは、いわば三条悠の異能『絶対防御』の楯と同じように視得るが似て非なるもの。


 『大地の魔法』に限って言えば、たとえばその一種である『魔岩牆』。それを行使し、保ったまま、次なる大地の魔法を添加し、転嫁するための魔法が、『魔礫砂漣』、、、であると、ミントちゃんことアネモネは、俺に“修行”を付けてくれたときに言っていた。


 『魔岩牆』を以って為した大地の魔法が『魔礫牆』―――、さらにその上の段階に、俺はこの歩みを進める!!


 防御の大地の魔法『魔礫牆』から転じた攻撃魔法を、今ここに行使する、行使させてやるっ!!決めてやる・・・ッ!!


 バッ、っと。

 瞬時に、今までの正眼の構えを崩した構えのその構えを、霞の構えに切り変える。小剱流の霞の構えに持っていくのは、既に俺の身体に沁みついているさ。


「、、、我が名は『普遍く視透す剱王』。我、小剱健太の真名の下に我自身が命じる―――魔法剣『大地の剱(エグ・エアーデ)』よ、我とアネモネ=レギーナ・ディ・イルシオンとの盟約に応じ、我らが力に応え、―――」


 パァッ―――


 砂氣を纏った『大地の剱』が黄金色の光を放つ!!


 すると、その魔力の高まりに反応して、そう。俺の眼前の『魔礫牆』もそれに応えて、マナの光を放つ。励起する。


 魔法を行使するための媒体である『大地の剱』は、アネモネを含めたイルシオンの人々が持つその魔導書と同じ類のもの。

 魔導書を持たない俺は、この『大地の剱』より、大地の剱魔法を行使する。俺のアニムスとアネモネのマナ。

 アニムスとマナは同じものであり、俺達の魔力により励起した『大地の剱』から光る気体、つまり光る氣の靄(アニムス/マナ)は、眼前の『魔礫牆』へ至り、纏わりつき、『魔礫牆』は黄金色のマナに包まれ光り輝く!!


 この黄金色のマナこそ新たなる『大地の魔法』を産み出す源動力となるっ!!


「全て悉く廻転せよ・・・っ『魔礫牆』!!」


 既に展開させてある『魔礫牆』。それが―――、


 ギュギュギュギュギュギュッ、

 ギュルギュルギュルギュルギュルギュル――――ッッツ


 一つ一つが六角形の『魔岩牆』を“縦横上下斜め”に重ね合わせた『魔礫牆』、それら、一つ一つの六角形が、歯車のように、車輪戦輪の如く、時計回りに回転する、していく、この俺が『魔礫牆』を転化するために、改にアニムスを添加してそれを廻転させていく。


 一つ一つが六角形の魔礫の牆板。


 地上にいるラルグスが見上げて見れば、俺の『魔礫牆』は、その表面は巨大な、“蜂の巣状の岩板が組み合わさった”巨大な城壁のように見えるかもしれない。

 空の城壁『魔礫牆』を見上げ、その『魔礫牆』を構成する一つ一つの、蜂の巣状の六角形の板『魔岩牆』が火花を散らしながら、烈しく皆一斉に廻転しているのが、眼下いるラルグスに、それが見えていることだろう。


 下に、地面の彼奴は驚きに目を見開き、

「て、てめ、、、なんだそりゃ・・・っ―――」

 そんなラルグスが、俺の、魔法転化しつつある『魔礫牆』を見上げた。


 やってやるぜ・・・っ。喰らいやがれっラルグス―――ッ

「『魔礫砂漣の―――・・・ッ、』

 俺は『試す者』の背中に乗り、、、。


 だが、視界の端に視得たもの。いやその人の姿が俺の中の決定を鈍らせる。

「・・・」

 って、待てよ・・・。


 今俺はラルグスに対して、『魔礫砂漣の『それ』を行使しようとしているよな? でも、、、ラルグスを先に倒すより、俺にはやらないといけないことが、あるんじゃないのか?

 ほら、ラルグスの後ろにある『アレ』。


 褐色の、異形なる物体。煌めく金属と、窯業的なセラミック、そして、どう見ても人間か動物由来の肉色が混じり合い混ざり合っている異形の物体。そう、―――『魔餓尽基』。


 それに取り込まれてしまっている彼女『大地の魔女アネモネ』を、先に救い出し助けることのほうが、ラルグスを打ちのめすより優先順位が遥かに高いんじゃないのか?俺。

「―――、、、」

 はっきり言ってラルグスなんかどうでもいい、あんな傲岸不遜厚顔無恥な薄っぺらい奴は後に、あんな奴すぐにどうにだってできるだろう。


 俺は―――、

「ッツ」

 ―――、決断した。


 このまま、ラルグスに対して“攻撃する”よりも、アネモネをすぐに救うべきだ。助けるほうが先だ!!

 だってきっと、『魔餓尽基』に捕り込まれたアネモネは、魔力を吸われ続けていて今も、まさにこの瞬間も苦しんでいるに違いないから・・・!!


 あの魔餓尽基だけをぶっ壊し、ぶった切り、アネモネの身体には決して当たらないようにするために、俺は、この『選眼』の一つ『透視眼』を行使する。

「―――」

 あのとき魁斗が持っていた、近角信吾から盗んだ氣導銃『日下零零参號』の、その内部を透視したときのように、俺は眼を眇めた。


 すぅ―――っ、っと。眼を眇め細めて俺が視たい物を、視たいところを視ようと意識するだけで俺の眼は『透視眼』になる。


 透視だ、レントゲンのように視線が透過する眼。俺の『視線』は、眼下の『魔餓尽基』を捉えて離さない。


 俺の視線は、異形なる『魔餓尽基』の、その褐色の特殊な“金属”でできた表面を越え、通過し、その内部まで到達。

 人間で例えるならば、そこの部位は腹部に当たり、俺の透視の線は、皮膚、腹筋、腹膜、、、そして、内腑へと至る。


 胃腸、内臓の中。

「、、、ぅ」

 正直言うと気分は良くない。


 褐色の金属とセラミックは、人や動物でいうところの“筋肉”と融合していて、その内部。魔餓尽基のちょうど人で言うところの“胸から腹”にかけてに相当する部位。そこには、“空間”がある。捕り込むものを納めておく空間だろう。

 ポッドのように“空いている”のではなく、アニムスを貯め込む性質の、フラクタルのように視得る素材で満たされている―――。

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