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イニーフィネファンタジア-剱聖記-  作者: 高口 爛燦
第二十八ノ巻
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第三百二十四話 きゃははははっ♪ 導師様に仇名すふてーな輩は、みぃ~んなこうなるんデスのっきゃははははっ!!

 キュウン―――、っと。アリサに、その容貌に、その顔に『変貌』が訪れる。

 彼女アリサの眼が、その翠色の綺麗な宝石のような眼が、まるで魚が死んだような虹彩のない燻んだ光沢のない瞳に変わった。

 さらにアリサが喋ったときにも、強張ったかのようにピクリともその表情を動かさなくなったのだ。

「―――正常完了。―――『解放(リリース)』します。―――、キリング・アリサちゃん行っくわよぉおおおおっ―――ッ!!」

 総司令官アリサの、奇声にも似た咆哮による宣言。感情を現すその表情も元に戻り、いや、以前よりも、ずっと―――。


第三百二十四話 きゃははははっ♪ 導師様に仇名すふてーな輩は、みぃ~んなこうなるんデスのっきゃははははっ!!


「・・・っ!!」

 アネモネは、その口調と雰囲気の変わった総司令官アリサの変貌を目の当たりにして、自身の中で懸念を抱き、初めてその自身の表情から笑みを消し、真面目なものと変えた。


「―――っ」

 ざ、ざりっ、っと。アリサは、左脚を一歩前、右脚を軸足に。まるで、格闘の、徒手空拳を使うファイティングポーズのような姿勢を取る。


 すっ、っと。アリサはその格闘姿勢のまま、真っ直ぐに、アネモネがその大地の魔法により創造した地物に向かって、その右腕を掲げ、まっすぐにそれらに向かって伸ばす。

 アリサのその格好はまるで、その右手の掌から、エネルギー弾でも、放つかのような、そのような構えである。



「っつ!!」

 目を見開いたアネモネの、その目の前で、



 総司令官アリサは、自身の機人の身体に、脳より指令を送り、

「さぁっ、堪えてごらんなさいデスのっアネモネッ!! アハハハハっ、ハハハハっ♡ ―――っ♡」

 けたけたけたっ、っと、アリサは、なにがそんなにおかしいのか朗らかに笑う、笑う、笑う。先ほどの『解放』時のときに喋ったときの表情とは、まるで正反対の表情とその言動である。


 カチャ・・・―――、それは何かの機械音。


 その機械音の出所は、ファイティングポーズを取る総司令官アリサから聴こえたものだ。


 アネモネが目の前で起きた事を観たその光景は、アリサの右手首から先が消え失せ、代わりに円筒形の銃身を持つ、黒き異形な銃に置き換わったのだ。


 アリサの機械化されたその身体の中より、現れたとしか思えないその、黒光りする異形の銃は、右手首に直接取り付けられているように観え、弾丸を放つ『銃』というよりは、レーザーや、プラズマ熱火球などの、光学兵器の飛び道具を放つ銃口としか思えない。

「キャハっ・・・♪」

 アリサは愉しそうに笑った。


 このアリサの変貌によく似たものとして、稲村敦司も、その転移先で、その黒き森の中で、リラと共に『特務官』のその変貌ぶり『兵装』を目の当たりにしている。


 総司令官アリサのその機械の身体の、その掲げた右腕、その右手首から先の円筒形の、黒光りする異形の銃身その黒い銃口―――。


 キュィイイイ―――


 甲高い電子音のような、高出力の光学兵器のエネルギーが集束していくような音が、イデアルの会合の場に響き渡る。

 その音と共に、アリサの黒い丸い銃口、銃身が光を放ち、輝く―――!!



 さしもの魔法王国五賢者の一角たるアネモネも、そのアリサの光学兵器、超科学兵器を脅威と捉えているのか、

「・・・ッ」

 彼女アネモネの表情は厳しいものとなったのだ。アネモネは、自身が思ったその考えを、土石魔法を行使してゆく。

 ザ、ザザ―――、っと、アネモネの前に、まるで主人を守護するかのように立ちはだかっていた『魔礫兵』が、徒党を組んでアネモネの前へ密集し、陣形を形成するかのように躍り出る・・・!!

 アネモネは、『魔礫兵』達を、楯のように、アリサの高出力の光学兵器よりの防波堤に使うようだった。



「キャハハハハっ!!アネモネっ貴女を、取っ捕まえて私は偉大な導師様に褒めてもらうんデスのッ!! 導師様っ導師様っ!!♡ 私は貴方をお慕いしておりまぁすわぁあんっ♡導師様ぁあああああんっ♡!!」

 感情を抑制する機能を外し、そこに使っていた『力』を、攻撃力へと転化した総司令官アリサは、感情剥き出しだ。


 黒光りするアリサの右腕の異形の銃の銃身に、集束していく光―――。


 キュィイイイ―――


 その輝度が極大となるや、まるで黒い銃身その銃口よりアニムスの光が漏れ出るかのように―――、


「―――!!」


「きゃははははっ、高出力の光学アニムス兵器デスのっ!! アニムスの火球とレーザーのデスレーザーデスのっ♪ 喰らいなさいなっアネモネっ!! 先ずは貴女のお人形さんからデスのっ♪」


 ババババババ―――ッ

 キュキュキュキュキュン―――っ

 キュンキュンキュン・・・ッ



 戦いの外野に目を向けてみよう―――。


「おっ、おいッてめこらっ総司令官・・・!! こっちに―――、ひょえぇええっ!!」

 ラルグスが慌てたような声色の声でアリサに言った。

 だが、アリサの放った縦横無尽の、その高出力のアニムス光弾は、ラルグスのほんの目と鼻の先で、その軌道を百八十度変え、前へと飛んでいく。

「ふぅ、、、てめぇっ総司令官」

 観客にも被害が出る技を使うんじゃねぇ―――、とラルグスは。


「―――」

 日下修孝は戦いの推移とその情勢に見入り、相変わらずその厳しい眼差しのまま、霧雨の柄を握っている。

「儂をちゃんと護るのじゃぞ、、、修孝・・・っ」

 クルシュは、日下修孝の上着の中、胸の中におり、きゅんっ///、っと密かに、クルシュは、その胸の心の内に、修孝への熱さを自覚していた。

「、、、」

 あぁ、と、日下修孝は肯いた。クルシュのその、強気な言葉とは裏腹の態度に、日下修孝は気づいているのか気づいていないのか。


 さて、視点をアネモネとアリサに戻そう。



「ほらほらほらほらほらっデスレーザーデスのっ あはぁーんっ導師様ぁぁああんっ♡///!!」


 女性機人総司令官アリサの、異形の黒い銃に置き換わった右腕よりアニムスの熱光線、熱光弾が四方八方に発射され、

 だが、その全て光弾の軌道は計算しつくされ、総司令官アリサのコントロール化にあるため、他の『イデアル』の構成員には向かって行かず、たとえ向かって行っても、直前で前へとその軌道を誘導し、アネモネに対しての弾幕となるべく軌道を変えて向かっていく・・・!!


「きゃははははっ♪ 導師様に仇名すふてーの輩は、みぃ~んなこうなるんデスのっきゃははははっ!!」

 アリサは自身の言葉を一方的に続け―――、

「いっくよーっアネモネ!! きゃはははははっ♪」

 さらには、アリサは、同じように左手首も解除し、代わりに同じ円筒形の、黒光りする異形の銃を顕現させた。

 その左腕からの、攻撃もさらに苛烈なものとさせ、アネモネ目がけて、高出力のアニムス光学兵器をぶち込んでいく。


 溢れる攻撃的な光、灼けるような熱気、そして、土石の熔ける臭い。会合の場は既に修羅場。巻き起こる熱砂埃、舞い上がる焼土煙―――。


 総司令官アリサは、そのように十分以上も、アネモネに自身が、ネオポリスの機人の総司令官たる怒涛の苛烈極まるアニムス光学兵器による攻撃を与え続けたのだ。


 シーン―――。

 音は無し、瓦礫が転がる音も聴こえない。


 アネモネの地物その大地の魔法の産物を木端微塵に破壊した、できた、と、得意顔のアリサ。

「ふぅ―――、この総司令官たる私の前に、敵は跡形もなし、デスわっ♪」

 アネモネへの光学兵器の攻撃を終え、上機嫌のアリサは、その土埃が晴れるのを、しばし待つ。



「ッ いや―――、まだだ!! 総司令官アリサ・・・ッ」

 初めに“気づいた”のは、『先見のクロノス』こと日下修孝だった。


 それはまだ、土煙が完全に晴れる前、アネモネの生死も、その『大地の守護者達』も視認できないとき―――。


 ブゥン―――ッ

 っと、土埃が、突然、土煙が真横に、何かの物体に薙ぎ払われるように切り裂かれ―――、


「アネ―――っ」

 次に、気が付いたのは、攻撃を与えた総司令官アリサ本人。日下修孝の言葉に、熱感知機構と生命反応機構を起動させて、彼女アネモネの生死を確認しようとした、まさにそのときだった。


 真横に薙ぎ払われた土煙。土煙を切り裂くは鋼鞭ならぬ魔岩の鞭。否―――、七頭地虫のどれかの頸だった。


 パキャ―――ッ


「―――ッ、カ、、、ハ―――ッッツ」

 まるで、壁に叩き付けられた水で満ちたボロ雑巾のように―――、


 ―――ズドンッ


 ―――ブシャぁっ、


 コンクリート壁に、しこたま叩きつけられたアリサは“水”ならぬ、色の着いた機人のその体内を流れる液体を四方に飛び散らかせ


 ぐしゃ、、、。

 会合の場の、そのコンクリート製の壁に、激突。


 ずるり―――、

 ガシャン、、、どしゃ、、、っと。


 アリサは、ぶつかった衝撃で、その衝撃により罅の入ったコンクリート壁よりずり落ち、その場に、頽れるかのように崩れ落ちた。


 ―――ズドン。ぐしゃ、、、。ずるり―――、ガシャン、、、どしゃ、、、。


 壁に罅を作り、アリサはそのままずり落ち、その場に崩れ落ちた―――、


「   」


 ―――、総司令官アリサは、ピクリ、とも動かず、、、機械のその身体でも、損傷の大きすぎるその身体はピクリとも動かせず―――。

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