10- 4話 初恋
連くんはあれから私から避けるようになった。彼に
「なんで?」
と聞いても
「ごめん」と帰ってくるだけだった。
それからのある日、
「あ…」
昇降口を出た私の顔に水がピチャンと当たった。
(雨…)
あいにく今日は傘を持っていなかった。急いで帰ろうかと走ろうと思って校門を出るといきなり腕を後ろに引っ張られた。
「轢かれる」
私の目の前をものすごいスピードでバイクが走り去っていった。驚きのあまり私はヘナヘナとしゃがみ込んでしまいそうになった。
「大丈夫か?」
さっきの声の人物がもう一度声を発した。見上げればそこに立っていたのは傘を差した連くんだった。余りの嬉しさに私は抱きついた。連くんは驚きながらもそれを受け止めてくれた。
「ごめんな」
そうぎゅっと連くんは抱きしめれくれた。
「連のせいじゃないよ」と私はそう答えた。
「ほんとに、ごめん」そう言って連くんは腕に力を入れた。
私たちはあれからさらに仲良くなった気がする。それに合わせて周りの目も結構いたい。連くんは(そんなの気にすんな)と言うように「堂々としてればいいんじゃないか?」と言ってきた。
そんなある日私に一つのメールが送られてきた。相手は竹林君からだった。
そのメールを見て肩にかかっていたカバンが床に落ちた。
~第一章 完~