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VRMMO ~All You Need is Money ~  作者: 韋駄天
一章 冒険の始まり
3/4

総裁のイタズラ

『私はAll You Need is Money のプレイガイドを勤めさせていただいております、NPCのアリスと申します。』


「あっよろしくお願いします。」

敦也の目の前に映るのは、アリスと名乗った女性だった。見るからに知性溢れる顔立ちで…まるで…

龍谷財閥総裁の専属秘書を思い出しながら、回りを見渡す。

木造の建物だろうか?

一昔前の洋画に出てきそうな酒場のような内装だった。


ただアリス以外に人影はなかった。


『それでは今から初期設定を始めさせていただきますね。それではまず、名前を決めてください。あーたん様』


!?!?!?


「あれ?やっぱりあのUSBがまずかったのかな!?」


『申し訳ありませんが、その名前は少々長いように感じますが…勿論あーたん様の願いであればなんとか致しますので、

【あれ?やっぱりあのUSBがまずかったのかな!?】で登録させて頂いて宜しいですか?』


敦也は三分前の自分の行動を深く反省したのだった。

なにも考えず、自分の欲求の赴くままに行動した結果がこのNPC宗敦化である。


「いや、他のにしたいから少し考えさせて貰えないかな?」


『承知しましたあーたん様。しかし、僭越ながら幾つかの候補がございますので宜しければ…』

「いや!大丈夫です!」

敦也は喰い気味に断る。


その言葉にアリスは一瞬固まるが…


『承知しました。では…【あーたん様】【あーたんイズゴッド】【あーたん超かわいい】【あーたんマジ天才】【天使すぎるあーたん】…………【あーたん誕生日おめでとう】などから選んでね』


「まず承知してないからね?てか最後とかただのお祝いメールだろ!しかも候補の提案じゃなかったの?さらっと選択方式になってなかった!?」


『申し訳ありません。私ではあーたん様の崇高なお言葉を理解出来ませんでした。』


「あっもう言葉のキャッチボールの拒絶ね!やり口がひき逃げと一緒だからね!【あつや】でお願いしたいんだけど」


『申し訳ありませんが【あつや】はすでに使われておりますので、宜しければ候補を…』


「あっじゃあ【あ2や】はどうですかね?」


『申し訳ありませんが文字数が足りません。』


「えっ?【あつや】は作れるのに【あ2や】は無理なの?」


『はい。【たん】が不足しています』


「なるほどね!良く分かりました!【あ2や】でお願いします」


『ちっ。畏まりました。では【あ2や】様でご登録させていただきます。』


「もう突っ込まないからね?」


『承知しました。それでは、本当は突っ込みたくて仕方ないけどこれ以上はアリスたんが可愛すぎて理性の歯止めが利かなそうだから我慢してる【あ2や】様。初期種族はどうされますか?』


「えっ?もしかして早織さんも実はこういう性格だったりするのか?違うなら最早、名誉毀損で訴状ものだろ…」


『承知しました。それでは、可愛いアリスたんの前でわざと他の女の名前を出すことでジェラシーを抱かせようと試みた【あ2や】様。初期種族は【神】でよろしいですね』


「全く宜しくないね!僕は思春期の淡い恋心を抱く男子か!というか神ってなんだよ!」


『その名の通り【神】でございます。宗敦様が【あ2や】様のために特別にご用意された種族でレベルアップでステータスが上がらないという欠陥がございますが、一レベ上がる毎にボーナスで三兆エン入る仕様になっています』


「あっいいんだ?そんな今まで売れたAYNMが全部リコールかかるレベルのことしちゃっていいんだ?普通に【人間】がいいんだけど?」


『しゃーなし、ございます。それでは初期職業を選択してください。』


「しゃーなしなのか?僕の選択で龍谷財閥が一気に潰れる未来を回避したと思ったんだが?」 


『それでは初期職業を選択してください』


「ありがとうって一言くらい言ってくれても、僕全然怒らないよ?」  


『それでは初期職業を選択してください』


「承知しました!剣士で!」


『申し訳ありませんが【あ2や】様。私に真面目に意見を言わせていただく機会をお与えくださいませ。』


「ほぉ。いいよ」


『AYNMゲーム内においてできる動きの上限はステータスや装備依存でございます。しかし、実際動かすのはプレイヤー様自信ですので、仮に真剣どころか、竹刀も持ったことのない【あ2や】様が剣士になったとしても、プレイヤースキルが経験者に追い付くのに時間が掛かってしまいます。ですので、魔法職などを強くおすすめいたします。』


「ほぉ。その心は?」


『可愛い可愛いあーたんが、いくらゲーム内でも傷つく所なんて見たくない!という宗敦様の崇高なるお考えでございます。』


「だと思った。でも僕は前線で戦いたいんだよね…」


『それならせめて、回避スキルが多いシーフにして!と申されています』


「えっ?なに?隣にいるの?いるなら働けって伝えてほしんだけど?まぁシーフもありか…じゃあシーフで」


『危なかったぁー!なんとか誤魔化せたねー!……コホン。独り言ですのでお気になさらず、それでは、All You Need is Moneyの世界を存分にお楽しみくださいませ』


そういうとアリスはペコリとお辞儀をかまして酒場の奥へと早足で消えていった。

まるで、逃げるかのように…



そして間もなくして周りは闇に包まれ、視界が開け…色々な声が飛び交ってくる。


そして僕に向けられたであろう言葉が鼓膜を打つ。


『ようこそ冒険者さん!始まりの村アミールへ!』









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