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短編集 冬花火

リメンバーミイ

作者: 春風 月葉

 大切なのでしょう?

 ちゃんと思い出して、私のことを、あなたの愛しい恋人のことを。

 忘れないで、私のことを。


 彼は事故で記憶の多くを失ってしまった。

 私も彼に忘れられてしまった。

 私は彼の苦しむ顔も悲しむ顔ももう見たくはなかった。

 彼は今、孤独の中にいる。

 彼の周りにはたくさんの人がいるのに、彼はそのほとんどを思い出せないから、人の好意に対する接し方さえもわからず、人との以前の関係も思い出せない。

 そんな深く暗い孤独の中に彼はいるのだ。

 結論から言うと彼の恋人は彼の記憶と共に事故で消えた。

 彼は辛い事故の記憶も、失った悲しみも、過ごした時間の重みさえも思い出せないのだ。

 それは考えようによっては幸せなのかもしれない。

 しかし、彼に空いた穴をどのようにして埋めることができようか。

 彼は思い出すしかないのだ。


 さぁ、思い出して、私のことを。

 あなたに眠る優しい記憶を、あなたに告げる悲しい別れを。

 私は記憶、あなたの記憶、あなたと彼女の短い記憶。

 もう消えたりしないから、思い出して、私のことを。

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