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書き続ければ、チャンスは広がる。

 小説を書き始めて早9ヶ月が経っていた。

 黒崎は4万文字程度の小説を数作品投稿している。沢寺は二つ目の連載小説を書き続け、今では15万文字にとどきそうな勢いである。

 このように、小説書きが完全に生活の一部となった頃、遂にあのイベントが始まる。


「沢寺!来たぞ!」

「は?何が?」

「俺たちの最終目標の一歩、ネット小説大賞が!開催するんだよ!」


 黒崎の謎テンションに、沢寺は冷ややかな目線を送った。


「なんだぁ、その目は…?貴様、俺がこの瞬間をどれだけ楽しみにしていたかわかっているのかぁ?」


 よく分からないポーズを決め、沢寺に挑発する黒崎。しかし、その程度の煽りではなんともない…いや、なんともなくなってしまった沢寺であった。


「んで、どんなヤツなんだ?」

「ノリ悪いなー。…えーと、確か『BGネット小説大賞』とか言う、文源出版が開催しているヤツだな。ここで受賞すると出版まで一直線で、しかも知名度の高いラノベが沢山ある、最も有名なネット大賞だな」

「ふーん」


 沢寺は、自分のスマホから、そのネット大賞を調べる。

 内容を覗いてみると、賞金があって少し驚く。大賞に輝くだけで数十万も貰えるのなら、少しやってみようかな、と思ってしまう。

 と、その中で、気になる一文を見つける。


「なぁ、黒崎?」

「なんだ?」

「お前の小説で一番文字数が多いのってどれくらい?」

「えぇっと…四万と三千くらいかな」

「…このネット大賞の文字数制限、最低五万字だぞ」

「……………ファッ!?」

「いや、だからお前の小説は…」

「二回も言わなくていいんだよ!」


 リサーチ不足なのか、はたまた何も知らなかったのか。今更議論するようなものでもないが、どちらにせよ黒崎は、このビックウェーブに乗れないことが分かったのだ。


「なんでなん…?なんで俺だけこんな目に遭わなきゃならんの…?」


 悲劇の主人公のように、床にひれ伏す黒崎。沢寺は彼を蔑んだ目でみるしかなかった。


「また別のネット大賞に応募すりゃいいだろ」

「くそぉ、次の小説はメチャンコ長いヤツを書いてやる…」


 顔面崩壊するレベルの強い意志を持った黒崎。その横で沢寺は、ひとまず応募してみようと考えていた。

沢「沢寺です」

黒「黒崎です」

作「作者の紫です」

沢「ネット小説大賞って結構シビアですよね」

作「まず応募数が多いからな」

黒「これ実体験だったり?」

作「する。文字数足らなかったり、他の賞との重複応募は禁止してたり…」

沢「うへぇ、キツ」

作「逆にこの文学フリマは短編小説賞だから、上限が決まってるし、異世界転生系は無しって制限がかかってる」

黒「募集要項はしっかり読まないとな」

作「黒崎みたいになるからな」

黒「おいやめろ」

作「じゃあ今回はここまで」

沢「次回をお楽しみに」

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