『藤岡弘学年主任の場合』 作:Cotton
勢いよく教室のドアが開くと、半袖のサファリジャケットの腰に太いベルトを付けた男が現れた。
大きなカラダだ。今どき珍しいモミアゲをたくわえている。
柔和な眼差しで学生達を見つめると、
「ハーッハッハッハッハ! やぁ、学年主任の藤岡弘だ!」と片手を挙げた。
言われなくてもわかっているので学生たちはシラケた顔で沈黙していた。
「今日は暑いねぇ?勉強に禿げんでるかな?
ん?この場合文字が違うな。励むだな。ハーッハッハッハ!
しかしだねぇ、今日は勉強のことは忘れて古武道の話をしようか!?
ん?興味がない?古武道はいいぞぉ。いきなり暴漢に襲われそうになった時に身を守れるんだ。
勿論、襲う時にも役立つんだよぉ。
ハーッハッハッハッハ!アメリカンジョークだよぉ。
例えばだよ、君が通学中に秘密結社の連中に襲われたとしてだ、どうする?
え?お金で解決?
ハーッハッハッハッハ!そんなにあるのかい?
え!Σ( ̄□ ̄;)そんなに
先生な、今月はピンチでなぁ・・・・.なにせ・・・・家内が・・・
え?相談に乗る?・・・・う~~ん。」
「ものは相談なんだが 」
「それでな…」
授業の終わりを告げる鐘の音が鳴り響いた。
おわり




