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第3話「両親との邂逅」



 守護隊副長のフース・オルノアは急いでいた。



 自分の子供にいち早く会うために。



 魔王様の子供のお披露目の警備に駆り出されていたフースたち守護隊は早朝からの任務を終え昼から護衛に立つ者達へ引き継ぐところだったが、気のいい友人達の計らいによって引き継ぎもそこそこに家へと駆け抜けた。




 フースという男は、長年守護隊の副長という要職を任される質実剛健を体現するようなすがすがしい武人であった。


 そんなフースは、妻の妊娠がわかってからというもの、方々へとその話をしていた。フースの人柄の良さからか皆がフースの子供の誕生を心待ちにしていた。



 フースが家に着くと、メイドのユフィンが微笑みながら


「ご主人様、おめでとうございます。元気な男の子でございます。」


「おお、そうか。男ならば決めていたとおり、名はルースにしよう。それで、俺のルースはどこにいるのだ?」


 ユフィンは逸る気持ちを抑えきれない主人をルースとルミノがいる部屋へとつれていくのだった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 まだ首のすわらない俺は自分の横に寝かされているのは、母親に違いないと思い、まじまじと観察するのであった。



 隣で出産の疲れからかすやすやと眠る母はまるで物語のお姫様のように美しかった。



 淡いエメラルドグリーンの艶やかな髪、すっきりとした目鼻立ち、エルフらしい可愛らしい耳。完璧な調和のとれた母の姿は、神々しくさえもあった。



 母親がエルフであるなら、父親もおそらくエルフであろうと推測していた俺はすぐに部屋に飛び込んできた偉丈夫が父親であるとはつゆほどにも思わなかった。



 その男は、まるで三国志で例えるなら呂布、戦国時代で例えるなら本多忠勝のごとき猛将の雰囲気を漂わせて俺へと近づいてきた。



 100回も転生すれば、死線をくぐり抜けたことも星の数ほどあった俺にすれば目の前のその男は”死”そのものを感じさせる恐怖を俺に与えた。



 しかし、手を伸ばし俺を恭しく抱き上げる頃には、先ほどまであふれていた猛将の気配は薄れ、ただの一児の父親の顔をしていた。



 しばらく俺を抱っこしていると、母親が目を覚ました。



「あなた、帰ってきていたのね。私たちの子供は可愛いでしょう?」



「まったくだ。一切俺に似ていなくて最高に可愛い。何より俺の目とお前の美しい目を一つずつ受け継ぐなんてまるで奇跡だ。」



 両親は先ほどのメイドと違いエルフ語で話し出した。俺は過去にエルフだったこともあり二人の話を聞き取ることができた。その会話で、父の職業や記憶持ちでないと判断されたこと、自分の名前など多くのことを知ることができた。同時にいい両親に恵まれたなぁと呑気に考えてみたりもした。




「ぱぁぱ〜、まんまぁ〜」



まだしゃべれないと思いながらも出した声は、思いの外出てしまっていた。

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