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第2話「オッドアイの赤ん坊」


 私は、ユフィン。魔王国の守護隊副長をなさっている、フース・オルノア様とその奥様であられるルミノ・オルモア様の元でメイドをさせていただいている。


 奥様が出産されるということで常にお側に控えさせていただいていたが、今日やっとご子息がお生まれになった。



 普段ならば、隣人の子供が生まれるなんていう一大イベントがあれば、誰彼構わず祝いの言葉と食料などを持って周囲の人々が駆けつけ酒盛りの一つでも起きるであろうに、かのお方の子供がお生まれになるとあって皆そちらに釘付けになっているようだ。




 かのお方というのは、この魔王国を治める王、オストルス・ファン・ルノア様の子供がお生まれになったのだ。




 周囲の皆が祭りのごとく帰ってきたところを見るに、ご主人様のご子息と同じくらいの時間に生まれたことが推測される。



 ご子息は、つくづく運のないお方だ。


 



 「転生者」でもなければ、成長の祝いもこれから次期魔王の陰で行われるのだろう。それこそ「馴染み子」にでもならない限りは。


 魔王国の民間に広まる「転生者」か否かの見分け方は簡単だ。記憶持ちの転生者であれば生まれてすぐに話しかければわかる。返事をすれば記憶持ちの転生者、しなければ記憶なしの転生者か、普通の子供かというふうに判断される。



 記憶持ちの転生者はかなり優遇される。というより、既に一度完成したものがさらに力を付け足すのだから強く、賢くなるに決まっている。

 


 さらには、理由こそ分かっていないが、記憶持ちは魔力総量が段違いに多いのだ。 

 数値で表すことはできないが、たとえば普通の魔族が持つ魔力の総量が10ならば、記憶なし転生者が100、記憶持ち転生者は最低でも1000多い場合は10000という具合に桁違いの魔力を持つのだ。



そこに、前世の経験や知識が含まれるのだから弱いはずがない。



しかし、記憶持ちの転生者はそう簡単は産まれてこない。5年に一人のペースといったところだ。



 ご子息は、私が話しかけても返事をなさらなかった。つまり、記憶持ちではなかったのだ。




 ご子息の、魔王様の子供と同い年というのはデメリットであるがチャンスでもある。「馴染み子」になる権利を有するのだ。



 「馴染み子」とは、次期魔王様の信用に値する友人を手に入れるシステムだ。

 次期魔王様の5歳の誕生日に同い年の子供たちを選抜し5人を直属の配下とするのだ。その五人に選ばれれば、確実に地位や名誉を手に入れることができるのだ。



 幸いご子息は、奥様の血を多分に受け継ぎ愛らしいお顔をされている。さらには左目は奥様と同じ澄み切ったスカイブルーの瞳、右目は旦那様と同じ燃え上がるようなワインレッドの瞳のオッドアイをしておられる。成長すればさぞ美少年になるであろう。



 サキュバスの隠れ里に住んでいた私には馴染み子の選抜内容などわからないがきっとご子息は選ばれる、そんな気がしていた。

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